異世界の男
長い休養を経て仕事に復帰をした。
休養中も仕事に携わっていたジャスミンは、各プロジェクトが滞りなく進行しているかチェックしていた。
「ジャスミン、今日少し時間ある?」
チェスターがジャスミンに声をかけてきた。今日は本物のジャスミンが表に出ている。
「はい、大丈夫です。」
「実はギビンズ王国から王がが来るんだけど、王の従兄弟で一人変わった男がいて、その男エレノア姫を気に入ってて、」
「ええ?!」
ジャスミンは驚いた。なぜならラファエル様の許嫁であるエレノア姫を気にいるとは、節操がないのか、無謀な男なのか、、、、。
「で、エレノア姫に騎士をつけたいんだけど一応国王の従兄弟だしあからさまには難しくて」
チェスターは少し言いづらそうに言った。
「ジャスミン、お前は頭が切れる、エレノア姫の近くにいて見張ってて欲しい」
「私が力になれるとは思いませんが、、」
「ラファエル様がそばに居れば良いのではありませんか?」
「それが一番良いが王の接待がある、その隙を狙われると、、」
「要するに,私にその男を追い払えと言うことですね。」
「分かりやすく言うとそういうことだ。プライドの高い男だからジャスミンに負けたら恥ずかしくて二度と来ないだろう、、頼む!」
チェスターはジャスミンに無理なお願いをしていると自覚しているがそれを押し通してお願いをした。
「これ、ラファエル様は知っているんですか?」
ジャスミンは聞いた。
「いや、知らない」
「そんなことでジャスミンを使うとは!と怒るからな。」
「ではエレノア様はご存知ですか?」
……「う、、実はエレノア姫から頼まれたんだ、、、すまん」
エレノア姫から?、、、もしかして罠かもしれない。。嫌だ、毒の件もあったし関わりたく無い。
「チェスター様、、無理です」
「ごめんジャスミン、一生のお願いだ!」
「もう、、チェスター様,,。本当困ります!」
「実はもうジャスミンが受けてくれたって伝えてしまった、、すまん!」
チェスターはジャスミンの両手を握り何度も謝ってきた。その可愛い顔を自分で理解し十二分に駆使するチェスターにまけた。本当に可愛いとこあるから憎めない人。
チェスター様には毒の件も胃潰瘍だと説明してある。だからエレノアの事も知らなくて当然。チェスター様には心配かけたくない。
「、、このお願いは高いですからね!!」
ジャスミンは強引なチェスターに了承した。
ユイカごめん、断れなかった。ジャスミンは頭の中のユイカに言った。
いいよ、ジャスミンの気持ちはわかるから。
それよりもエレノア様は直接手を下さなくてもいい方法を使うのかもしれない。
この男、本当に危ないかもしれない。下手したらこの男に殺される事もあり得る。
準備していかなきゃ。
ユイカはエレノアが意図的に何も知らないチェスターに頼んだのかもしれないと疑っているが、確信はない。前回も,今回も確信がない。
その夜、接待のパーティーが始まり、エレノア姫に付き添い参加した。
ラファエルは、まさかジャスミンがエレノアと一緒に参加するとは思ってもいなかったので驚いた。
なぜジャスミンがいる?なぜエレノアに付き添っている?不可解だ。
ラファエルはすぐにアディに何かあるかもしれないと二人の行動に注視するよう伝えた。
驚いた顔でこちらを見ているラファエルに会釈をし、エレノアと一緒にソファーに腰をかけた。
「ジャスミン、急にこのようなお願いをしてしまい、申し訳ありません」
エレノアはそっとジャスミンの手に触れて少し遠慮がちに言った。
「いえ、エレノア様のお役に立てれば嬉しいです。」
ジャスミンは笑顔でエレノアを見た。エレノアの笑顔の裏はわからない。
この人は恐らく私達を殺そうとしている。ユイカは頭の中でそう考えている。
「おお、これは麗しのエレノア姫!」
突然男が現れた。
あ!この男!
突然ユイカが頭の中で叫んだ。
ジャスミンを通して男を見た時に違和感を感じた。
一見この世界の人物のように見えるが、その男の胸元から見えるネックレスは元の世界のハイブランドのロゴがはいっており、腕時計も有名メーカーのものだ。しかも腰にぶら下げているもの、あれはスタンガン。
この男はヤバいやつだ!ジャスミンには無理、ジャスミンかわって!ユイカはジャスミンと交代した。
エレノアは微笑みを絶やさず男のくだらない話に相槌をうっている。
この男の情報が欲しい。王の従兄弟の訳がないこの男、どう見ても完全に元いた世界の人間だ。
エレノアも本当に厄介払いしたいのかもしれないが、本音は相打ちさせ、私達と男を一掃したいのかもしれない。
思い通りにさせたくないが、今はとにかくこの男の事を知っている人間はエレノアしかいない。
エレノアにこの男の事聞かないと、、。
一旦エレノアをこの場所から連れ出し、あの男の情報を聞かないと戦えない。
ユイカは立っているメイドを呼び飲み物を持って来るように伝えるフリをして、ラファエルが呼んでいるとエレノアに言うように指示をした。
少し間をあけて先ほどのメイドが飲み物と伝言を伝えにやってきた。
「失礼します、エレノア様、ラファエル様が呼んでおいでです」
エレノアは男に挨拶し立ちあがった。
男はニヤニヤしながら「エレノア姫、また後ほど」と言って汚いガニ股の歩き方で去って行った。
久しぶりにあんな歩き方する人をみた。
事態は最悪だ。




