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赤い瞳の銀の鳥   作者: アマメ ヒカリ
第二章 光
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7.輝ける翼は豊穣を乗せて

種蒔きを終えてひと月が経とうとしていた。


ダルシの丘の耕作地は一面、青々とした作物の葉が広がっていた。



風が吹く度に、耕作地全体が生き物のようにうねる。今年は風の精霊たちのご機嫌が良い日が多いようだ。


今日は岩屋にいる二人が丘に帰ってくる日。

風門は完成し、風の王を迎える支度も整った。


皆は早くお二人をお迎えしたいと、風門近くの宴の場で、朝からまちわびている。



太鼓を叩き、笛を吹き、場を清めている。

喉から様々な音を出し使い分ける集団が、独特の抑揚をつけた歌を歌い天と地を調和させる。


心地よい冷たさの風が、ザアッと吹いたとき、岩山の方からよく響く笛の音が聞こえた。

そして光るものが近付いてくるのが見えて、人々は手を振り喜びに沸いた。



輝きは一層強くなり、人々の待つ宴の場の方へ近付いてくる。



「守り主様だ!」



守り主と呼ばれるものは、巨大な鳥であった。

羽の一枚一枚が夜明けの太陽のように光を放つ。

片翼は、五人の大人が手をつなぐ長さ大きさ。

今、その光る大きな翼を羽ばたかせ、人々の前に降りようとしている。



巨鳥は静かに着地した。

背に乗せた大切な者のために。



鳥は翼を伸ばして、背に乗る者が下りやすいようにした。

赤子を抱いた女性が翼を滑りながら現れると、わあっと歓喜の声が上がった。

その様子を鳥は、赤い目で静かに見つめている。



赤子を抱いた女性が、右手をゆっくりと挙げた。

「この土地との約束を果たすためにいらした守り主様は、ルゥ・ラァ」

「そして、豊穣の力を受け継ぐこの子は、ユーマ」

「豊穣の力をお借りして、我らはお預かりしたこの大地を、一層豊かにしていきましょう。」


そこにいた人々は、口々に名を呼んだ。

「ルゥ・ラァどの!」

「ユーマさま!!」



丘に豊穣とその守り主がやってきた。



風たちは祝福を大いに送っていた。

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