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そして彼女と出逢った  作者: 霜月 時雨
プロローグ
3/11

プロローグ【二人の夜】

文章量は少ないのに、時間がかかってしまった。


そもそも、前回は村石としか会話してないけど、誰得だよ・・・

さて、先の話で皆様は解っているであろう、二人きりの夜だ。

始めての二人、俺の部屋で二人、しかも夜。

普通の男の子なら小躍りするのを堪えながらも、女性をエスコートしたいと考えると思う。


だがしかし、今の俺にそんな一般人のような思考は存在しない。

当然だ。

目の前にいる九花は普通の女の子ではない。見た目だけで言えば、かなりの上玉だ。

ただ、それだけで手を出そうとは全く思えない事情を知ってしまった。決して俺は不能ではないし、男色でもない。

至って正常な男だ。

さっきまでは、基本的に村石としか話してなかったが、それは致し方無い事だ。マトモに会話できたのが奴しかいなかったからな。

それはさておき。

今、かなり辛い状況にある。

というのもだ。

九花が寝ている。それはいい。この謎の生命体に睡眠が必要なのか疑問ではあるのだが、それはいい。

問題はちゃんと人の、女性としてかなり上玉な見た目が自分と同じベッドで寝ているということだ。

一緒の布団に潜り、寝始めたと思いきや俺の胸に顔を埋めた、控えめに抱きついてくる。彼女の格好は、薄手のワンピースのみ。寝息はかかり、髪の香りは鼻腔をくすぐり、薄い布越しに感じる柔らかな肌の感触と体温。少し目線を下げれば整った顔立ち。

九花が人間であれば・・・、そう思うと同時に人間だったからといってどうするのか?

そもそも、俺は九花を押し付けられて迷惑しているし、九花自身も俺に対して好意を抱いている訳ではないはずだ。

ならば、何もない。これに尽きるはずなのに、俺は苦悶している。

そう、理性を保つのが大変なのだ。

何度も言うが、九花は美少女なのだ。

例え人間でなくても、魅力的なのだ。

「なのだ」が被っているが、その位に魅力だけは感じているし、我慢を強いられている。

こうなったのも、九花があることを譲らなかった事が原因である。

俺からしたら、人間ではないとはいえ女の子だ。ベッドは一つしかないので譲ろうとした。しかし、九花いわく「この部屋の主はあなたなのだから、ベッドではあなたが寝るべき」と主張したのだ。

こちらとしては折れる訳にはいかない、男の子の意地として。だが、九花も何も言わずこちらの目を見続けるのだ。端から見れば見つめあってる様に見えるだろう。されど、事実は睨み合いである。

その状態が5分過ぎた頃、九花が諦めたかの様に息を吐いた。

「わかりました・・・ここは折衷案を出しましょう」

微妙に辿々しく、されど微妙に難しい言葉を使う九花。

というか、折衷案って・・・若干嫌な予感がするのだが。

そう思った矢先に、

「えい」

と、可愛らしい声で俺を押し倒した。もちろん、声とは裏腹にかなり強い力で。これは決して女の子が出していい力ではない。

声を上げることもできない位に一瞬でベッドに押し倒され、

「一緒に、寝ましょう」

宣言された。


そこからが早かった。

九花は手早く着替え、証明を消し、ベッドに潜り込んできた。

その間、何秒だっただろうか?

俺はただただ呆けていた。

そりゃそうだ。いきなり美少女に一緒のベッドで寝ると宣言されたのだ。どんなに俺が女性に免疫があったとしても、直ぐの回復は見込めないだろう。(そもそも免疫があれば、今頃は彼女の一人や二人はいただろうが)

ともかく、九花が準備を終え、ベッドに戻ってきた。

頭の回転も回復はしていない。

状況が呑み込めない。

そして、九花が抱き付いてきた。柔らかい感触。何処がとは言わない。お互いが向かい合って抱き付かれているので、若干腰は引き気味だ。

そんな、こちらの気持ちも考えもせず、九花は寝息を立て始める。


これが冒頭の部分だ。

再度、冒頭に戻るという手法を使うのは手抜きみたいな感じがするかもしれないが、そう表現せざるを得なかった・・・と、言い訳させてもらう。

結果として、俺は九花を抱き締める事もなく、ただただ眠れぬ夜を過ごしただけであった。



まだ言葉は拙くしか話せない、でもそれで充分。

私はそう考えている。

情報収集はかなり進んでいる。

明日にはある程度は流暢に話せる様になるだろう。

そう結論付けて、目の前の問題に着手しよう。

目の前の問題・・・この男性を如何にして私の虜にするか。

言ってしまえば、一目惚れだった。

私自身が彼と同じ人間でない事くらい、とっくに理解しているし、子供が作れるかは・・・試してみないと判らない。でも、ちゃんとした人間の女性としての身体は持っている。まだ、その手の知識は乏しいけれど、その内に彼を誘惑してみようと思っている。

村石とかいう男のお陰で今日から彼の部屋で生活できるようになったけれども、幾つかの問題は有るだろう。彼も言っていたが、まずは彼自身の人間関係や環境だ。彼は大学生であり、昼は講義に行っているはずだ。その間には村石かその相方の清水、もしくはその両名が来る手筈となっている。

まぁ、彼らも彼に信用されていないのだけど、あの母親よりはマシだと思う。そもそも、私もあの第一声のせいで彼からの信頼は無いだろう。自業自得だが、困ったことになった。

更に言えば、私は彼の名前も知らないのだ。どの様に呼んだらいいのか・・・。

以上の事を後回しにしつつも目の前で彼が何処で寝るか考えている。一応は私を女の子として扱ってくれているのだろう。素直に嬉しい。

ただ、可能なら一緒の布団で寝たいという願望が、生まれたての私の中に鎌首をもたげている。彼の事だ、おそらくは床で寝ると最終的に言い出すだろう。その場合、彼が寝た後で彼の隣に行けばいいだけの話だ。だが、折角なら最初から一緒に寝たい。

となれば・・・

「この部屋の主はあなたなのだから、ベッドではあなたが寝るべき」

まだ、少し拙い言葉で、だがちゃんとした言葉で意見をしてみる。

「一応は女の子なんだ、床で寝させる訳にはいかないだろ」

一応という枕詞はいらない。

でも、女の子扱いはやはり嬉しく思う。

とは言え、ここでは何となく譲る訳にはいかない。そんな気がする。ただ、このままだと意見は水平線だ・・・平行線?

5分程見つめあっただろうか。

その間に私は考えていた。この状況を打破するにはどうすればいいか。

そして。

「わかりました・・・ここは折衷案を出しましょう」

私は決めました。

「えい」と掛け声をハッキリと呟き、宣言します。

「一緒に寝ましょう」

彼は意表をつかれた様にキョトンとしてました。

まさか、私が強引に来るとは思っていなかったのでしょう。私も行動できるとは思っていませんでした。

まぁ、彼が呆けている内に私も手早く準備を済ませましょう。

ものの数秒で終わらせ、彼と一緒に布団を被ります。

そして。

彼が動揺しているのを感じながら、彼の胸に頭を預け、そのまま寝入りました。


・・・今、思えば、間違いなく失敗でした。

だって、ここで恥ずかしがって眠れないなど会話して、自己紹介もここでちゃんとしておいて、今後の事も話しておけば良かったのに。

寝てしまえば、私のイベントはここで終了であり、彼からの印象も、彼に興味の無い、よく判らない女擬き。

そう思われても仕方ないことです。

それこそ、後の祭りということです。


朝、目を覚ますと、彼は非常に眠そうにして、私の事を胡散臭げに見てました。





次回からプロローグではなくなる予定です

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