24話 『朝の光は、急がないよ。』
24話 『朝の光は、急がないよ。』
透はカーテンをそっと開け、
薄い朝日を部屋に招き入れました。
その光は、まだ眠たげな空気の中で
静かに揺れています。
文子さんが湯気の立つお茶をテーブルに置き、
やわらかく微笑みました。
「今日はね、朝が来てくれただけで十分なんだよ。」
あなたが今、
布団から出るのが億劫なら、
そのまま目を閉じていていい。
カーテンの隙間から入る光が、
「今日は急がなくていいよ」
と静かに囁いている。
灯台の光は夜だけじゃない。
朝の柔らかい光も、
同じようにあなたを照らしている。
予定がひとつも進まなくてもいい。
顔を洗えなくてもいい。
今日の“できたこと”は、
“朝を迎えられたこと”だけで大成功。
文子さんがそっと言いました。
「半分どころか、四分の一でいいのよ。
あなたも、そうでいい。」
透は淡い空を見上げながら続けます。
「今日も少しだけ息を潜めている誰かがいるなら……
ゆっくりでいい。
あなたのペースで、朝を味わって。」
窓から差し込む光は、
あなたの胸の奥にそっと触れるように、
静かに広がっていきました。
朝が来るだけで精一杯の日、
布団から出られない日、
光を見るのもしんどい日。
そんな日があっても大丈夫。
あなたは今日も、
ちゃんと生きていてくれた。
それだけで、
この物語には光が灯ります。
また、ゆっくり読みに来てね。




