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赤い瞳の銀の鳥   作者: アマメ ヒカリ
第9章 望
41/50

33. 青よ、青

短いですが投稿します。

書き終わり、ちょうど888文字。

縁起良すぎ。


ユーマは走る。

集落に巡らされた白い路を走る。

すれ違う人々と手を振り合ってゴートへと向かう。


目の端に流れ去るのは、路に飾られた花の色や家の白い壁。

こんなに走っていても息が苦しくないことが楽しい。

自分がますます丈夫になっている気がした。

こうやってみんな大きくなっていつか(おさ)のおじいさまのようになるんだな、とユーマは思った。









ゴート。

震える場所と呼ばれるこの建物は、集落の中心部にある。


試みを繰り返して検証を行う場所。

若者たちが自分の性質を知る場所。

集落に古くから伝わることを記録したものをしまう場所。

憩う場所。

体や精神を整える場所。

作物を保存用に加工し保管する場所。

作物の種を眠らせておく場所。

糸を紡ぎ布地を織り衣服などにする場所。



ゴート。

そこには(おさ)と呼ばれる者がいて、見守り、見届けた。

(おさ)は一生をかけて見届けたものを、この世から離れる前に歌にして詠唱する。

帰還前に、こちらへ残しておけるものを集めて歌う。

しかしそのほとんどは表すことはできない。

歌えば歌うほどに(こぼ)れてゆくあれもこれもが、歌の狭間に揺れている。



(かたち)(かたち)(かたち)(かたち)……

かたちにすれば、同時にかたちにできなかったものができる。

かたちにすればするほどに、かたどられなかったものが後ろに控えている。

(おさ)たちはそれを承知で残していく。



(おさ)たち。

ユーマが会いに行く(おさ)は、濃く深い青の染料で染められた衣服を(まと)っていた。

あなた方にわかる言い方で表すと、藍色だ。

実際、この染めは植物の根で作る。



なぜ深い青を(まと)うのか。

それは、青を生むために沈んでいった全ての色を、大切にしているからだという。



(おさ)達は、見守り、見届けた者達。

今回の(おさ)は何を見守り見届けるのだろう。




これは、未だ世界が熱く、猛々しく、若かった頃の物語。

私はこの物語を預かっている。

ありふれた話だが、何かの役に立つだろう。









さあ、書こう!


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