罠に嵌まり敗走する
「そうだ、ラグナへ行こう!」
12時まで姉妹喧嘩に巻き込まれてむしゃくしゃしていた俺は、ふと日付が変わったことに気づく。
明日、千早を助けに行くと言ったが、その時間までは指定していない!
そのことに気づいた俺は、今すぐメインヒロイン(予定)を助けに行くことにした。
GMの隠蔽機能をオンにしてラグナ城へ潜入する。
かの邪智暴虐たるガードにも見つからない無敵機能である。
「これなら奴にもみつからないな」
俺はゆうゆうと城の中を歩き回る。
すると遠くから声が聞こえた。
「スタァァァップ!」
俺の肩がすくむ。
なんで!?隠蔽機能オンにしてるのに!
周囲を見渡す、あれ?
「来ないな、ガード」
いつも異常な移動ですっ飛んでくるガードが来ない。
首を傾げる、そしてあることに思い至る。
「もしかして、俺以外に取締りしてるのか?」
ガードは俺専属ではない、当然他のところで犯罪が起きても同様に対処するだろう。
こんな夜中に仕事とは、大変だなぁ。
夜中に仕事をするガードと、夜中に「スタァァァップ!」を聞かされる住人を想像し、同情する。
そういえば、ガードが反応したってことは俺以外に誰か城に侵入でもしたのか?
そんな疑問を抱き、いつもの野次馬根性を発揮して、ガードの声が聞こえた方に走り出した。
しばらく走ると、剣戟の音が聞こえる。
おそらく逃げようとしてガードと戦闘になったのだろう。
そう予想して、音の聞こえる方に向かう。
音の元に辿り着くと、長身長髪黒髪の見目麗しい女性とガードが争っていた。
サブクエストに出てくるNPC、怪盗アップルである。
その容姿から中々に人気のあるキャラクターで、盗みを行うと必ずその痕跡としてリンゴを置いていくお茶目な一面がある。
アップルとガードとの戦闘は、ガードが優勢なようである。
さすが鉄のガード 無敵のガード、剣で斬られてもなんともないぜ!
反対にアップルは焦りの顔を浮かべている、盗みが本業の彼女は荒事には向いていないのだ。
俺は当然アップルに味方することにした。
「ジムバインド!」
これを使うのも久々だなと思いつつ、ガードの動きを封じる。
アップルが突然動かなくなったガードを怪訝な顔で見ている。
俺はあっさりと動けなくなったガードを煽る。
「つまらないな、もっと手こずらせてくれると思ったのに」
ドヤ顔でそう告げると、ガードは隠蔽で見えないにも関わらず俺の正体に気づいたのか悪態をつく。
「くそ、貴様姿を隠せたのか、姿を表しさえすれば今すぐ引っ捕らえてやるのに」
そう、公式チートであるガードは、「スタァァァップ!」時に状態異常を強制治癒して行動することが可能なのである。
ガード優遇され過ぎ修正されるね、いや、異世界になったから修正とか出来ないけどさ。
だがこの状況下ではガードなど恐るるに足らず!
俺はここぞとばかりにガードを煽りまくる。
「ねえ、捕まえた後に数時間で出所されるのってどんな気持ち? 今回に至っては捕まえられもせず、そこで突っ立ってるだけになってるのってどんな気持ち?」
「く、悔しいですっ!」
なんだこの状況。
俺はガードの言葉にふと我に返る。
違う、俺はガードを煽りたいんじゃない、アップルと仲良くなりたいのだ。
俺はアップルのいた方を見る、あれ、いない。
アップルは、とっくの昔に逃げ出していた。
「骨折り損だったなぁ」
肩を落としながらトボトボ歩く。
立ち止まって顔を振り、気をとり直す。
「当初の目的を忘れていた、千早を取り戻すぞ!」
俺は体を伸ばして宣言するが、気づく。
「いかん、どうやって探そう」
行き当たりばったりで千早を助けに来た俺は、千早を見つける方法を全然考えていなかった。
仕方がないので、手当たり次第に部屋を捜索することにした。
これが間違いだった。
ちかくにあった部屋のドアをゆっくりと開ける。
天葢つきのベッドが見える。
ベッドでは何かがもぞもぞと動いている。
目を凝らす。
メイド服を半分着た女性が乗馬ごっこをしている。
お楽しみですね。
俺はそっと扉を閉じた。
隣の部屋の扉を開ける。
壁紙が二次元で満ちている。
VRMMOなのに何故二次元なのか、それはわからない。
部屋の中を眺める。
20に満たない青年が、壁のポスターを見ながら励んでいた。
二次元もそこそこにしておけよ。
俺は心の中で助言して、扉を閉じた。
向かいの部屋の扉を開ける
ベッドで、頭がバーコードのおっさんが小さな女の子をいたぶっている。
どうやらこちらもお楽しみ中のようだ。
俺はロリコンではないが、世の中には特殊な性癖の人もいる。
ちなみに、性癖の性は性格の性であって、HENTAI性の性では無いんだぜ。
俺はそっと扉を閉じようとすると、おっさんは少女を持ち上げ体位を変える。
ちらりと、少女の股間に出っ張りが見える。
「お前らホモかよぉ!」
扉をバァーンと開けて叫ぶ。
だが隠蔽機能がONになっているため、俺の姿は見えない。
おっさんは最初はびっくりしたようだったが、そのまま少女・・・いや少年に対して羞恥プレイを開始する。
俺は扉を開け放ったまま逃げ出した。
ちなみにホモではなくショタというのがより正確だろう。
「酷い目に遭った」
先程の部屋から大分離れてから、次の部屋の部屋を扉を開ける。
前の部屋と同じような間取りだ、そして
筋骨隆々の男二人がレスリングをしていた。
「誰得だよ」
俺は死んだ魚の目で呟き、宿に戻ってふて寝した。
偶然時間が空いたので投稿。
なんで俺ガードに言葉責めしてるんだろう。




