第七話『魔王、二次元に立つ!?』
今回、後半部に、やたらとスペースが入っているので携帯版などでは読み難い可能性があります。読みづらいと言われたら修正致しますので。
毎回タイトルが書き終わってから十秒程度で決めてる気がする……あっ前書きで書く事じゃないよね……
第七話『魔王、二次元に立つ!?』
「早くもこのシリーズ、マンネリ化してるよな」
魔王は王室に入ると、呟くようにして、皆に言い放った。
皆が、無視する中、姫と小ボスだけが呆れながらも反応する。
「何よアンタ。部屋に入って来るなり、何を言い出すと思ったら……頭でもおかしくなったの?」
「そうですよ、魔王様。いくらエロゲ脳だからって、現実世界をクソゲーと言い出したら終わりですよ」
「――ううっ。いや俺だって別に現実がクソゲーと言うつもりはない。
だがな……こう……もう少しイベントが欲しいッ!」
「具体的に、魔王様はどんなイベントが欲しいんですか?」
小ボスは興味津々だが、姫と中ボスは興味が無さそうだ。
妹に至っては同人誌を読む方が大事なようだ。
「まあ具体的にあれがしたいとかは無いのだが、……うーん。
ああ、そうだ、学園物のエロゲみたい展開が欲しい」
「――キモッ」
「魔王様気持ち悪い」
「流石に引きます……」
うわ……皆冷たい……正直に欲望を口にしただけなのに……。
「おにい、ならこんなゲームがあるけど」
妹は同人誌から顔を上げ、横に置いてあったカバンから一つのゲームを取り出した。
「なになに……『バーチャル仮想学園アールタイプ』? なんだこれは?」
「あれ、おにいは知ってるかと思ってたけど。まあいいわ軽く説明してあげる」
バーチャル仮想学園アールタイプとは。
変態企業、『G線上の魔王ソフトウェア』から発売した全年齢対象ゲームソフトである。
このゲームの最大の特徴は、実際の人物が約百五十の質問に答える事によって。
攻略キャラ自体の性格が、そのインプットした人物になるという物だ。
技術的な事は一切不明だが、G線上の魔王ソフトウェアの公式サイトで、有名人の性格データを配信する事によって。
実在するアイドルを疑似的に攻略する事も可能になり、爆発的な売れ行きとなった。
「おお~これが噂の仮想学園か!!
各店舗でもすぐさま売り切れになり、オークションで買おうにもメーカー価格の三十倍以上の値が付いて、幻のギャルゲーソフトと言われたソウガクを何故お前が?」
妹は無い胸を必死に誇らしく張りながら、魔王に一枚のカードを手渡した。
「ふふふっ、私を舐めないでもらえる? もちろん手入れるのは大変だったわ。
極秘裏に、おにいの財布からこのクレジットカードを抜き取ることが、どれだけ大変か」
「…………」
魔王の表情は絶望に染まり、顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。
駅のホームで、こんな表情の人が立っていれば、人々は警戒し、駅員は止めに走るほどだ。
「うわっ妹ちゃん、外道……」
※もちろんクレジットカードは、家族であっても無断使用はいけませんよッ!
「ねえねえ、それより早くやってみようよッ!」
小ボスは無邪気にゲームソフトをゲーム機本体に挿し入れた。
「くそっこうなったら自棄だ。元が取れるくらいの勢いでプレイしてやるッ!」
魔王は張り切りながらも、一度席を離れ。長時間連続プレイの為のトイレに行った。
「魔王さま~質問の方は一通り終わりましたので、プレイ可能ですよ」
「流石だな、ではいざッ!」
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…………NowLoading。
クズオ「俺の名前は『塵 屑男』。
今日からこの私立バーチャル仮想学園こと『ソウガク』に入学する事になっている」
…………なんだこの悪意たっぷりの名前は?
そんな理不尽なネームにも負けずに頑張る主人公……まるで俺を見てるようだ……。
クズオ「この学校で彼女を作って、俺の灰色だった人生を一瞬でバラ色に変えてやるぜぇッ!」
『そう意気込み、入学式に臨む、クズオ。
どこに行っても校長の話しは長いっというのは変わらないなとクズオは思いながら、
退屈そうに視線を泳がしていた』
『「新入生代表挨拶」と耳に届き、クズオは目線を壇上に移した』
クズオ「――!! ……かわいい」
『クズオが壇上に視線を向けると、そこには赤髪の少女が、
必死に新入生代表挨拶とやらをこなしている真っ最中だった』
?? 「新入生を代表して一言、ご挨拶を致します……ううっマイクが高すぎるわ………」
『マイクと少女の身長はやや不釣り合いだった。
それを補う為に少女は背伸びをし、それでも足りないのでつま先立ちをしている格好になっていた』
『皆がスピーチの内容では無く、
少女が一生懸命マイクと格闘している事に注目が行っている事は明白であった』
?? 「――新入生代表『姫』」
『スピーチが終わり、今までとは比べ物にならないほどの盛大な拍手が体育館を包んだ。
少女は誇らしげに壇上を下りて行った』
『皆、口々に「よく頑張った」などと保護者のような事を言っていた』
『入学式も終わり、その後、俺達は各教室に貼り出された名前を確認し、所定の席に着いた』
クズオ「一年四組か……そういえば『あの子』がどの組かチェックしておけばよかったな」
『クズオは窓際の一番後ろの席で、アクビを噛み殺しながら、つまらなそうに外を眺めていた』
?? 「こんにちわ」
クズオ「あ?」
『突然の挨拶に、クズオは顔を右に向けると、声の主を見た』
姫 「こんにちわ、ゴミ君、隣の席ね」
クズオ「どうして僕の名前を?」
『混乱するクズオに対して、姫は至って冷静に答えた』
姫 「ゴミ君は、外に張り出されてた紙で前後左右の席の人くらい確認しなかったの?」
クズオ「……ああ、それでか。こちらこそよろしく、えーと姫ちゃんでいいのかな?」
姫 「もー、私達クラスメイトなのよ。姫でいいわよ」
クズオ「じゃあ僕の事もクズオで。よろしくね姫」
『そう言い、クズオは手を姫の方へ差し出した。
だが姫はその手を見ると、すぐさま撥ね退けた』
クズオ「!?」
姫 「馴れ馴れしいわね、私とアンタの関係を忘れたとは言わせないわよ?
アンタは私の従者なの。わかる? 奴隷なのよ? 分かったら『ワン』とお鳴きッ!」
選択肢。
一、≪ワン≫
二、≪黙れ腐れビ○チ≫
「こんなギャルゲーやだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」
魔王はコントローラーを画面に投げつけると、姫の方を睨んだ。
「何よ! 私はただ質問の答えだだけよッ!」
「なんでゲームの中ですら、上下関係が変わってないのだッ! ゲームの中でくらいピュアで居たい!!」
「それになんだ? プレイ中にはツッコミ入れなかったけど、『塵 屑男』って酷すぎないか!?
既に名前からドM仕様みたいになってるんだがッ! 貴様らが決めたんだろう!!」
文句を一通り言い終わった魔王は、肩で息をしながら、もう一度コントローラーを握った。
「……魔王様、あれだけ文句を言ってたのに、もう一度プレイするんですか?」
「とりあえず目の前にある選択肢だけは片付けないと気が済まぬッ!」
そう言い、魔王は、クイックセーブを行ない、選択肢を選んだ。
…………NowLoading
クズオ「ワン」
姫 「あははは、ホントに行ったわコイツ! いいわ、一生こき使ってあげるッ!」
クズオはその後、ぼろ雑巾のように姫に扱われ、そして死んだ。
≪BAD END≫
唖然としながらも、魔王はクイックロードをし、もう一つの選択肢を選んだ。
…………NowLoading
姫 「へー私に逆らうの? いいわ、私に逆らった事、死ぬほど後悔させてあげる」
姫はクズオを限界までいたぶり。
クズオは体験がトラウマになり、一生家で引きこもり、ゲーム漬の生活となった。
≪BAD END≫
「あはははっ、今の魔王様みたいになっちゃいましたね」
「…………(小ボスって何気に一番外道よね)」
「…………(また小ボスのオーバーキルですか)」
姫と中ボスは奇跡的に同じような事を同時に思っていた。
「おにい、大丈夫よ」
「??」
既に半死半生のに成りながらも、魔王は妹の方を見た。
「『小ボス』と『中ボス』のデータも入れてあるからそっちの攻略も可能よ!」
妹は嬉しそうにサムズアップをすると、再び魔王にコントローラーを手渡した。
その後、魔王は、小ボスルートも中ボスルートも見事攻略。
ゲームを終了後、小ボスと中ボスを見つめる魔王の眼は、どこか熱を帯びていた。
≪HAPPY END≫?
本当にマンネリ化してるんじゃなかろうか……。
エロゲ回みたいなのはまた今度ゆっくり書きたいな~(願望)
エロゲのシナリオライターになれたら面白いだろうな。
あと、今回クズオなどの台詞前に名前が入っていますが、エロゲとかノベルゲーにはよくある事なので、それは脳内修正でお願いします。