か・ぞ・く 21
「で?」
元虎は笑うのを堪えながら今日子を見上げた。
「どうするんだ?」
「・・・・・・・・・」
何も考えていなかったらしい、知的ママまさかの誤算だな・・。
「晴生さんを殺すなら私も殺しなさい!っていうか先に私がアナタを殺す!!」
暴走しすぎだろ!
「今日子さん落ち着いて」
「落ち着けますか!」
お願いだから落ち着いてください
晴生は気合で起き上がると今日子に抱きついて机の上から下ろし、そのまま逃亡を図った。
「・・・・あ!待てやごるぁああああ」
今日子さんの暴走に呆気にとられていた不良は急には動けなかった。
その隙に逃亡。
「くく・・やっぱ今日子おもしれー・・兄貴」
「ん~?」
「車かしてくれよ」
○○
「晴生さん、傷だらけで大丈夫ですか?!」
「痛い」
「病院いきましょう!」
「駄目だ・・車どれだ?」
「あの黒いのです」
二人車に乗り込み、エンジンをかけてはしりだした。
「・・・すみません、私のせいで」
「いいんだ君は悪くな・・・・?!」
後ろからリムジンが突っ込んでくるのが見えた。
急いでハンドルを切って横に避けると、前にあった白い車と衝突。
「いまの、元虎さん?!」
「頭逝かれてるやつって怖いな本当!」
スピードを上げて走る。
「家に帰るつもりだったけど、逃げたほうが良さそうだ・・さぁ何処行こう」
「きますよ!」
なにこのアメリカで良くありそうなシチュエーション。
「そうだ、賭けてみるか」
「え?」
ハンドルを切って急カーブして狭い住宅に挟まれた道を通っていくが、リムジンは気にせず突っ込んできた。
「うわぁ、信じらんね」
「晴生さん!どこいってるんですか」
道路に再び出て、再び前の車を避けながら走る。
「晴生さ・・」
「車のクッション顔の前において」
「ぶ」
どっかぁあああああああああん
いきなりスピードを緩めると、後ろからリムジンに体当たりされ、どこかの建物に突っ込んだ。
「大丈夫か・・?」
「え、えぇ・・う、っつ」
歪になった扉を開けて外に出る。
「あ・・」
目の前には銃を構えた警察がいた。
「警察本庁にご到着」
「・・・・・なるほど」
警察は急なことに驚きながら怪我をしているのをみて、銃を降ろして怪我の手当てをするといってくれた。
「あの、後ろのリムジン車の人に酷い眼に合わされて、よかったらココの被害の請求あの人にとって貰ってください」
「あ、突っ込みすぎて酔ったのか、倒れてる」
やれやれと溜息つく。
「まぁ、これで一旦は諦めてくれるだろう」
「そうですね」
何このカオスな状態
二人見合って笑った。
アメリカの映画みたいに、綺麗には行かないようだけど、まぁ、こういうエンドでもいいだろ?
そういって笑うと、綺麗な彼女の笑顔が見えた。
「さぁ、明日香迎えに行こうか」
「その前に、病院」