精霊だけに留まらず
【盲目の偶像】、ポッピー・☆・セレブリティ。
その二つ名が示す通り〝盲目〟──つまり目が見えていない事実も相まって、本人はあまり自覚していないようだが。
精霊を始めとした人外の存在のみならず、実のところ人間相手にも中々の人気を誇っているらしく、アイドルとしての姿を晒すやいなや瞬く間に人集りができるほどなのだとか。
そうなると必然、彼女の人気を利用せんとする者も現れ。
親機と子機の一対で撮影や録画、果ては生中継などの能力を持つ迷宮宝具、〝ウアジェト〟による番組も制作された。
今回の〝無色変異種討伐〟も、その一環なのだという。
「……それで?」
「その様子を生中継して、それを後々映画化もするって言ってたよ? だから、ユニちゃんが入っちゃうと──……ね?」
「んー、そう言われてもなぁ」
そして、そんな無色変異種討伐の一部始終を生中継にて全世界に公開し、それを編集して映画化したものをまた全世界へ──という興行が決まっている以上、ユニの存在はどう考えてもノイズにしかならないとやんわり明かしたポッピー。
一方それを聞いたユニはどうすべきかと思案していたが。
(何かしら、この違和感……)
そんなユニを見て何かしらの違和感を抱くアシュタルテ。
最強の狩人であり、たとえ相手が貴族だろうと王族だろうと気遣う事も謙る事もないユニが強硬手段に出ようとしない事に強い違和感を抱いていたものの、それを確認する前に。
「それじゃあ、これはどう? 主演とやらは君でいいから、私も出演させてもらえないかな? その生中継やら映画やらに」
「『えっ』」
「ん?」
ユニの口から紡がれたのは、まさかの出演要求。
『……貴女ってそういうの嫌がるタイプだと思ってたわ』
「うんうん、ファンの子への握手がギリだと思ってたよ」
「私にも目的があるからね。 で、どうだい?」
「う〜ん……」
奇しくもポッピーとアシュタルテの中のユニへの印象は被っており、もちろんユニとしてもそんな無意味に等しい事はしたくないというのも事実だったらしいが、それはそれとして〝夢〟の成就に勝るものはないというのも事実なようで。
主演であってもいち演者、制作そのものに口を挟む権利はないと解っているからこそ悩んでいたポッピーが顔を上げ。
「とりあえず、スタッフさんたちと話してみない? もしOKが出たら一緒にやれるけど、駄目だったら──どうする?」
「その時はその時かな、色々やりようはあるから」
「……あんまり無茶はしないでね。 そんじゃ、行こっか」
ひとまず口を挟む権利を持つ者たちと話し合い、そして出演交渉をしようと提案し、『やりよう』と紡いだその言葉の恐ろしさに目を瞑りつつ、2人と1柱はその場を後にした。




