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タイトル未定2026/05/09 06:35
73話 「出版の灯」
桜が満開に近づいたある朝、詩織さんから正式な連絡が届いた。
『灯台荘の光 〜雪女の灯火と、守り人たちの物語〜』というタイトルの本が、来月出版されることになった。
凛は庭の桜の木の下で手紙を読み、胸が熱くなった。 「雪乃さんと……アイダ・ルイスさんの話も、ちゃんと載ってる」 フサエさんが微笑みながら、摘みたてのハーブティーを差し出した。
「凛ちゃんの詩が、たくさんの人の灯になるんじゃよ」 凛はノートを開き、出版を祝う詩を書いた。
出版の灯
一つの物語が 頁に灯り
雪乃の冬が アイダの海が
私の春に 重なる
守るだけの心から
招き入れる心へ
この本が 誰かの夜に 届きますように その日の午後、凛は灯室で回転灯のメンテナンスをしながら、静かに決意した。
「出版記念イベントを、ここ灯台荘でやりたい」




