表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/21

主神と戦乙女の受難

「聞こえない、もう一度言って貰えるかな?」


 四方を人工的な壁で囲まれ、出入り口すらないこの場所の名前は、アルカトラズ。

 そう、俺が元の世界での最期を迎えた場所である。

 この監獄で俺は


「ま、参りました・・・何なりとお申し付けください・・・」


 甲高い声で恭順を示しながら土下座するオーディンの頭を足蹴にしていた。

 当然、オーディンの変化方陣は破壊した、男性化の方陣など不愉快極まりない。

 隣ではアイレスがおたおたしている。


「ん? 今何なりと、って言ったよね?」


 俺の言葉にオーディンは、頭の上にあった俺の足に手をかけ、すがりついて嘆願する。


「どうか、どうか民にだけは危害を加えぬよう・・・」


「あれ? 俺、頭上げて良いって言ったっけか」


 言葉を終える前に声を被せる。

 オーディンの頭がすぐさま地面へと押し付けられる。


「・・・申し訳ございません」


「せっかく穏便にアース神族攻略をしようとしたのに、オートリサシテーションだーとか言って誰かさんが抵抗するせいで宮殿ぶっ壊すはめになっちゃったけどさぁ、この宮殿は誰が直すのかなぁ?」


 再度オーディンの頭に足をのせ、ぐりぐりとしながら罵る。

 元から城門ぶっ壊したり穏便でなかったのは気のせいである。


「わ、我が民です・・・」


「そうだよね、で、君のお願いはなんだったっけ?」


「うぅ、何なりと、お申し付けを・・・」


 オーディンが鼻をぐすぐす言わせながら再度恭順を示す。

 アイレスはガクガクと震えている。


「そう怖がるな、やって欲しいのはそう大したことじゃない。」






 目が覚めた俺は見知らぬ場所に立っていた。

 油断した、まさか街中で背後を取られて昏倒させられるとは、これで暗殺者を名乗っているとは聞いて呆れる。


 周囲を見渡す、人工的な壁に囲まれた50m四方程の部屋。

 気付く、入り口がない。

 ・・・では一体どうやってここに入ったのだ。

 上を見上げる、穴が開いていることを予期したが、そこには段状になった天井があるだけだった。


「ここは・・・どこだ?」


 独り言を呟く、だが予想外にその言葉に応える声があった。


「(質問にはわしが答えるんじゃよー)」


 どこからか声が聞こえる。


「・・・誰だ」


「(そうじゃな、神とでも名乗っておこうかの)」


 神だと、何故神が・・・いや、と言うことは


「俺は死んだのか? リサシテーションの効果はどうなった」


「(死んだ、リサシテーションによる城での復活前に、その魂ごと刈り取られてしまったのじゃ)」


 目の前が歪む、人生とはここまであっさり終わるものなのか。


「(そして、大変申し訳ないのじゃが、君はワシのミスで死んでしまったのじゃ)」


「・・・どういうことだ」


「(本来死ぬべきものが他にいた、ということじゃ。そこで君には特別に異世界で復活させるという措置をとることにした。)」


「なんだと? 元の世界で復活することはできないのか」


「(無理じゃ、元の世界での死という因果は変えられないのじゃ)」


 俺は一度うなだれる。

 だがこのまま消え去るよりマシだと思うことにした。


「・・・異世界とはどんな世界だ」


「(良い世界じゃよ、自然豊かで人々も温和な者が多い)」


「そうか、なら異世界生活も悪くないかもな。神様、連れてってくれ」


 俺がそう言って目を閉じると、神様は一言こう呟いた。


「ジムスリープ」


 意識がだんだんと落ちていく、この声と感覚、最近味わったことがあるような。

 デジャヴを感じた俺の意識は、その原因を突き止めることなく落ちていった。



 目が覚めるとすぐ横に鈴蘭の花が見えた。

 手を突いて体を起こし周囲を見渡す、一面鈴蘭の花だ。


 ここが異世界なのか?

 確かに自然豊かな世界ではあるが・・・


 遠くを見ると宮殿らしき建物から煙の上がっているのが見える。


 温和な者が多い、というのは嘘かもしれないな。



「本当に身体中に包帯を巻いているのだな・・・、其方がイルガか?」


 後ろから甲高い声がする、振り向く。



 美しい



 銀髪のショートヘアー、大きな漆黒の瞳に王冠を模したカチューシャが映えている。

 華奢な体に似合わぬ大きな槍を持つ姿はまるで神話で語られる天使のようだ。


 彼女に見惚れていると、反応のない俺に対して彼女が訝しむ。

 その表情で返事をしていないことに気づいた俺はすぐさま返事をする。


「確かに俺はイルガだが、貴女はいったい・・・」


 ドォォォン


 遠くから爆発音がする、俺は瞬時に身を伏せるが、目の前の彼女は身じろぎもせず威風堂々と立っている。

 音が落ち着いてから彼女は語り出す。


「私はアース神z・・・いや、アース族の王オーディンだ。神託を受け其方を迎えに来た・・・のだが。」


「・・・なにか問題でもあるのか?」


「其方も見たであろう? 私の宮殿から煙が上っているのを、そして先ほどの爆発音を。我が国は今、ヴァン・・・族に攻められ、劣勢を強いられているのだ。今は復興作業で国中が慌ただしくてな、本来ならば客人をもてなすのが神託を受けた王足る私の役目なのだがそれもままならぬ、口惜しいことだ。」


「そう、か・・・ならばせめて俺に働き口を紹介してくれ」


「それだけで良いのか?」


「ああ、どうせ元の世界には戻れない、ならばこの世界で生きるために出来ることから始めようかと思ってな。」


 俺がそう言うと、オーディンの目が泳ぐ、なにかあったのだろうか。


「すまないな、国がこんな状況でなければ良かったのだが。」


 オーディンが煙の上がる宮殿を遠く見つめている。

 俺は宮殿を見つめるオーディンを見つめる。

 彼女の凛々しい横顔は、悪くない異世界生活の始まりを感じさせた。






「これで奴は現世から居なくなった、ジュディア攻略もゆっくり行うことが出来るな。」


 俺は双眼鏡から目を外し、ひとつため息をついて伸びをする。


 そう、俺はジュディアの運命の相手である暗殺者を排除したのである。

 だが恋敵といえどもまだ彼は何もしていない、排除するにしても殺すのは余りに不憫と思い、新天地である天界への追放という形をとることにしたのだ。

 口裏を合わさせるの(天界の支配)に多大な努力を被ったが、他の排除すべき男にも同様の手が使える、この苦労は赤字にはならないだろう。知らない女の子と二人も出会えたしな。


「あのー、さっきの爆発音はいったい・・・?」


 アイレスが不安そうに俺を見る。

 俺はにっこりと笑って指定場所ワープを使い、アイレスと共に先ほど爆発のあった煙の上がる場所へと飛ぶ。

 そして煙の上がっている元を指差す。


「あの・・・なんですか、あのガレキ」


 アイレスは瓦礫をチラと見た後、瓦礫に背を向け俺を見ながら尋ねる。

 おそらくアイレスの方が良く知っているこの場所、だが彼女は知らないかのように・・・信じたくないかのように気付かない。

 だから俺は現実を突き付けてやった。


「何だと思う? これね、天界と現世を繋ぐゲート。」


 アイレスはぽかんと俺を見た後、ギギギと音が聞こえるような動きで後ろを振り向き、瓦礫を見る。

 アイレスが黙っているので俺が続けて説明する。


「いやぁ、せっかく異世界送りにしても、現世に戻れると意味無いだろ? だから、解体した。」


 カーンカーンカーン

 燃2 弾4 鋼11

 頭にそんなイメージが浮かんでくる。

 だがアイレスから反応は無い。


「お前ゲートキーパー辞めたいって言ってたろ? だから丁度良いかなと思って。でもそしたらお前無職だろ? 暫く俺の旅に付き合えよ。」


 なおもアイレスからの応答は無い。

 しびれを切らした俺はアイレスの前に立ち両肩を肩をつかむ。


「おい、何か反応・・・し、死んでる」


 アイレスは、立ったまま気絶していた。

お前らが3話の閲覧数だけ増やすから俺はアイレスをいじめすぎちゃうんだよ!

いじめすぎて気絶しちゃったじゃないか!


あ、ちなみにアイレスはレギュラーに格上げになりました。

そしてアイレスの幸運のパラメータは格下げになりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ