出会い
地上に射出された濃紺色の〝それ〟を見つめたアオは、突然走り出した。
逃げる間もなく、それは、こちらに向かってくる。
だが、アオは、盛大に足をもつらせて転ぶ。
「わっ!?」
二人とも地面に這いつくばるような格好になる。
「!? いってて……」
スズの紺色のセーラー服と同色のスカート、空色の三角タイ、黒いスニーカーにも土砂がつく。まだ幼さが残る彼女の顔にも、かすり傷がついた。
短い前髪に、襟足は少し長く髪ゴムで一本に縛られている。横髪は縛っているので、耳にかかっていない。
少し長いまつげを持つ黒い瞳は、今はうつむいてる。
アオは心配そうに、スズに問う。
「けがは?」
スズはまだ、黒い瞳をうつむかせていた。
「痛いけど……まあ大丈夫」
アオが手を差し伸べ、スズがその手をとって立ち上がろうとしたそのとき——ドガァアンッ!! と轟音が響いた。
スズとアオはそろって、自分の顔を両腕で覆う。周囲に舞った土ぼこりとともに、巨大な左手が、スズのすぐ近くに押し付けられた。
「うう……くっ——」
横倒しになったスズは、なんとか体を起き上がらせ、不思議さと驚きが入り交じった表情で、現れた巨大なそれを振り返る。
彼女は、スカートの土ぼこりを鬱陶しそうに払い、頬を手のひらで拭った。
何、あれ? と、彼女は首をかしげる。
アオは、ハッと目を見開く。
「カエデ! まさか、彼女がやられてるのか……?」
アオは考え込むように、右手をあごに当てる。その彼の視線は、突然現れた紺色の巨大な人型を凝視していた。彼は、鼻の付け根にシワを寄せているが、彼の手をとり、立ち上がったスズは彼に不安そうに問う。
「ねえ、負けちゃうの? 大丈夫?」
そのとき、グラリと、崩れてくる看板の巨大な影が、スズの眼前に現れる。
「え? うわあ!?」
「危ない! スズ。身を屈めろ!」
スズが驚き、アオがスズの頭を体を張って護ろうとした、そのとき——。
巨大な左手が急に持ち上げられ、スズよりも巨大な看板は、その手の甲で細かく砕かれた。
あれ? 痛くない? なんだろう? この大きな影……スズはおそるおそる両手を解き、その影を目で追う。あ……。
スズは、それとともに出てきた巨大な手のひらを見つめた。護って……くれたのかな?
「あ、ありがとう……」
アオは不敵に笑う。
「グッドラック。僕もあとで向かうよ、カエデ」




