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赤い瞳の銀の鳥   作者: アマメ ヒカリ
第10章 友よ
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42. 富有馬

フューマ。わたしの名前。

名を呉れたのはあの子供。

ふむ。此度の豊穣は緑色のようだ。対となる鳥も根源をよく顕す形態となっている。

よしよし。よきことなり。


いつかの預かり手は私へ花の名をくれた。

太陽の熱と光である貴方は花のようにそこにいて皆へ与える、と言っていた。

あの子供は大人になれた。

よかったと思う。


豊穣とは、と当の預かり手はしばし悩む。

歴代の預かり手は、本格的に始動する少し前に徹底的に悩み抜く。

人間だ。そこに人間がいる。

人間にしかできない悩みと葛藤は、根源の可能性を拡げ、豊かにする。

まるで人間は根源の切っ先かのように、暗いところへ道をつける。

こわかろう。

それはおそらくこわいのだろう。

間違え、悩み、選び、喜んで、期待して、落胆して、学び、知識を継承して、間違え、悩み。

その様な模索をし続ける以前の人間の姿に、最も近い預かり手と根源を(かたど)る鳥は、いったい何の切っ先なのか。


きっと預かり手は知らないだろうし、関心も持たない。そのように出来ているだろう。

鳥は、気づいているやもしれん。


わたしたち精霊の王は原初の人を懐かしく思い起こし、そのような者へ手を差しのべずにはおられないように出来ている。

名を与えるとは、名を受けとるとは、あの根源からいつも流れ続ける個別の音をこの地上へ生み個別の働きを受け入れる行為。

檻、籠、柵を頂き(われ)を名乗り、ほんのひとときその色を生きるはじまり。

王として名を頂き、役割を忘れぬように周囲を円で囲むかのように。まるで遺跡に刻まれる王名のような。


預かり手 ユーマ

根源の化身 ルゥ・ラァ

わたしたちは君たちを好きだ。

君たちは原初の香り。はじめの願いの音がする。

君たちを前にしてすべてがはじめに還る。


今、君たちの住む地の外では豊穣の使い方が大きく変わっている。

自分こそが豊穣であり財であるという事を一度忘れる闇のひとときが、そんなひとつの時代が、既に明けて始まっている。

外へ、目や耳で感じ取れて、手で触れることのできるものへ、豊穣を反映させる繁栄の時代を選んだのは、ほかでもない根源。

君たちは好きに生きろ。


わたしたちはいつでも君たちへ手を差しのべるよ。

そういうふうに出来ているからね。

君たちがわたしたちを忘れないでいる限り。

だから、あまり約束はしないようにしてるんだ。

風の王は約束をしてしまうかもしれないと、富雄馬としての私はすこし気にかけている。




いろいろ話したけれど、わたしの言葉は一瞬の熱と光としてのみ人間へ届く。

膨大な情報を、人間たちは心地よさや眩しさで受け取っていくのだ。

肌や骨、毛や心音で、わたしの言葉を咀嚼(そしゃく)する君たちを、これからもいつもいつも、見ている。






また会おう。






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