剣を探そうー8 俺は聖剣以外使えない!?
外で待っていたリンと合流し王城へと向かう。今回はマスクだけでいいだろう。衣装は暴走してボロボロでもう着れない。また今度受付嬢にでも相談してみよう。
王城に到着しリスティが宝物庫ヘと案内してくれる。
厳重な警護を通り抜け宝物庫へとたどり着く。
「ここが宝物庫か……すごいな」
周りを見るといろいろな武器や宝石がそこかしこにある。ただショーケースなどには入れられておらず乱雑に置かれているのが不思議だった。
「ええと確か……あそこらへんに――」
そう言いながらリスティが走っていき宝石に隠れていた剣を取り出す。
「ありました。これです!」
「ちょっとは整理しろよ。宝物庫なんだから」
「そうしたいのはやまやまですが昔文官が掃除と称して盗んでいたらしくそれからはここに入れるのは王族か同等の者だけで……」
「大変なんだな」
「そうなんです。毎年奉納されますし数は増えますけど片していく人数が足りていなくて……」
「ふむぅ」
確かに奥のほうはきれいに整っているが入り口に向かい徐々に乱雑になっている。
一番奥にあるショーケースを見ながら少し興味がわく。この国の一番最初の「宝」がどんなものか気になったのだ。
俺はスタスタと歩きながらリスティの「ど、どうしたんですか?」という言葉をスルーし最奥のショーケースに到達する。
ショーケースにはこう書かれていた。
「魔王アーガスティンを討伐した賢者の杖」
アーガスティン? 確か最強魔王の名前だったような?
俺は振り返りリスティに尋ねる。
「リスティ、これは?」
「え? それは昔の魔王アーガスティンを退治した賢者様の杖です。そしてこの国を建国されたのがその賢者様なのです」
「ほぉお前の祖先ってわけか」
「はい!」
「なのに魔法使いではなくお前は戦士になっているとは……」
「そ……それは……」
やはり魔法使いが祖先にいても戦士の血が混じると戦士寄りになるのだろうか? 俺はフェリスの強烈なパンチを思い出し身震いする。フェリスも戦士として生きていけるのではなかろうか?
「まぁ人間得意不得意があるししかたない。リスティは自分の信じる道を行けばいいと思うよ」
「……ゆーくん……何かあったのですか?」
「俺の人生観からの結論だ。言われるまま生きるのではなく自分自身で悩んででも信じた道を生きたほうがきっといい」
「はぁ……なんか心にずしっときました」
そりゃ四百年生きた俺の渾身の言葉だしな。
この杖をフェリスにあげたら喜びそうだな――そんな事を考えつつ俺達は宝物庫を後にする。
兵士訓練場に連れてこられた俺は剣と盾を装備しまじまじと見る。
やはりドワーフ産はいい! 実にいい!! 見た目は素朴だが切れ味がよさそうな剣、いろいろと付与魔法もついているし鍛錬したときに金属にある程度付与されている鉱石を選んでいるのか本当に様々な付与効果が確認できる。
そして盾も中央にはめられたエメラルドグリーンの宝石がとても綺麗で美しい。こちらもありとあらゆる付与がされまくっている。
正直ここまで付与効果があると肉体強化に魔力がまわせるのでとてもありがたい。しかも効果がどれも高く使い物になるレベルしかないのでこれからの戦闘がとても楽しみである。
俺の顔は今この上なくニヤついているだろう。
それを不気味に思ったのかリスティと兵士が引きつり気味の笑顔で温かく見守っている事に気づく。
俺は咳ばらいを一つし気を取り直す。
「ありがとうなリスティ、これはとてもいいものだ」
「い……いえ、大したことでは……それにしてもすごい笑顔でしたね……なんとういか不気――いえ、嬉しさが滲み出ていました」
「今不気味って言った?」
「い、言ってません!」
俺は訓練場の真ん中に立ち剣を一振りする。
ヒュンという今までの聖剣とは違いフォンと空気を柔らかく切るような音が奏でられる。
俺は聖剣しか振ったことがない。訓練として木剣は振ったことはあるがそれ以外の剣は聖剣しか知らない。
俺はほぅと頬に手を当てる。女性が美しいドレスを手に取るとつい頬に手を当てる気持ちがこの時初めて分かった。
リスティが「ゴホン」と咳払いし俺は我に返る。
「ちょっと一発あの木人形に斬撃を放ってもいいかな? 手加減はするからさ」
「ええ、どうぞ。王の剣の好きなようにして下さい」
リスティからの許しも得たので俺は構え直し正面にある木人形に手加減した<勇者スラッシュ>を放つ――と同時にパキィンと甲高い聞いたことのある音が聞こえた。
俺はゆっくりと手をもとにあった位置に戻すと……ドワーフ産の剣が折れていた。
「なんで!!」
俺はリスティに絶叫する。しかしリスティも口を開けて驚いている。
「ドワーフ産が! 一発で!! なんで!!」
「わ、わかりませんよ!」
「もしかして不良品渡したのか!?」
「そんな事しませんよ!」
「くそ! どうなってんだ! そこの兵士、ちょっと剣を貸してくれ!」
俺は口を開けて驚いている兵士の腰にぶら下がっている剣を引き抜き元の位置に戻る。
そして――パキィン! また剣が折れた。
かつて賢者の爺さんが呟いた言葉が頭にフラッシュバックする――
「勇者様の斬撃は魔力が濃厚に籠りすぎていて聖剣でないと受けきれませんな」
つまり俺の<勇者スラッシュ>が放てる武器は聖剣しかないってことか!?
俺は自分の手にある折れた剣をただ見つめるだけだった。
せっかくのドワーフ産が折れちゃいました。




