闇組織ヴォルク
sideロイド
俺たちは火傷の治療の為にイライザ病院に運ばれた。
オリジンドラゴンは低威力の魔法を放っていたようだが、俺たちの火傷は中程度のものだったからだ。
悔しさが込み上げてきた。
なんで、アイツなんだよっ…!
あの家畜係が、ドラゴンテイマーだなんて、信じたくも無かった。
しかし、奴は確かにオリジンドラゴンを従えていた。
「な、なぁ、ロイド…
ドラゴンテイマーを仲間にするって話は…」
ゲインが言う。
「その話はするんじゃねぇ!!!
俺はあの家畜係を仲間にするのなんてごめんだぜ!!!」
俺はかなり吐き捨てるようにそう言った。
その時、俺とゲインの病室のドアが鳴った。
「誰だ…?」
「ヴォルクのヴィーでございます。」
「あぁ、入れよ。」
「ありがとうございます。」
ヴォルク…
最近俺たちに接触してきた組織だ。
詳細は知らない。
ただ、ハンター達を支援する、と聞いている。
「何の用件だ?」
「ははは…
そうおっしゃらずに…」
左目にシルバーの眼帯をしたその男はそう言って頭を下げた。
「私どもは力を求めるハンターの皆様の味方でございます。
ロイド様のように…
あのエースさんがドラゴンテイマーだった事、かなりのショックとお見受けします。
まぁ、あの者は偶然にも大きな力を手に入れたようですが…
真の勇者はロイド様、あなたなのです。」
「…続けろ。」
俺は言った。
痛めつけられた優越感を少しだけ回復させたその男に、話す権限を与えてやったのだ。
「はい。
世界を救える、いえ、変えられるのは、ロイド様に間違いございません。
我々はそのお手伝いが出来れば光栄なのです。」
「光栄、だと?
それじゃ、お前らにメリットは無いだろ。
利益に繋がらない関係は信用しないんだよ、俺は。」
「もちろん、メリットはございます。
あなた様が有名になり、世界を変えることで、我々もまた有名になる。
それに、代金はきっちりいただきますので。
見返りには十分かと…」
「…お前らに何が出来ると言うんだ?」
「我々は付与術を使う事に長けております。
まず、少しの作用のものから説明致しますと、肉体強化系の付与がございます。
これを使用する事で、一定時間、攻撃力と俊敏性が飛躍的に上がるのです。」
「一定時間、か…
それじゃ、その付与とやらが解けたら元に戻る訳だろ?」
俺は言った。
「それはそうですが…
もしも、付与効果のある間に強力なボスを仕留めたら…?
あなた方の噂は世界を駆け巡ります。
そして、そのボス戦の経験値により、飛躍的なレベルアップも見込める。
つまり、効果は一定時間ですが、リターンは継続的にある、という訳です。はい。」
ヴィーはニヤリと笑って説明する。
胸糞の悪い笑顔だぜ。
だが…
俺は…
そいつの手を取った。
いや、取らざるを得なかった。
「退院は3日後だ。
その2日後に俺たちは魔の森リザンヌのボス戦に行く。
その時までに付与術とやらを完璧にしておけ。」
「…かしこまりました。」
ソイツはうやうやしく一礼して出て行った。




