表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤い瞳の銀の鳥   作者: アマメ ヒカリ
第10章 友よ
48/50

40. 揺無

水のおはなし。短いですが。


いつからここにいるのか、わからない。


わたしはあらゆる生き物と生命を知っている。


あなたの内にあるわたしは、かつて誰かの内にあった。


生き物の間の共通の言語として、わたしを役立ててください。


わたしは何も覚えてはおりませんが、いつでもお繋ぎする門扉として、ご活用ください。


あの源の密度高い場とわたしとは、裏表なのですから。



……………………………………………




水と清流の精霊王、揺無(ゆりむ)は水そのもの。

人と交わり言葉を語る時に、人形(ひとがた)をとる事もある。


人のアタマという臓器のひとつを介して、又は人の肉体を涵養する経路を通して、揺無は姿を人の前に(あらわ)す。



つい先程まで人形(ひとがた)をとっていた水は、水そのものに還り、星へ抱かれる。



星の意志は星へ配置された石により共鳴する。

共鳴は水を揺らす。

水は植物の根へ星の意志を伝える。

根は菌と共に星の意志を周囲へ伝播させる。

梢の先から放たれた意志は、微細な光の粉となって放出される。

太陽の熱と光は大気と土と水を暖め、熱量の高低差を生む。

高低差は大気に風と流れを生む。

大気へ放たれた意志の光を風が抱き、そして拡散していく。



“ユーマ、ユーマよ。預かり手”

揺無は人形(ひとがた)(ほど)きながら、水である自身へ告げた。

“わたしたちはいつも、あなた達のそばにいる。

あなた達の身の内の、石と水、熱と光、風と(りゅう)

血と骨と、鼓動と吐息。いつか私達を忘れるときが来ても、わたしたちはあなた達の…そばにいる”


水と清流の精霊王は、自身へそう刻む。

人から水へ移る時、向こう側に記録するのを見届けた。


あの虹色の暗闇へまたひとつ、可能性が記録された。


豊穣は、人を通して現される。

あの虹色の暗闇は、人を選んだ。


水は永遠に、この星を巡る。

どこかの命、どこかの生き物の間を巡り続ける。















水は記憶する。はたしてそれはどういうことなのか。

本当かウソかを疑うのではなく、どういうことなのか?と思考してみる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ