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戦争 エピローグー1 夢現ーユメウツツー

 ここはどこだ? 俺は一体……確か聖剣の神器開放を行った後倒れたんだっけ? なんでこんな暗い部屋に俺はいる? 夢か?

 俺は立ち上がろうとする……が、椅子の後ろで何故か腕が縛られていてそれが邪魔して立ち上がれない。

 俺はふぅとため息をつき辺りを見回すが暗闇で何も見えない。


「力が欲しいか?」


 どこからともなく男の声がする。俺は少し考え、


「いや、いらないかな」

「力が欲しいか?」

「いらねぇって」

「力が欲しいか?」

「しつけぇ! いらねぇっつってんだろ!!」


 なんだこの無理やり「欲しい」と言わせたい質問は……。


「だから言ったじゃん、アーサー。こんな古典的な方法で攻めても無理だって」


 次は女の声だ。ここには最低二人いるってことか。


「ちょっと、ジャック。スポットライト点けて」


 その言葉の数秒後、俺に光が当てられる。いきなりの光に俺は一瞬瞼を閉じる。

 そっと目を開けると目の前に中年のおっさん、その横に綺麗な金髪ロング、目は透き通るような青い瞳の女性が立っていた。


「ジャック、テーブルと椅子を」


 ジャンヌという女性がこちらに来て手を拘束している縄をほどきながら、


「ごめんね、全く……古い人はやり方も古い。そんなんじゃ今時の青年には通じないのにね」


 縄をほどき終わりジャンヌがおっさんの隣へと戻る。

 そして暗闇から首から口にかけて包帯を覆っている男がテーブルを持ってくる。


「待っててね、私も準備するから」


 そう言うとジャンヌが暗闇へと姿を消す。俺は拘束されていた腕を摩りながら周りを見渡しつつジャックという人物が椅子を持ってくるのを眺める。

 数秒後、ワイングラス三つを左手に、右手にワインを一本持ってジャンヌが帰ってくる。


「おまたせ~」


 ジャンヌがワイングラスとワインをテーブルに置き椅子へと座る。それと同時におっさんも椅子に座る。


「あの……一体なんなんですか? ここは……」

「その質問は当然よね。いきなりこんな部屋にいるんだから」


 ワインをワイングラスに注ぎながらジャンヌが答え、ワイングラスをこちらへと差し出してくる。

 俺は警戒しワインを飲まないでいると、


「そんなに警戒しないでよ。毒なんて盛ってないから」


 そう言いつつジャンヌとおっさんがワインを飲み干し空になったワイングラスに再びワインを注ぐ。

 それを見て俺は少しだけワインを口に含む。

 そして目を見開く――


「うめぇ!!」

「でしょ?」


 ジャンヌを見ると清々しい笑顔でこちらを見ていた。

 俺はすぐにワインを一気飲みする。そして空になると同時にジャンヌがワインを注いでくれる。


「気に入った?」

「ああ。こんな美味いワインははじめてだ」

「ふふっ、好きなだけ飲んでね」


 そんなやり取りをしていると、


「そろそろ本題に入らないか?」


 おっさんがばつの悪そうに会話に入ってきた。

 存在忘れてたよ。


「そうね。本題に入りましょうか」


 おっさんが「おっほん」と咳払いを一つし、


「あーなんだ……余の名はアーサー。アーサー・ペンドラゴンだ。君は……ゆーくんでいいのかな?」

「なんで俺の名前を?」

「聖剣を通してずっと見ていた。君が生まれた時から……」

「生まれた時から――ストーカーじゃねぇか!!」

「ちっ、違う! 勘違いするな!」

「いやいや、こっわ!! こわいわ! おっさんのストーカーなんて!」

「おっさ……余は一応王様だったんだぞ!! なんて失礼な子供か!!」

「知るか! このストーカー!」

「もう! 二人とも冷静になって!」


 ジャンヌの一言で俺とおっさんがふと我に返る。


「それで? そのアーサーなんたらさんは何が望みなんだ?」

「まぁワインでも飲んで話そうじゃないか」


 俺は警戒しつつワインで喉を潤す。


「ゆーくんと呼ばせてもらっても?」

「ん……別に構わん」

「余の事はアーサーでいいぞ」

「おっさんじゃダメなのか?」

「それはやめてくれ」

「わかったよ。アーサー」

「それで……だ。君の人生を見てきたが……一言で言うと悲惨だな」

「ほぅ?」

「勇者として生まれ勇者として鍛錬を積み勇者として使命を果たそうとしたら神がそれを邪魔し愛する人も他人に奪われ自由になったと思ったら就職もできずドッグフードを食らわされる……まさに犬畜生とはこのことだ」


 ククッとアーサーが笑い俺は少しイラつく。横のジャンヌはワイングラスをクルクルと回しワインを眺めている。


「何が言いたいんだ?」

「まぁなんだ……余達も似たり寄ったりなんだよ」

「ほぉ」

「余の場合は神の神託に従い聖剣を携え国を立ち上げそして国民に滅ぼされた。死ぬ間際神が見えたよ。私は神々の賭けの対象になっていたらしい。そして神々の盤上で踊っていた愚か者だったのだ」

「ほー」

「ジャンヌも同じだ」

「ん……私は国のために立ち上がり神託によって勝利に導いたわ。そして神託の巫女として崇められたけど最後には有力者に火あぶりにされたわ。魔女って言われてね……ひどいと思わない?」


 ジャンヌがそういうと一気にワインを飲み干す。そして「ジャック! もう一本持ってきて!」と暗闇に向かって指示をだすと暗闇からぬっとワインとそれを持った手がジャンヌの傍に出されジャンヌがそれを受け取りワイングラスへと注ぐ。


「そんなわけで余達は神々に人生を狂わされた同志と言うわけだ」

「ふぅむ」

「むかつくとは思わんかね?」

「そりゃぁなぁ……」

「そうだろ? まぁ飲め飲め」


 俺はワインをぐっと一気飲みする。すぐにジャンヌが注ぎなおす。


「ジャンヌはどうなんだ?」

「私? 私は……まぁ仕方ないかなーと」

「ジャンヌ! そんな事ではだめだぞ! もっと本音をださんと!!」

「んー……まぁ一応国は発展したしね。神をそこまで理不尽だとは思わないわ。ゆーくんはどう?」

「俺……か」


 俺は少し考える。俺にとって神とはなんだろうか? ううむと唸りながらワインを飲みつつ人生を振り返る。そして……


「あんまりいい印象ではないな」

「だろ? 神なんぞ下らん!」


 ダン! と空になったワイングラスをテーブルに叩きつけるアーサー。


「神なんてこの世に必要ないと思わんかね!」

「それは突飛すぎじゃ?」

「そうか? 神なんていなくても人間は生きていける。むしろ神が人間の世に干渉する時点でおかしいのだ!」

「うーむ。まぁ一理あるかもなぁ」

「そうだろ。そうだろ」


 うむうむとアーサーが頷く。


「まぁ話も盛り上がってきたしおつまみでも……ジャック! 鶏のもも肉を甘ダレで焼いて持ってきて!」


 ジャンヌが言うと同時に香ばしい匂いが漂ってくる。そこからもアーサーの饒舌はとまらず神がいかに必要ないかを淡々と、そして時には激情を交え説明してくる。

 鶏のもも肉が運ばれそれをみんなで食べつつ今までの人生をお互いに語り合い神についても色々と語り合う。

 なんだろう……なんか居心地いいな。話も合うし……これは夢なんだよな?

 俺はそんな事を思いつつ鶏のもも肉を食べつつワインを煽る。

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