表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
USSF機動空母リベレーター戦記  作者: 天野 了
『USSF機動空母リベレーター戦記』第四部 [ 最後の夢編 ]
118/131

『ファントムフリート』

地上で広がる発光現象、亡くなった者や遺体が光り出す、これらの現象は”ファントム現象“と呼ばれた。リベレーター艦内でもそれらの現象が確認される。地球に接近するアンノウンを確認するため、再び宇宙へ向け飛翔したSCV-01〈リベレーター〉。ランドーはブラックバードを発進させ調査を始めるが、それは思っていた通り、消息を絶った機動打撃群艦隊だった。地上のファントム現象と同じ様に、白い光が艦隊を包んでいた。


『ファントムフリート』




世界で起きている異常現象、その中でも際立っていたのは光る人影の群れだった。それは日常の生活の中でよく見られる現象となっていた。人影は生前の姿、顔が薄っすらと見え、まだ遺体が残っている場合はその遺体が光っていた。この人影とコミュニケーションを取ろうとした者も居たが、テレパシーの様な能力でも出来無かった。


これら多くの光る人影は”ファントムピープル(幻影民衆)“と呼ばれるようになった。




      ◆




アリゾナエドワーズから再び宇宙へ飛び立ったSCV-01〈リベレーター〉は3次元基準航法の亜光速で、正体不明の物体を目指し航行し続けていた。



機関〈あまてらす〉と五十鈴宙佐を欠いたリベレーターは、既に超次元ジャンプを行う事は出来無かったが、TXエネルギーで艦前面に強力な防御フィールドを形成させ、熱核主機とTX推進で宇宙空間を疾走していた。




  ……………………………




リベレーターCIC内。



「SAIコース自動、…異常なしっ、トレースに誤差は有りません。現在、速度210000km/h、……目標到達まで24.5時間…」、と航法管制のアスカが報告した。アスカは隣のサブシート、コパイロット席に着いているアンドロイドの方を見た。そこにはアンドロイドと重なって、例の光る人影、ファントムクルーが座っていた。アスカは驚くふうでもなかったが、理解できずに表情を曇らせた。



「後、1日か、……やはり基準航法だと時間が掛かるな。 マーベリット大尉、コース上に障害物は無いかっ?!」、とランドーは指揮統括エリアから下に向かって叫んだ。



「有りませんっ!小型のデブリもっ、……これはもう綺麗に整備されたスケートリンクですね。」、とマーベリットが返したが、ランドーはフゥームッと唸り、少し考えた。


(あれだけ大規模な宇宙戦闘でデブリの一つさえ無いっ、……か?)



ランドーはマーベリット大尉の横に居るフスター少佐に声を掛けた。


「火器管制用のTXソナーで高次元域に何か確認できるかっ?」


フスターは首を横に振った。


「有りませんっ、いやっ、無さ過ぎます!高次元帯域では通常でも僅かなノイズは拾えるのですが…」


それを聞いたランドーは下へ降り、フスターに近づいてコンソールのTXソナーのモニターを見た。画面右上にオンボードされたノイズグラフは、まるで静かな湖面を見るように波形は平らだった。



「これはおかしいな、……機器に問題は無いのだな?」、ランドーの問いにフスターは、ハイッと返した。



(宇宙空間でも何かの変容が起きているのか…)、そう思うとランドーはフスターに、視認可能最大望遠距離に入ったら呼んでくれっ、と言い、再び指揮統括エリアに上がると奥の艦長室へ入った。




  ………………………………




デッキステーションのブリーフィングルームに、戻って来たSF-51G宇宙戦闘機のパイロットたちが集まっていた。その中には偵察機SF-51Rブラックバードのオブライエン大尉と電子戦術パイロットのボマー中尉も居た。



全員の前でライトニング中佐とハミルトン少佐がミッションを説明した…


「目標は現在接近しているアンノウンだ、これは恐らくだが諸君も知っているファントム現象のものと思われるっ、……まだ、ハッキリとした正体は分かっていないが、以前消息を絶った機動打撃群艦隊の残像と思われる。これに対し調査が行なわれる。調査用内火艇が艦隊の残像に向けて数艇発艦する、……君たちはそれを護衛せよっ!以上だっ、各自散開、待機せよっ!!」、説明を聞き終えた全員がザッと席を立ち、敬礼するとブリーフィングルームから出ていった。



一番最後にオブライエンとボマーはライトニングとハミルトンに挨拶した。


「久しぶりですね中佐、この艦(SCV-01)には色々縁が有るようです。」、とオブライエン。それを聞いたハミルトン少佐は笑いながら返した。


「航空団の中では君たちが最多出撃回数の保持者だ。お互い、よく生き延びたものだ、……今度は幽霊が相手だ、アッハッハ…」、ハミルトンがそう言うとライトニングが後ろから彼の肩を引っ張った。


「気を抜くなっ、我々は宇宙に居るんだ!……二人とも、今回も宜しく頼む。アンノウンが近づいたら真っ先に君たちが出る事になる、自室で待機してくれ。」、そう言われたオブライエンとボマーはブリーフィングルームを出ようとしたがオブライエンは足を止め、ライトニングに声を掛けた。



「この仕事が終わったら打ち上げをしましょう、中佐の奢りで、…フフフッ。」


ライトニングは彼の背中をバンッと叩き、言った。


「つまらん事を覚えてやがるっ、…いいともっ、生きて帰ってこいっ!!」、そう言ってライトニングは彼の背中を押した。




      ◆




CICでは目標までの距離が近くなり、TXソナー最大望遠で目視できる距離まで近づいた為、火器管制のマーベリット大尉は艦長のランドーを呼んだ。



CICへ入った彼は全球スクリーンにオンボードされた望遠画像を見た…


「大きな光の固まり、……大尉、固体数は確認できるかっ?!」、とランドー。


「全部で七つ、打撃群艦隊の艦艇数と合致。目標対象は物理パターンを示しています!」


「地上のファントム現象と同じだ、フスター少佐、距離50000まで接近したらブラックバードを飛ばしてくれっ! アスカッ、内火艇スタンバイ、調査班を編成しろっ!」



”「全艦CP-2、目標対象へ接近するっ!航空団発艦準備に入れっ!!」“、フスター少佐の声が全艦に響いた。



セントラルデッキでは、艦底格納庫からエレベーターでSF-51Gが引き出され、デッキへ並べられた。偵察機ブラックバードも艦底部投射口で射出発艦を待った。



 

  ………………………………




「目標50000km、相対速度+2700km/h!!」、とマーベリット大尉から報告が上がった。ランドーはフスター少佐にブラックバードの発艦を下令した。


全球スクリーンには艦底部から飛び立ったブラックバードの姿が確認できた。操縦航法管制のアスカはスラスターを噴射させ、艦体を180°旋回固定させた。


「ターゲットと進行軸方向合わせたっ!減速を開始するっ!!…反動推進、艦速度減衰SAI自動っ、相対速度マイナスへっ!」


「よしっ、距離8000で速度合わせっ!」、とランドー。





リベレーターを飛び立ったブラックバードは目標ターゲットまでの距離を詰めていた。後席の電子操作に着いているボマー中尉は胴体下面に埋め込まれた電子走査ポッドを起動させ、あらゆる角度からターゲットを調べた。


「ターゲットは物理走査バンドに反応っ!高次元帯域のエネルギーは無しっ、リベレーターリンクのTXソナーでは存在強度が上昇していますっ!!」、とボマー。


「もう少し距離を詰めるっ…」、と前席のパイロットシートに着いているオブライエン大尉は言った。RWR(Radar Warning Receiver:レーダー警報受信機)の鳴動に注意しながら距離を縮めた。


「距離、…3000…2700、…大丈夫だ、反応はない、近づくぞっ!」、そう言うとオブライエンはスロットルを前方へ押し込み、機体を加速させた。



距離300まで接近するとブラックバードはターゲットの周りを旋回した。遠くからでは分からなかったターゲットの形は確かに機動打撃群艦隊の母艦SMS-01アトランティスだった。その周囲にはSCV-02、03、そして高速遠征輸送艦ST-EPFシリーズの4隻と少し離れてSR-02が確認できた。



ボマー中尉はリアルタイムでその情報をリベレーターCICへ送った。






リベレーターCICで管制科員たちはブラックバードから送られた画像を見た。



「間違いありませんっ、機動打撃群艦隊ですっ!!、艦長っ!」、とフスターは発した。ランドーは送られてくるリアルタイム画像を見入った。


「艦体を白い光が包んでいるな、やはりファントム現象かっ!?……残骸が艦体に吸い寄せられているっ!こんな事がっ……、フスター少佐、電磁気反応は?」


「有りませんっ!物理エネルギー、TXエネルギーとも無反応っ!但し、存在強度だけは上昇していますっ…」、とフスターは返した。



「……承知した。内火艇を発進させろ!」、そう言うとランドーはマーティン中佐に継ないだ。リアルタイム画像の横にマーティン中佐が映し出される…


「マーティン中佐、ランドーだっ。気を付けて行ってくれ、今回は艦内部の調査だ。遺体はそのままで構わん!」


”「ラージャッ、出来るだけ早く終わらせるっ!」“



格納庫に準備されていた3艇の内火艇はリベレーターを発艦し、打撃群艦隊へ飛んだ。



それを確認したランドーは、アスカに艦を艦隊から5000の位置に保つよう命じた。リベレーターはスラスターを噴射させながら進路を調整し、艦隊から5000を過ぎたところで再加速し、艦隊のスピードと同期させた。



「艦隊の軌道の解析はどうなっている?」、対しアスカは次のように説明した。


「あと120時間で地球公転軌道(地球)と重なります。」


「120時間か、……フスター少佐、TXエネルギー干渉で艦隊の針路はズラす事は出来るかっ? ただのファントムじゃない、質量を持っているっ。そのまま地上へ衝突はさせられないっ!」、ランドーの指示を聞いてたマーベリット大尉は直ぐに艦隊の質量計算を行い、横に居る兄のフスターの方を見て頷いた。



「TXエネルギーの防御フィールド最大放射で軌道は変更可能ですっ!放射タイミングの許容時間は……、84時間」、とフスターは答えた。ランドーは直ぐに内火艇のマーティン中佐へ継なぎ、その事を知らせた。



”「承知したっ、それまでに調査は終わらせるっ!」“、とマーティンの声が返ってきた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ