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こんな駅で降りた覚えはない  作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
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プロローグ〜ここはどこ なぜここにいるの?

見知らぬ終着駅、立ち込める異臭、そしてスマホから聞こえた「自分自身の声」。

日常が静かに崩壊し、不条理な恐怖へと引きずり込まれていく物語の始まりです。

異世界の不穏な雰囲気とゾクッとする展開を、ぜひお楽しみください。

「間もなく、終点です」という聞き慣れないアナウンスで目を覚ますと、窓の外には黒い霧に包まれた見知らぬホームが広がっていた。異質な空気と湿り気が、まるで別の街へ紛れ込んだかのように肌へ絡みついてきた。鼻腔を突くのは、都内の整えられたアスファルトと排気ガスの匂いではなく、どこか生臭く青くさい、潮風と生い茂る草木が混ざり合ったような強烈な臭気だ。

 列車を降りて、少しホームを歩いてみた。

 掲示板の文字すらかすれて読み取れないホームの灯りが、薄暗い闇の中でぼんやりと揺れている。

 人の気配はない。森の中のようだが 野獣の居るような匂いもしなかった。ただ、古びた駅舎らしき建物に薄暗い照明がついているだけだった。

 自分の足音すら、どこか遠くの出来事のように響く。

 と、その時、ポケットの中で、不吉なバイブレーション音を立ててスマートフォンが震え始めた。

「ひっ」

 布の奥から息が詰まったような悲鳴にもならない悲鳴がれた。

━━誰?

 スマートフォンを取り出して着信画面を見てみた。表示されたのは、登録されていない非通知の番号。

しかし、恐る恐る画面へ指を滑らせ耳に当てると、通話の向こうから聞こえたのは——

「後ろ、見てるよ」という、自分自身の声だった。

 その瞬間、列車の扉が一斉に閉まり、回送列車発車いたします━。というアナウンスとともに、走り去ってしまった。

 ホームに独り、残されたようだ。、

ご覧いただきありがとうございました。

普段の何気ない帰り道が、ふとした瞬間に歪んでいくような不気味さを感じていただけたら嬉しいです。スマホから届いた「自分の声」の正体とは何なのか、そして主人公はこの異質な世界から抜け出せるのか……。

少しでも「ゾクッとした」と思ってくださった方は、ぜひ評価やブックマークをお願いします!次回もお楽しみに。

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