9話
江戸紫 然 雨男 杉本書店にてアルバイト フリーで翻訳の仕事 作家志望
青山 翔 ポストマン ボランティアで地元ラジオ局DJ
東雲 健太 大手自動車会社勤務 法人営業部 柔道部のスポーツ推薦入社
杉本 茜 杉本書店の二代目 通販大手に勝ちたい
松田 珊瑚 スペイン料理店「オラ」でバイト 声優目指して日夜レッスン
桜井 朱莉 大手自動車会社勤務 営業事務 バレー部のスポーツ入社
ブランシェア・ラクシーニュ 自称テンシ
シャルロ・ステファヌス・アートルメクス 自称アクマ
九話
9月になるときっと毎年思い出す。
あれから2年。
この先もその時今がどれほど楽しくともきっと思い出す。
01 夜 オラ店内
全員揃っている。食事中。
青山「それでは皆さん9月の行事を発表してください。」
ブラン「恒例みたいな言い方するな変態DJ。」
桜井「それではって頼まれた覚えも無いぞインチキDJ」
青山「まぁまぁ。で、誰からいく?」
杉本「あ。9月6日はキョロちゃんの誕生日よ。」
江戸紫「誰?」
杉本「クエックエッのキョロちゃん。」
東雲「そう言えばヤマトが地球へ帰還したのも9月6日だったかな。」
青山「それ以外に何か。」
松田「あ、それなら9月9日はカーネルサンダースさんの誕生日よ。」
東雲「あの髭じいさん生きてるの?。」
桜井「9月14日は波平海平の誕生日だぞ。」
江戸紫「そういや双子でしたね。」
東雲「9月13日はセカンドインパクト。」
ブラン「何かどんどんオカシナ方向に進んでないか?」
青山「アクマちゃんは何か知ってる?」
シャリ「んーと、んーと。」
「(思い出して)あ!」
「9月3日はねー」
「ジャムおじさんの誕生日ー。」
江戸紫「何でそんな事覚えているんだこいつら。」
ブラン「お前こそ何か知らないのかよ。」
江戸紫「9月10日はセーラーマーキュリーの誕生日。」
全員引く。
02 朝 江戸紫アパート。雨。
居間。朝食中。
江戸紫「明日何か予定ある?」
ブラン「午前中はパラダイス行って午後はバイト。」
シャリ「夜はオラでランチー」
ブラン「夜はディナー。」
江戸紫「明日バイト休みとったし、パラダイスは明後日にして」
「一緒に付き合ってよ。」
ブラン「何処行くんだ?」
江戸紫「墓参り。」
03 午前中 図書館。外は雨。
04 午前中 中央通り通り。レインコートを着て配達中の青山。
05 オフィス。東雲が傘を畳みながら玄関へ。
上司と談笑しながらエレベーターに乗り込む。
エレベーター開き事務所の中へ。
東雲は上司と談笑を続いている。
女性事務員(桜井以外)が慌てて東雲の元へ。
事務員「東雲さん。先ほど病院から電話で。お母さんが倒れたって。」
東雲「え?」
06 夕方。駅前の喫茶店、青山と松田。
松田は私服。
青山「ごめんね急に。」
松田「青山君こそ仕事中でしょ?」
青山「今日のシフト夜からだって聞いていたからこの時間しかゆっくり話せなくて。」
松田「え?そんなに大事な話?」
青山「うん。」
「そろそろ番組改編時期でね、
「新番組の宣伝があるんだよ。」
「たいていの番組が出演者使うからそっちは期待できないんだけどさ
「局そのものもこの機会にスポット作り直したり
「いくつか録り直したいらしいんだ。」
「うちの局貧乏だからさ、有名どころは使えないんだよね。」
松田「局専属の女性スタッフとかいないの?」
青山「いるんだけど皆嫌がっててさー。」
「知ってる?うちの局女性アナ皆無なんだよ。」
青山「あ、だからって専属になってくれっていうんじゃないんだ。」
「スポットならサンゴちゃんの空いている日に合わせる。」
「それ以外に何かあっても時間空いているトキの録音で間に合うからさ。」
松田「でも、そういうのってオーディションとかするんじゃないの?」
青山「そんな大手じゃないよ。」
「サンゴちゃんが俺の知り合いじゃ無かったら
「他の誰かに頼んだだけの事だよ。」
松田「そんな簡単に決めちゃっていいの?」
青山「小さい局だからね。」
「ただ問題が無いわけじゃない。」
松田「問題って?」
青山「次に繋がる仕事じゃあない。」
松田呆れる。
青山「それからもう一つ深刻な問題。」
「ギャラが安い。」
松田「(笑いながら)それは構わないよ。」
青山「あ、ゴメン。そろそろ戻らないと。」
「まだ時間あるからちょっと考えておいて。」
07 夜 オラ
江戸紫、青山、シャリ、ブラン4人でテーブル席。
江戸紫の持ってきたノートを見ながら真剣な顔で打ち合わせ。
江戸紫「実際9月はPMP向きの行事少ないから。」
ブラン「神社で祭りあるじゃん。」
青山「あれは神社の主催。俺は主催をしたい。」
青山のPDAが震える。
青山「シノからだ。あいつが電話するなんて珍しいな。」
電話に出ながら立ち上がり外に出る。
それを見送る江戸紫達。
江戸紫「何だろ。」
シャリ「すぐに判るよ。」
08 夜 オラ店の外。入り口脇。
青山が電話をしている。
青山「どうした。珍しいなお前が電話してくるの。」
相手の声は聞こえない。
青山真顔になる。
「それで容態は。」
何度か返事をしてから
青山「判った判った。コッチは気にするな。」
「別にお前なんかいなくても気付かないからよ。」
青山笑顔で
青山「お前も無理して倒れんなよ。」
「腹減ったらくればいい。」
「ああ、落ち着いたらな。」
10 オラ店内に戻る青山
黙って席に着いて
青山「シノの母親が倒れた。」
江戸紫「で?」
青山「過労と風邪だそうだ。それでも3日間くらい入院だと。」
江戸紫「そうか。」
青山「明日土曜日だし皆でお見舞い行くか。」
江戸紫「明日か」
江戸紫しばらく考え込む。
江戸紫「明日はダメだ。」
「シャリとブランシェア連れて行ってよ。」
「僕は明後日一人で行くから。」
ブラン「お前結構薄情な奴だな。」
江戸紫応えない。
青山「じゃ明日朝迎えに行くよ。」
「お前出るの何時。」
江戸紫「9時には出ようと思っていたけど。」
「病院のお見舞いて午後じゃないのか?」
青山「まぁいいや。9時に行って何処かで遊んでからお見舞い行くよ。」
江戸紫「頼むよ。」
11 夜 オラ店内食事中。
杉本、桜井が加わっている。
桜井「じゃあ何処かで待ち合わせして皆で行くか。」
「珊瑚にはメールしておくよ。」
青山「明日の予定知ってるのか?」
桜井「一緒に買い物行く約束してたからな。」
青山「ソレなら話が早いな。」
12 夜 頼代駅前 中央通り
江戸紫、ブラン、シャリ帰り道。
ブランシェアかなり険悪に
ブラン「お前の用事って何だよ。」
「友達の母親の見舞いより大事なのかよ。」
江戸紫「墓参りだって言っただろ。」
ブラン「死んだ奴より生きた奴大事にしやがれ。」
江戸紫「正論だな。」
「でも1日遅れたからって死にはしないだろう。」
ブラン「居候先間違えたかもな。」
13 朝 江戸紫アパート前。
青山が車でブランを乗せる。
シャリは江戸紫の隣にいる。
シャリは笑顔で車中のブランに手を振って
車が走り出す。
シャリ「お礼参りっ」
江戸紫「墓参りだよ。」
シャリ「墓参り!墓参り!」
江戸紫「判って言ってるのか?」
シャリ「ワガンネ。」
江戸紫「(笑って)だろうな。」
シャリ「ハカマイリて何?」
江戸紫「死んだ人を忘れないようにするものだよ。」
シャリ「ハカマイリしないと忘れちゃうの?」
江戸紫「そうかもね。」
シャリ「シャリは忘れなーい。」
江戸紫「偉いな。」
シャリ「へへー。」
14 車中。助手席にはブラン。
青山「何でアクマちゃんはエドと行かせたんだい?」
ブラン「バカだからだよ。」
青山「誰が。」
ブラン「エドに決まってるだろ。」
「あの甘ったれが。」
青山「随分と怒ってるなぁ。」
ブラン「当たり前だ。」
「トモダチの母親より死んだ奴のが大事か?」
青山「難しいな。」
ブラン「難しい事なんか言ってないぞ。」
青山「いや、難しいよ。」
「今日は命日だからな。」
ブラン「誰の。」
青山「エドの祖父母で育ての親。」
ブラン「貴様知っている事全部話せ。」
「話さないつもりならお前の大事なバイクに」
青山「話さないなんて言ってないだろっ。」
15 朝 駅前喫茶店。青山とブラン。
青山「小さい頃母親が亡くなって。事故か病気かは知らないけど。」
「それからすぐにじぃちゃんばぁちゃんの家に預けられて」
「父親は最初の年に1,2度顔を見せだけ。」
「あとはずっとじぃちゃんとばぁちゃんに育てられたんだ。」
16 電車内 江戸紫、シャリ。客はあまりいない。
シャリは江戸紫の隣に反対向きに座り外を眺める
江戸紫「大学入学決まったとき」
「父親から入学祝いでお金送られてきた。」
17 喫茶店内
青山「あいつはその金で旅行券買ってじいちゃんばあちゃんに贈ったんだ。」
「忙しかったのかどうか知らないけど
「半年くらい経って期限切れ間際にようやく旅行に行ったんだ。」
18 電車内
江戸紫「最初の夏休みに二人に旅行に行ったかなんて話して。」
「まだだって言うから期限切れる前に行ってって催促までして。」
19 喫茶店内
青山「渓谷の遊歩道を散策してそれから温泉ってツアーだったかな。」
20 電車内
江戸紫「その渓谷見学で、二人はバスから降りて駐車場に立っていた。」
21 喫茶店内
青山「他のツアー客と一緒にな。」
22 電車内
江戸紫「そこに、トラックが突っ込んだ。」
23 喫茶店内
青山「居眠り運転だったらしい。」
「あいつのじいちゃんばあちゃん含めて数人死んで、
「そのほかに数人が怪我。」
ブラン「そうか。」
青山「話は終わらないぞ。」
ブラン「え?」
青山「後日の葬式やら何やら、
「エドのオヤジは一度も現れなかった。」
24 電車内
江戸紫「連絡先も判らない。」
25 オラ店内
青山「葬儀と同時にお墓やらお寺やら。」
「それが済めば土地やら家やら財産処分。」
26 お墓参りをする江戸紫とシャリ。
シャリ「どうにするの?」
江戸紫「こうやって手を合わせてお祈りするんだ。」
「安らかに眠ってください。って。」
シャリ「ん。」
手を合わせる二人。
27 喫茶店内
青山とブラン
青山「まぁそんなワケだからさ。今日は許してやれよ。」
ブラン「許すも何もない。」
青山「まあな。」
桜井、松田が店内へ。
青山「お、来た来た。」
立ち上がりレジへ。
桜井「あれ?エドとシャリは?」
青山「墓参り。」
ブラン「あとで二人して行くってよ。」
28 再び電車内。4人席に座る江戸紫とシャリ。
シャリ「今度何処行くの?」
江戸紫「二人がいなくなった場所だよ。」
シャリ「ふーん。」
江戸紫「ちょっとかかるからお弁当食べよう。」
シャリ「べんとっ!べんとっ!」
弁当を受け取り包みを開けるシャリ。
窓の外を見る江戸紫。田舎の景色が流れている。
29 商店街
ブランシェア、青山、桜井、松田
お見舞いを探している
30 病院。
東雲が母親の病室にいる。
東雲「コレから友達来るんだけど。」
母親「お見舞いに来てくれるの?」
東雲「ちょっと賑やかになりそうなんだ。」
母親「あんたに賑やかな友達がいたんだ。」
東雲「まあ。」
病室に青山達の声がする。
青山「ここだ。」
母親「まあまあわざわざ有り難うございます。」
ブランを見て
母親「まあまあ随分可愛いお嬢さんだこと。」
「それで、どのお嬢さんが健太の彼女なの。」
東雲「何言ってるんだよ。」
ブラン「あ、私です。」
母親「まあまあ外国のお嬢さん。健太も国際的になったね。」
東雲「何をバカな事を」
ブラン「嘘でも安心するだろ。」
母親「必死になって。」
「皆さんこんな子だけどコレからも仲良くしてやってください。」
青山「母やるなぁ。」
31 渓谷 遊歩道 左手に渓谷。
シャリは時折手すりに掴まって下を見て歓声。
やがて駐車場が見える。
その奥に既に花が添えられている箇所がある。
手を合わせる江戸紫。
シャリも手を合わせる。
江戸紫顔を上げて渓谷を見る。
それから空を見上げる。青空。
江戸紫「さて。」
顔を戻して
江戸紫「帰るか。」
32 夜、オラ店内。
青山、東雲、桜井、松田、ブランシェアが食事中。
青山「たいした事なくて良かったな。」
東雲「うん。」
青山「この際だからゆっくり休んでもらえよ。」
桜井「だからってシノさんが忙しくて倒れないでね。」
青山「こいつが簡単に倒れるもんか。」
ブラン「倒れなくても負ける事あるけどな。」
青山「お前はまた。」
ブラン「なんだよ。」
東雲「いや、もう気にしてないよ。」
松田「何かあったの?」
ブラン「柔道の大会で負けたの。」
青山「惜しいとこまでいったんだけどな。」
ブラン「何でお前がフォローしてるんだよ。」
青山「お前が身も蓋も無い言い方するからだろうが。」
ブラン「事実を話して何を臆する。」
ブランシェアは東雲に向かって
ブラン「おいデカイの。」
東雲「はいっ」
ブラン「優勝したかったよな。」
「全国大会優勝してオリンピック選考されたかったよな。」
東雲「も、もちろん。」
ブラン「今回負けたけど次は勝つよな。」
東雲「そのつもりだけど。」
ブラン「ほれみろ。」
青山「何がほれみろ。だ。」
ブラン「ウルサイぞ変態DJ」
青山が何か言いかけたところでシャリの声。
シャリ「おなかすいたー。」
江戸紫「ただいま。」
シャリ「おかえりー。」
江戸紫「お前もただいまだろ。」
シャリ「ただいまー。」
全員「おかえり。」
33 夜。中央通り オラからの帰り道。
江戸紫が眠っているシャリを背負っている。
ブラン「墓参りどうただった。」
江戸紫「どうって?」
ブラン「シャリはイイ子にしていたのかよ。」
江戸紫「うん。」
ブラン「そうか。」
江戸紫「あのさ」
「明日東雲母のお見舞い行こうと思うのだけど。」
「一緒に行って病室とか案内してくれないかな。」
ブラン「ん?うん。いいよ。」
「何せワタシ健太の彼女だからな。」
江戸紫「は?何だよそれ。」
ブラン「今日そうなったんだよ。」
34 秋分の日 神社境内
巫女装束のブランシェアとシャルロ。
江戸紫「どうしたのそれ。」
シャリ「おふるー」
ブラン「木葉と七夕のママさんのお古借りた。」
江戸紫「それでお祭り行くの?」
ブラン「祭りの前に祀りがある。」
江戸紫「うん?」
シャリ「まうの。」
江戸紫「なに?」
ブラン「しばらくそこで待っとけ。」
35 神社 境内 神楽殿 大勢の参拝客見学者。
シャリとブランシェアが木葉達と御神楽。
同年代の女の子達が揃いの舞い。
眺める江戸紫。
隣に青山、桜井と松田
青山「この舞いって昼と夜を繋げる祈りなんだってよ。」
江戸紫「秋分の日だからか。」
橘維「昼と夜。光と闇。人と人成らざる者。皆仲良くしましょうって踊りよ。」
江戸紫「うわっ。」
いつの間にか現れていた橘木葉の母親に驚く江戸紫。
橘結「あの二人は元々仲良しだから心配無しなくていいわ。」
江戸紫「はぁ。」
橘結「君ももう大丈夫ね。」
江戸紫「はい?」
橘結「そろそろ終りね。お祭り楽しんで行ってね。」
橘結舞台脇まで
江戸紫「何だったんだ。」
青山「何お前橘さんと知り合いなのかよ。」
江戸紫「二人の友達の母親だからな。一度挨拶した事はある。」
青山「マジか。くそう俺も子供いたらお話できるのか。」
江戸紫「お前は何を言っている。」
36 神社 神楽殿前
シャリ「見てたー?」
江戸紫「見てたよ。よく判らないけど感動した。」
シャリ「えへへー。」
ブラン「シャリ、替えて屋台行くぞ。」
シャリ「屋台っ屋台っ」
シャルロ、ブランシェアは木葉達と共に橘家へ
37 公園 屋台が並ぶ
浴衣のブランシェアとシャルロ。
木葉、七夕、早苗と一緒に駆ける。
射的、ヨーヨー釣り、金魚掬い、綿菓子、お面。
松田「前から聞こうと思っていたんだけど。」
江戸紫「はい?」
松田「シャリちゃんてどっち?」
江戸紫「どっちって?」
松田「男の子?女の子?」
江戸紫「あ、いや知らない。」
青山「本人に聞けばいいじゃん。」
青山シャリに近寄り
青山「アクマちゃんて男の子?女の子?」
シャリ「シャリはシャリだよー。」
青山「いやだから」
ブラン「こいつはシャルロ・ステファヌス・アートルメクス。」
「その名の示すとおり暗黒の王。それ以外の何者でもない。」
青山「示す通りって。」
ブラン「あまりコイツを怒らせない方がいいぞ。世界が滅ぶ。」
青山「なにそれ怖い止めて滅ぼさないで。」
38 夜 公園
木葉「上行こう。神社。」
ブラン「階段登るのダルイよ。」
木葉「そう言うな。早くしないと始まっちゃうよ。」
シャリ「何?何が始まっちゃうの?」
木葉達に促され階段を駆け上がる子供達
ブラン「浴衣は階段登るのキツイな。」
シャリ「おっちゃん達も行こうっ。」
江戸紫の手を取るシャリ
江戸紫「判ったからそれ寄越せ。階段走ったら危ない。」
江戸紫、シャリの持っているヨーヨーを受け取りながら階段を登る。
39 夜 神社境内
木葉「こっち。」
木葉に促されるまま付いてく。
七夕「そろそろね。」
ブラン「だから一体何なんだよ。」
木葉が答えようと口を開くと同時に花火が上がる。
シャリ「おおうったーまーやーっ」
シャリ、バンザイするように両手を挙げる。
シャリ「皆様ご一緒にっ。」
シャリがブランの手を取る。
ブランは隣の木葉の手を取る。
木葉は七夕の、七夕は早苗の手を取り
花火に合わせてその手を大きく振り上げる。
シャリ「どーん。」
ブラン「かーぎやーっ」
他の子達も声を上げる。
シャリ「おっちゃんもホレ。」
シャリが手を差し出す。
江戸紫一瞬躊躇するが歩み寄り手を伸ばす。
人と人がそうであるように。
人と人成らざる者とやらもそうであるように。
生者と死者は繋がっている。
この夜空も何処かの青空と繋がっている。




