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剣を探そうー7 誤解の解き方。「王の剣」は俺じゃない!

「そろそろ体洗って風呂あがるか」

「そうでござるな」

「ですね」


 セバスと姉御の了承を経て体を洗い終え湯船につかる。


「姉御、風呂に入るときは風呂場前に板があっただろ?」

「ああ、なんかあったでござるな。確か「男湯」と書かれていたでござるが……」

「今度からそれ裏返して「女湯」にしといてくれ。一応分かれてるんだ」

「ふむ……私はゆーくんと一緒に入ってもいいでござるよ?」

「フェリスの教育上よくないのでそこはちゃんとしてほしいな」

「……わかったでござる」


 フェリスの教育上よくないと諭している最中俺の感がピンと働き――


「呼んだー?」

「まーちゃんは呼んでねぇ! つうかお前には何回も「男湯」の時には入ってくるなといってるだろう!」

「そうだっけ?」


 そんな会話をしつつ俺達三人はまーちゃんと交代し風呂をでる。

 俺たちは服を着て自室へと歩を進める。

 そしてセバスが別れ際、


「勇者様、今の魔王様の待遇についてどう思われますか?」

「待遇? 一応いい待遇じゃないか? 本人は喜んでいるし……ちゃんと飯も食わしてるしな」

「そうですか……そうですね。勇者様はよくやっていると思われます」

「これからはセバスにも迷惑かけるけどよろしく頼むよ」

「はい、もちろんです」


 セバスがニヤリと笑う。

 俺はこの笑みの意味がこの時よくわからなかった。

 俺は自室へ向かう途中何か飲み物がほしくなり食堂へと足を進める。

 その途中の扉の前でリンがせき込む声がする。そういやリンとシロは俺の部屋にこなかったな。

 そんなことを思いつつリンの部屋の扉を開ける。

 すると中は血だらけで部屋の真ん中で呻いているリンがいた。


「どうした! 何があった!?」

「あ、ああ……主殿、ゴフゥ! みっともない姿を晒してゴフゥ!! しまったな」

「喋るな! 今誰か連れてくる!!」

「大丈夫だ、主殿」


 話を聞くと俺の暴走を止めようとして魔力を使いすぎ反動で体のあちこちが裂けては直してを繰り返しているらしい。明日には完治するから心配するなと言われたが俺のせいだけありかなり心配だ。

 仕方なくリンには「なにかあったらすぐ呼べよ」といい俺は部屋へと帰る。




 次の日の朝、リスティの大声の「おはようございます」という言葉に起こされ朝食をとる。

 そして王城に行き剣と盾をもらわないといけない。

 朝食を終え俺は王城に行くことを告げる。

 誰かついてくると思ったが意外に王城に興味がないらしくリンしか返事がなかった。


「フェリスはこないのか?」

「「王国恋愛物語」の続きを読むのん」

「ふむ、では仕方ない……姉御は来ないのか?」

「この国を少しぶらついてくるでござるよ」

「シロは?」

「わしは屋敷でのんびりしとくかな」

「仕方ない……聞かないでもいいがまーちゃんは来ないよな」

「当たり前でしょ、お酒くれるの?」

「今日はそういうのなしだ。俺の剣と盾がかかっているからな」


 正直来られて面倒事を起こされても困る。


「セバス、まーちゃんを頼むぞ」

「はい、もちえろんですとも」


 朝食を食べ終えリスティとシロが食べ終わるのを待つ。リンを見ると少し吐血するが、その吐血した血ごと朝食を食べている。まだ完治はしていなさそうだ。俺はふぅと溜息をつきつつ少し期待が膨らむ。当然のことだろう。なぜなら今からもらえるのはドワーフ産の武具なのだから――。

 待っている間に少し考える。そういえば暴走したときにこいつらは俺を「王の剣」ではなく「ゆーくん」と呼んでいたらしい。


「セバス、ちょっと悪いが冒険者組合だけ付き合ってくれるか?」

「は、なにかあるのでしょうか?」

「少し頼みたいことがある」

「承知しました」




 冒険者組合前、朝の人数が多いときに済ましておきたい用事――それは「王の剣」が俺ではない事の証明である。

 俺はリスティと二人で冒険者組合へと入る。

 いつも通りに入りいつものように席に着くがまわりがざわつき始める。


「お、おい……「王の剣」がきたぞ」

「いや、何かの間違えだろ?」

「でもあの戦場で――」


 もろばれである。これをどうにかしない事にはこの先の生活が不安だ。

 席に座り飲み物を頼みながら待っていると背後から、


「よ、よぉ! 兄ちゃん。元気になったようだな。なんだ、その……」


 振り返ると声をかけていいものか戸惑っているガストがいた。


「俺が「王の剣」って言われてるがなぜなんだ?」

「え? なぜって……あの戦場で――」


 ガストが言おうとしたとき冒険者組合の扉が開かれる。


「おい! 「王の剣」がきたぞ!」

「あ? え! それじゃあいつは「王の剣」じゃないのか?」

「どうなってるんだ? 一体……」


 ガストも目を丸くしている。


「ガスト、さっきの話だが……」

「あっ、いや……どうやら俺の勘違いだったようだ。すまない」

「ああ、気にするな」


 扉から入ってきた「王の剣」は「擬態(フェイカー)」の魔法を使っているセバスである。そして後ろから続いて歩いている「王の盾」もまーちゃんではなくセバスから「擬態(フェイカー)」を教えてもらったリンである。これでこの場にいないはずの「王の剣」がいるという矛盾が成立する。完璧な作戦である。

 まだ完治していないリンに魔法を使わすのは躊躇われたが頼めるのがリンしかいなかった。まーちゃんに頼めばいいのだが冒険者組合に居座り長居しそうなのでリンにしか頼めなかったのだ。

 「王の剣」は受付に行き少し話をしこちらに向き直る。


「皆様方、この度は私「王の剣」が暴走してしまい大変申し訳ありませんでした。ここに謝罪をします」


 ちょっと言葉遣いが丁寧すぎるが致し方あるまい。


「皆様方にはここにおいてある最上級のワインをご馳走させて頂きます」


 その言葉に「おお」と周りが声を上げる。


「それでは私はこれにて失礼します」


 そういうとセバス――「王の剣」は冒険者組合から出ていく。

 そして冒険者組合内は無料で振舞われた酒で盛り上がっていく。当然だろう。最上級の酒なんて普段頼まないのに無料で飲めるのだから冒険なんて行っている場合ではない。

 俺は席を立ち色々と話を聞いて回る。主に俺と「王の剣」が別人であるかどうかに重点を置き酔っ払い達に話を聞いて回った。

 ほぼ全員が「別人」と判断したらしいのを確認し俺は一つ頷く。上々の結果だ。これで数日すれば街全体に広まった噂は上書きされるだろう。

 俺はリスティを呼び冒険者組合からでる。

少し伏線を引いてみました。

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