【設定資料集・おまけ第1話】スコグハイムの暮らしと食卓
【設定資料集・おまけ第1話】スコグハイムの暮らしと食卓
ようこそ、北方開拓都市スコグハイムへ!
地方行政庁・魔獣害対策課窓口の新人書記官、アストリッド・リンドベリです。
この資料は、私たちが日々暮らしているスコグハイムの暦やお金の仕組み、そして何より私たちの生命線である『美味しいご飯』についての公式解説集です。
【ちょっとした豆知識:『スコグハイム』の名前の由来】
ところで、私たちが暮らすこの都市の名前『スコグハイム』の語源をご存知ですか?
古ノルドの言葉で【スコグ(Skógr=針葉樹林・深い森)】と【ハイム(Heimr=家・故郷・街)】が合わさったもので、直訳するとまさに『森の家』『森の街』という意味なんです!
その名の通り、見渡す限りの広大な北方大森林の玄関口に位置し、豊かな木材や魔石の恵み、そして厳しい自然と魔獣の脅威に囲まれた、素朴で力強い開拓精神が息づく街なんですよ。
冒険者の方も市民の方も、これさえ読めば窓口で計算違いを起こして私に怒られる心配はありません! どうぞごゆっくりお楽しみください!
◆1.北欧自然暦・七曜リスト
スコグハイムが属する北方諸国では、自然の恵みと風土を重んじる【自然暦】が採用されています。
一週間は七日、一年は十二ヶ月。それぞれの曜日は古ノルドの自然語源に由来し、行政庁や街の業務ルーティンとも深く結びついています。
・月光の日(月曜日)
【語源】Máni(月)+ dagr(日)
【窓口の様子】週の始まり。土日に討伐を終えた冒険者たちが朝一番から窓口に殺到し、討伐証明部位の提出と換金申請でロビーがごった返します。アストリッドの胃が朝の八時半からキリキリ痛み出す魔の曜日です。
・薪火の日(火曜日)
【語源】Eldr(薪火・鍛冶)+ dagr(日)
【窓口の様子】鍛冶ギルドや武具工房の資材搬入日。討伐で刃こぼれした武器の修繕費や、矢・消耗品の補充に関する公金補助申請が多く持ち込まれます。
・清流の日(水曜日)
【語源】Vatn(水源・雪解け水)+ dagr(日)
【窓口の様子】魔石査定の集中処理日。査定室でイーヴァル査定員が一日中魔石の純度測定に没頭しており、不純物混入による査定額減額の抗議が窓口に飛んでくる警戒日です。
・樹林の日(木曜日)
【語源】Skógr(針葉樹林)+ dagr(日)
【窓口の様子】都市名『スコグハイム』と同源の木曜日。森林警備隊との合同定例報告会があり、森林伐採区の魔獣害パトロール計画が策定されます。
・黄金の日(金曜日)
【語源】Gull(鉱物・富・実り)+ dagr(日)
【窓口の様子】週次の経費精算および公金支払締め切り日。伝票の山が窓口カウンターを覆い尽くし、定時退社を賭けたアストリッドとスヴェン主任の決死の決算バトルが繰り広げられます。
・大地の日(土曜日)
【語源】Jörð(黒土・大地)+ dagr(日)
【窓口の様子】週末の青空市が開かれ、一般市民や農民からの「畑を荒らす害獣駆除」の小規模随意契約依頼が多く舞い込みます。
・陽光の日(日曜日)
【語源】Sól(太陽・陽光)+ dagr(日)
【窓口の様子】行政庁窓口の公休日(※ただし緊急討伐要請が入った場合は当番制で呼び出しあり)。アストリッドが泥のように眠り、ヘルガ先輩が優雅に温泉へ出かける日です。
◆2.通貨体系と生活実感レート表
本作の世界では、厳格な十進法に基づく通貨制度が敷かれています。
基本レートは【1金貨=100銀貨=10,000銅貨】(1銀貨=100銅貨)です。
時折「十銅貨で一銀貨」と勘違いして計算を間違える冒険者さんがいますが、窓口で即座に電卓(算盤)による弾劾を受けますのでご注意ください。
【通貨単位と交換比率】
・金貨 :1枚 = 銀貨100枚(= 銅貨10,000枚)
・銀貨 :1枚 = 銅貨100枚
・銅貨 :最小通貨単位
【生活実感レート(現代日本円換算の目安)】
・銅貨1枚 :約10円(冷たい井戸水一杯、安い飴玉一個)
・銅貨5枚 :約50円(大衆食堂の追加薬草サラダ、焼き立て串焼き一本)
・銅貨10枚:約100円(街頭の焼きたて黒パン一個、絵葉書一枚)
・銅貨28枚:約280円〜300円(地下食堂の日替わり定食! 公募上限の銅貨三十枚をクリアした破格の栄養満点飯)
・銀貨1枚 :約1,000円(街の一般酒場での豪華な肉定食・晩酌セット、日用品)
・銀貨3枚 :約3,000円(新人冒険者の駆け出し討伐報酬、標準的な宿の一泊素泊まり)
・銀貨10枚:約10,000円(良質な皮鎧の修繕費、一週間分の生活費)
・金貨1枚 :約100,000円(鋼鉄の剣や本格的な防具一式、難関依頼の基本報奨金)
・金貨10枚:約1,000,000円(中古の荷馬車一台、商隊護衛の大規模随意契約金)
◆3.地下食堂『跳ね大猪亭』通常お品書き
行政庁舎の地下に店を構える、職員と冒険者の胃袋のオアシス。
料理長ハルヴァルさんの豪快な味付けと、若女将ヒルダちゃんの正確無比な算盤勘定が光る名店です。
(※第十七話の一般競争入札において、アストリッドが起草した【一食あたり銅貨三十枚以内】という過酷な要求水準を、中間マージン排除と職人技で見事にクリアして落札されました!)
・職員日替わり定食:銅貨28枚
(入札落札価格! 本日の主菜、山盛り麦飯、具だくさん根菜スープ、お新香付き。おかわり一杯無料)
・春野菜と大猪の特製味噌煮込み定食:銅貨38枚
(看板メニュー。大猪の脂身と辛味噌のコクが染み渡る至高の逸品)
・採れたて薬草サラダ(追加小鉢):銅貨5枚
(消化促進と疲労回復に効くフレッシュハーブのサラダ)
・冒険者特盛スタミナ大皿定食:銀貨1枚
(ダンさんたち外部の冒険者向け! 大猪のステーキとソーセージがドカンと乗った超特盛)
・じっくり煮込んだ骨付き猪肉の黒ビール煮:銀貨1枚と銅貨50枚
(夕方限定。ホロホロに解ける肉塊に冒険者たちが唸る逸品)
・山盛りフライドポテト(岩塩とハーブ風味):銅貨12枚
(ビョルンさんたちの酒のつまみの定番)
・エール(大ジョッキ):銅貨8枚
(仕事終わりの職員と冒険者が喉を鳴らす黄金の麦酒)
・鎮静ハーブティー(ポット):銅貨5枚
(アストリッドとスヴェン主任の常飲薬湯。胃に優しい)
◆4.【特別収録】街を救った伝説の大鍋レシピ
北方大森林の魔物大侵攻(二本角大鬼戦)の際、吹雪の中で前線を支え続けた亡きビルギッタ女将直伝の炊き出しスープです。
寒さと恐怖で凍える冒険者や防衛隊員たちの命を救い、街の勝利を胃袋から手繰り寄せました。
【料理名】
跳ね大猪亭直伝・北方防衛大鍋スープ(大猪と冬根菜の生姜辛味噌煮込み)
【材料(特大鍋・五十人前炊き出し分量)】
・北方産大猪のバラ肉およびスネ肉:10キログラム(大ぶりにぶつ切り)
・越冬大根:10本(乱切り。味が染みやすいよう隠し包丁を入れる)
・雪下人参:8本(甘みの強い冬人参を大きめにカット)
・寒玉キャベツ:5玉(芯ごと豪快にざく切り)
・生姜草:2株(すりおろし、および根元を叩き潰す)
・跳ね大猪亭秘伝・辛味噌:大樽半分
・澄んだ雪解け水:大鍋八分目
(※公金支出適正執行管理士アストリッドによる監査済:食材原価は緊急随意契約の枠内に一銅貨の狂いもなく収まっています)
【調理の極意(ビルギッタ女将の厨房メモより)】
一、猪の脂身を怖がるな!
「脂身は敵じゃない、寒さを跳ね返すエネルギーだ! 鍋に入れる前に強火で表面を香ばしく焼き付け、旨味を肉の中に閉じ込めること!」
二、灰汁は鬼の形相で掬い取れ!
「大鍋が沸騰したら、浮いてくる灰汁は徹底的に掬う。雑味を残せばスープが濁る。澄んだ力強い出汁こそが、男たちの士気を奮い立たせるんだよ!」
三、生姜草はケチケチ使うな!
「雪山で戦う連中の胃袋には、火が必要だ。生姜草は惜しみなく叩き潰してぶち込め! 一杯飲み干した瞬間、爪の先まで熱い血が巡るのが本物の炊き出しってもんだ!」
【現在の継承】
現在はハルヴァルさんとヒルダちゃんの手によって、通常メニューの『特製味噌煮込み定食』として大切に受け継がれています。
◆5.【特別収録】アストリッドの涙の残業メシ手帳(本編完全連動版)
「今日こそ定時退社して、あの美味しいご飯を食べるのだ……!」
そう固く心に誓いながらも、定時直前に舞い込む予測不能なトラブルによって脆くも打ち砕かれてきた、アストリッドの涙と執念の記録です。
・第二話:『市場の卵のふわふわオムレツと、バターたっぷりライ麦パン』
【夢見たメニュー】市場で買った卵でふわふわのオムレツを焼き、香ばしいライ麦パンにバターをたっぷり塗って食べる!
【散った理由】定時二十分前、ビョルンさんが「ゴブリンの魔石の査定額が違う!」と窓口に怒鳴り込んできて残業確定。
【前夜の現実】温かい豆スープを煮込む気力すら失せ、硬くなった干し肉を齧りながら白目を剥いて寝落ち。
・第三話:『甘い炒め玉ねぎと干し肉のスープ、焼きたてパン』
【夢見たメニュー】じっくり炒めた甘い玉ねぎと干し肉のスープに、焼きたてのパンを浸して食べる!
【散った理由】業務終了の鐘が鳴った瞬間、スヴェン主任から「本部から経費三割削減の通達が……」と呼び止められて残業確定。
・第四話:『豚肉と根菜のコトコト煮込みと、柔らかい白パン』
【夢見たメニュー】肉屋で奮発して買った豚肉と根菜の煮込みをコトコト温め、焼きたての柔らかい白パンを浸して食べる!
【散った理由】定時を迎えた瞬間、商工連合から契約外の追加発注トラブルが持ち込まれて残業確定。
・第五話:『カリカリ塩漬け豚肉とキャベツの蒸し煮、ホクホク焼きジャガイモ』
【夢見たメニュー】カリカリに焼いた塩漬け豚肉とキャベツの蒸し煮を、ホクホクの焼きジャガイモと一緒に心ゆくまで味わう!
【散った理由】「定時です!」と叫んだ瞬間、討伐報告書を提出せずに逃げ回る冒険者の書類追跡で残業確定。
・第六話&第七話:『特製ハーブソーセージの溶かしチーズ絡めと、微発泡の林檎酒』
【夢見たメニュー】肉屋の特製ハーブソーセージをパキッと焼き、とろとろの溶かしチーズを絡めて、微発泡の林檎酒と一緒に味わう!
【散った理由】第六話は冒険者のポーション不正経費精算、第七話は討伐した魔物の管轄争い(隣町との境界線問題)が勃発し、二話連続で夢のソーセージはお預けに。
・第八話:『仔羊肉のじっくりハーブ焼きと、蒸したてライ麦パン』
【夢見たメニュー】市場で買った香ばしい仔羊の肉をハーブと一緒にじっくり焼き上げ、蒸したての温かいライ麦パンと一緒に味わう!
【散った理由】定時五十分前、年一回の備品一斉棚卸しで倉庫の帳簿と実在庫の重大なズレが発覚して残業確定。
・第九話:『森のキノコとハーブ鶏のトロトロクリーム煮、白パンとワイン』
【夢見たメニュー】市場で買った香ばしい森のキノコとハーブ鶏をトロトロのクリームで煮込み、焼きたての温かい白パンを浸してワインと一緒に味わう!
【散った理由】新米冒険者パーティの独立登録申請に絡む不正書類の差し戻しで残業確定。
・第十話:『川鱒の薪火塩焼き、甘い焼きカブのスープ、野イチゴの地酒』
【夢見たメニュー】出張先の豪雪村で、親切な村長さんが振る舞ってくれた川鱒の塩焼きとカブのスープを味わい、フカフカの藁ベッドで眠る!
【散った理由】猛吹雪で峠が塞がれ足止め。業務は終わったはずが、村の会計書類の不備を見つけてしまい深夜まで怒りの算盤。
・第十一話:『挽肉とチーズの熱々ラザニア風ミートパイ』
【夢見たメニュー】熱々の陶器皿で香ばしく焼き上げた、たっぷりの挽肉とチーズのラザニア風ミートパイを誰にも邪魔されずに味わう!
【散った理由】悪質な名義貸しによる不正受託が発覚し、夜間緊急処分の調書作成で残業確定。
・第二十四話(最終話エピローグ):『跳ね大猪亭の特製大猪肉濃厚煮込みと極太ソーセージ特盛りプレート』
【運命の定時】新年度初日、ついに配属以来初めての【定時退社】を宣言した17:00ジャスト――。
【まさかの展開】課長が「明朝提出の監査調書が終わらない!」と大号泣しながら駆け込んできて残業確定。
【アストリッドの勝利】定時退社は散ったものの、アストリッドは折れず、「夕食は地下の『跳ね大猪亭』から特製大猪肉の濃厚煮込みと極太ハーブソーセージ特盛りを出前で取ってください。全額課長の奢りです!」と要求。ついに一年越しの夢のご馳走(奢り)を勝ち取ったのでした!




