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463話 「再会の予感と、微かな揺らぎ」
463話 「再会の予感と、微かな揺らぎ」
数日後、湊が春休みを利用して戻ってきた。
駅から雪解けの道を歩いてきた彼は、頰が少し日焼けしていた。 「凛さん、ただいま」
抱きしめたい衝動を抑え、凛は代わりに温かいお茶を差し出した。
湊は新曲を聴かせてくれた。タイトルは「溶ける光」。 演奏の後、湊は静かに言った。
「大学で……誰かと少し親しくなった。でも、凛さんの詩を聴くと、やっぱりここが帰る場所だって思う」 凛の胸が小さく痛んだ。
悠真の不在が、春の風のようにふわりとよぎる。
「湊くん……私は、皆の光を大切にしたい。あなたが幸せなら、それでいいの」
言葉は優しかったが、心の奥に微かな揺らぎが残った。
それでも二人は庭を歩き、溶けた雪の下から顔を出すクロッカスの芽を一緒に眺めた。
友情は深く、しかし恋の可能性はまだ春の土の下に眠っていた。遥からも写真が届いた。
春の準備で忙しいというメッセージとともに、灯台荘の冬の写真が添えられていた。
「またすぐ行くね。凛ちゃんの新しい光を撮りたい」




