00. 平成20年12月25日(木)波笛神社ライブカメラ 杉谷喜一の中継記録
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【LIVE】屋敷神郷波笛神社定点カメラ
平成20年12月25日(木)午前3時30分
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今このライブカメラの映像を、僕の姿を目撃している全ての人たちにお願いがあります。
どうか僕の話を最後まで聞いてください。
僕はこの郷から生きて出られないでしょう。
もう、時間が残されていないのです。
郷の人間たちに見つかるまでの間、僕の願いをこのカメラへ中継記録として収めようと思います。
たとえこの映像が誰に届かなくとも、【監視】によって揉み消されようとも。
この命が燃え尽きるその前に、郷の真実を伝えたいのです。
お願いです。
この映像を見たそこの貴方、どうか僕に続いて調査を続けてください。
警察でも記者でも観光客でも、誰でもいい。
この闇は、必ず誰かが断ち切らねばなりません。
僕は、軽い気持ちでこの郷へ訪れてしまいました。
教師を目指す人間として、この緑溢れる豊かな郷の空気に触れてみたかったという気持ち。
そんな思いの下、この郷へ降り立ちました。
僕がこの屋敷神郷へ訪れたのは、秋の空気に包まれた10月下旬でした。
自然に囲まれたこの郷で、可愛らしい生徒たちに囲まれて幸せな日々を送っていました。
今後様々な憶測が世の中で飛び交ったとしても、それだけは信じてください。
生徒たちに悪意はない。
全ては仕方なかったのだと思います。
歯車が狂いだしたのは、冷たい雪が降りだしたあの時からでしょう。
今となれば、ただそれだけなのだと思います。
この郷の人間の中には、きっと人ならざるものが宿っています。
それが幽霊なのか怪異なのか、はたまた理解不能な何かなのかは分かりません。
ただ僕は、もうそれに耐えられませんでした。
だから、せめてこのライブ映像を見ている誰かに聞いてほしかった。
誰もこの映像を見ていないとしても、この謎を解き明かしてくれる人が現れるのではないかと。
この郷に設置されたライブカメラの意味。
そしてその禁忌に触れてしまった時、僕の運命はきっと決まったのだと思います。
その事実に気が付いた時には、もうあの穏やかな日常は崩れ去っていたのです。
楽しい授業も、生徒たちと食べたお弁当のひと時も、放課後の幸せも。
全てを嘲笑うように、あの恐ろしい定点カメラに僕の姿が映し出されるのです。
お前を逃がすまい。
決して逃がすまいと、二十四時間僕の後を追いかけ続ける……。
襲い掛かる【監視】は、決して僕を逃がしはしませんでした。
きっとこの郷の真相を追う貴方の姿も、この恐ろしいライブカメラによって監視されてしまうかもしれない。
追手がすぐそこまで迫っているようです。
……この木刀で、どこまで抵抗できるかはわかりません。
でも、ただでやられるわけにはいかない。
僕はもう行こうと思います。
僕が収めることのできる記録もここまでです。
ですが、必ずこの中継記録を見た貴方が真相を解き明かしてください。
この郷の皆が、生徒たちが幸せに生きて行けるように。
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平成20年12月25日、波笛神社定点ライブカメラに収められていた杉谷喜一の中継記録は、ここで途絶えている。
なお、設置されていたライブカメラは何者かによって粉々に破壊されており、以降の記録は存在しない。




