第六話『地球外勇者!?』
第六話『地球外勇者!?』
魔王は一人、王室でパソコン名の前に鎮座していた。
「我々は三年待ったのだ……」※本当は一年と二ヶ月だけです。
魔王の手には待ちに待った待望のエロゲを握り締め。
その箱の中のディスクを取り出した。
「待ちに待った時が来たのだ! 多くのケームクリエイターが無駄死にで無かったことの証の為に……」
「ソロ○ンよ! 私は帰ってきた!!」
「ぽちっとな」
魔王はアホぽい掛け声と共に真・魔王神宮の電源を点け。
パソコンの起動を待つ間、嬉しそうにゲームのパッケージを見つめた。
その顔はまるで同心に帰った子供のようだった。
そして、魔王が、パソコンの中にディスクを入れ……
バタバタバタ……バァン
「魔王様ッ!」
魔王は突然の呼び声に、あわてて席を立ち、後ろを振り返り、声の主に怒声で返事をした。
「何事だ中ボス、今はパソコン名の中に住まう。
エロゲノ神の為に大切な新作エロゲをインストール中最中だぞ!
場をわきまえろ」
何故か中ボスの後ろには、小ボスに姫、それに妹の姿。
怒声が響く王室には、今まさに、フルメンバーが揃った状態になっていた。
「――正直、『ふりがな』のオンパレードで言ってる事がさっぱりです」
「まあいい、それよりどうした、そんなに急いで」
魔王の問いに、姫が一歩前にでると
「魔王、また魔王城に勇者が来たのよ」
何だ、そんな事か。魔王は特に気に留める様子なく、再びパソコンの前に座った。
「おにい、姫や中ボス、それに小ボスまで急いでこっちに来たのよ。緊急を要しているのは明白でしょ?」
「そういえば、そうだな。で、どうしたお前ら。核弾頭でも奪取されたのか?」
「それが……今回の勇者は一味違うようなんです」
「?? 違う? いつもの勇者との相違点はなんなのだ?」
「既に建て直しが完了したゲートが最終ライン手前まで破壊されています」
最終ライン目前まで迫っているだと!?
パパ上の援助と切手のおかげで制作にこぎつけた人型汎用決戦兵器『魔王ちゃんインパクト』が配備してあるはず!!
あれは姫でも苦戦を要するはず。それを撃破したと言うことか!?
「『魔王ちゃんインパクト』はどうした!?」
「すさまじい突破力を持っていたので、非常事態と思い、独断で投入しましたが、結果は……」
中ボスは悔しそうな顔をしていた。
無理もない、あの『魔王ちゃんインパクト』は、中ボス自ら設計、開発した機体だ。
「役立たずな、魔王様を補うために作りました」と言われたのはひどく傷ついたのでよく覚えている。
一話前に登場したばかりなのにもう破壊されてしまうとは、俺の名前を取っただけに悲惨な最期を迎えたか『魔王ちゃんインパクト』よ……
「直に中央司令室へ向かうぞ、私自ら、指揮を執る」
≪了解≫
「えっ!? あんた達、何いきなり士気が高いの!?」
困惑する姫を連れて、司令室へ移動した。
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「全員持ち場へ。姫はそこで座ってろ、今回はお前は見てるだけでいい、だが絶対に邪魔をするな」
「小ボス、勇者の映像出せるか」
小ボスは頷くと、コンソールを叩き、中央の大型ディスプレイに勇者の映像を出した。
……唖然。
「そうです、これが勇者です」
先ほどまで、一人で司令室にいた中ボスは既に勇者の顔を見ていたので、皆ほど驚きはしていなかったが、それでも気分の悪そうな顔をしていたのは一緒だった。
「これが勇者……あれはどう見てもプレデタ○じゃない」
「よかったな姫! お前より強い男? が現れたぞ! きっと女子供には殺さないぞ!」
「嫌よあんな怪物! どう見ても地球外生命体じゃない!!」
発狂寸前の姫に、フォローをする事にした魔王。
「大丈夫、例え同じ地球外生命体でもエイリ○ンよりマシだよ!」
「どっちも嫌よ!!」
説得失敗!?
「まあいい、とにかく姫は落ち着け、皆もだ。ほら、姫、そこに早くお座り」
魔王はそう言い、姫に自分の隣に座るように指示をした。
憔悴しきった姫は特に口答えも不満も無く腰を下ろした。
よし来た! 魔王がそう思ったその刹那。
ブゥウ!
突如、司令室でオナラの音が鳴り響いた。
「姫、こんな時に、おならをするんじゃない!」
「アンタね! それは私の台詞よ! こんな時に私の席にブーブークッション置くんじゃないわよッ!!!」
そして、殴られる魔王。
「イテテ。俺の有能な脳細胞が一億は死滅したぞ! 人間は頭を一回叩かれると六百万個死滅するだぞ!
総量では百六十億個しか脳細胞は無いのだぞ!」
「じゃあアンタの頭を先ほどと同威力で、あと百六十回叩けば脳死してくれるのね!!」
姫は、魔王にゆっくりと間合いを詰め始めた。
その顔はまさに阿修羅、鬼の形相である。
「敵勇者、現在第三ゲートに接近中。魔王様、姫様。そろそろ夫婦漫才はやめて、真面目にしてください」
「「誰が夫婦だ!!」」
くそっ綺麗に揃ってしまった……あいつらニヤニヤしてやがる!
「ゴホン。ではこれより、勇者撃退作戦を開始する」
「小ボス、勇者の戦闘力はどのくらいだ?」
「――出ました! 五十三万です!」
なんて戦闘力だ! フリー○並だと!?
「姫様の戦闘力が七十万。妹君が七十四万。僕が六十六万です」
ははっ……何てたくましいの、Z戦士がいっぱいだ~……
「俺は?」
「……――五です」
「うわっアンタ弱いとは思っていたけど戦闘力たったの五!? ゴミじゃない!!」
「姫、おにいは後、変身を二回残しているわ」
「そうですね、魔王様は月を見ると――」
「皆さんそろそろ自重してください、怒られます」
≪わかった≫
「では妹、お前が撃退に出向いてくれるか?」
妹は鼻で笑うと、席から立ち上がり
「良いの? おにい、私が行くと、被害がでかくなるかもよ?」
「なんかの拍子に小ボスが本気出すよりもマシだ、行ってくれ」
「そうね、なら私の方が適任ね」
妹は揚々と司令室から出ようとした時。
「ちょっと待って、確かに妹ちゃんの方が強いかもしれないけど、別に私でもいいんじゃないの?」
「お前、あんな気持ち悪いのと戦いたいのか?」
「…………、」
「じゃ私が行くわね」
そうして妹は出で行った。
「妹ちゃん一人で大丈夫ですかね? 心配なので僕も見て来ますね」
「「座ってろ」」
魔王と中ボスの声が同時に上がり、小ボスしゅんとしながらも、素直に座った。
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崩落寸前の第三ゲートの前に立つ妹。その手にはトンファーが握られていた。
最新式の防衛設備でもまったく役に立たなかった相手に対して、あまりにも頼りない武器。
だが、妹は自分が持っているその武器が『頼りない』と思った事は無かった。
妹は、自分の手の中に握られているトンファーを、改めて見つめ、握り直した。
そんな事をしていると、妹の前に有ったゲートは凄まじい轟音と大量の砂煙を上げながら崩れた。
「ぐははは! 貴様が魔王軍の兵か! 変な機械しか居ないと思ったが、ちゃんと兵が居るではないか!!
やはり本物の肉を裂いてこそ戦いよ!!」
「…………」
「どうした、恐怖で声も出ないか! がはははは」
「貴方本当に勇者? まあいいわ、相手してあげる。貴方の罪を数えなさい」
妹は勇者を蹴り飛ばす、その事しか頭に無かった。だけどそれだけで総て事足りる。
妹は地を蹴り、勇者に向かって跳んだ。
次の瞬間には妹はその場から消えていた。
妹が居た場所には砂塵だけが残されていた。刹那、暴風と爆音が辺りに包んだ。
「!?」
妹はただ勇者との距離を詰める為、接近しただけだ。
だけど、その速度は音速に達していた。
そして、その勢いで蹴る。「トンファーキック!」それだけで決着はついた。
「ぐっ……貴様、なぜそんなにも強いのだ……」
妹は内心、何かを期待していた。
「…………(ツッコミは無しなのかしら?)」
妹は諦め、勇者に向かって指を指し。
「私が、私たちが魔族よ」
そういい、妹は城に帰っていった。
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「どうだ姫、妹は強いだろ」
魔王は王室に戻り、再びパソコン名の前に腰掛けた。
「何でアンタが自慢げなのか分からないけど、強さは本物ね技術は無いけど剛力は圧倒的ね」
「…………」
「ん? どうしたのよ? 必死な顔で、箱の中なんて覗き込んで?」
「起動コードが同封されて無い!」
これじゃあせっかく発売日に買ったゲームがプレイできないでは無いか!
「……この箱の中に紙は居ない!」




