24. 独言
今日もお疲れ様でした。
ユーマは大きくなりました。
ルゥ・ラァとの星をめぐる一日、あれは楽しかったな。
怖い思いをしたことも、良い思い出だ。
何しろ僕は、ダルシから出たことなど無かったし、
海があるなんて聞いたこともなかった。
海はいいなあ。
海は、良かった。
リ・グウにも、レツにも会えた。
リ・グウは、海のあることを皆に知らせるのを、
やめておけよと言っていた。
そうだね。そうなのかもしれないな。
僕たちは、目の前の事を大事にしていく事が必要みたいだ。
あれから、何度も星をめぐった。
大気や石や、木には、確かに色々なものが記憶されていた。
悲鳴や、秘密や、後悔。
でも、どの記憶にも必ず、大切に思う気持ちが混ざっていて、
どうしたら良いのか、僕は困ってしまった。
土と鉱物の精霊王のソードの案内が無ければ
辿り着けない場所に行った時の事だ。
たくさんの透明な玉がある場所で、
そこには、玉の世話をする男の人がいた。
男の人は僕をみると、やっぱり笑うんだ。
リ・グウみたいに、シルフェみたいに、
懐かしそうに笑うんだよ。
僕はなぜだか胸がいっぱいになって、
元気だった?と言ってしまった。
男の人は、少しだけ泣きそうな顔をして、
はい。あなたも。
と言ってくれた。
どうやらこの星は何度も壊れかけたみたいで、
それは「豊穣」と関係が深い。
僕の持つ、豊穣は、
多分、みどり色。
思い出すように、
無くさないように、
僕の一部に畳んで閉まって、鍵をかけたみたいだ。
ああ、胸がいたむ。
胸のなかに僕がもう一人いる。
みどり色の、豊穣。
豊穣は、人の手で運ぶ。
今度こそ。
きっと。
うまくいく。
今日は寒いです。
温かくしてお休みください。