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戦いの中で



「ええぃ!何をやっておるか!」

「東側は帝国軍により壊滅的な被害を受けております!援軍の到着を!」

「中央は、まだ持ち堪えておりますが……時間の問題かと……」

「将軍!どうなされますか?」


「ぐぐぐっ、西側の部隊を回せ!何としてでも押し返せ!」

「し、しかし、それでは西側が……」



 わたし達が戦場に着いた頃には、すでに戦いは始まっており両軍共に多数の死傷者が出ていました。


「よぉし、いっちょやったるか!」

「第七騎士団!全員突撃!」

「野郎ども!いいとこ見せるぞ!」

「おおっ!」

「皆さん、どうかご無事で……もしお怪我をなされましたら無理せずにお戻り下さい」


 わたしは、後衛の方々と一緒に離れたところから戦いに赴く皆さんにそう言う事しか出来ませんでした。


「聞いたか!我等には歌姫様の加護がある!帝国なぞ蹴散らしてくれる!」

「いくぞぉぉぉ!」


 冒険者の皆さんと騎士団の皆さんは、雄叫びを上げ戦場に駆け出していきました。



『では、こちらも始めますか』

『はいっ!』

『83番!オートヒール!40番、絶対防御魔法展開!70番はオートカウンター!』

『了解!』

『62番〜65番は周囲の警護及び近寄る敵は狙撃せよ』

『『『はい!』』』

『23番は索敵範囲を広げて注意』

『はいはい』



 わたしから見える範囲だけでも多くの方々が倒れています。

 どうして同じ人同士が争わないといけないのでしょうか……


 戦況は王国がかなり押されているように見えます。

 わたしが今いる地点は国境より少し東側です。


「王国兵どもめが〜!!」

「歌姫様っ!」

「……!!」

 背後から不意をついて帝国の兵士さんが襲ってきたのですが……


 ガキィィィーンと甲高い音が鳴り響き攻撃をしかけてきた兵士さんは吹き飛んでいきました。


「歌姫様!お怪我は!」

「いえ……わたしは大丈夫です……けど今のは」


 今のはいつもの防御障壁とは少し違っていました。

 受けた攻撃を、そのまま跳ね返したような。



『今のでミィスちゃん……いや、この際ですから"姫"と呼びますか』

『おおっ!いいですね〜!姫様ですね』

『次回の定例会議の議題は、ミィスちゃんの新しい呼び方を討議しましょう』

『"姫"一択じゃないんですか?』

『いやいや、他にもあるでしょう?女神とか天使とか』

『ああ〜、なるほど』


『……で、会長何だったんです?』

『……姫様は先程の攻撃で障壁がいつもと違うことに気づいているはずです。おそらく自分に攻撃を集中させるために戦場に向かわれると思います』

『……ということは』

『はい、姫様を中心に一気にカタをつけます』



 戦場のざわつきが遠くに聞こえる様な感覚。

 今もこの一瞬に多くの方が命を落としています。


 わたしにできること……


 一瞬の逡巡の後、わたしは戦場に一歩を踏み出しました。



『姫様が戦場に出られる!!総員戦闘配備!』

『なんか、会長のテンションいつもと違うくないですか?』

『……それな、40番さんと2人で何か深夜アニメ見てたからなぁ』

『何やってんだ……神様』



「おいおい?何だ?あのお嬢ちゃんは?」

「歌姫様っ!?」

「歌姫様!お下がり下さい!危険です!」


 帝国の兵士さんがこちらに向かってきますが、問題ありません。

 ここが戦場だからでしょうか?

 多くの"死"が満ちているからでしょうか?


 普段、全く感じることの出来ない、わたしの友人達の存在を今のわたしは感じることが出来ます。


 わたしは、これ程多くの友人に守られていたのですね……


 わたしが手をかざすと同時に煌めく障壁が周囲に広がっていきます。


「うおっ?何だっ!」

「前から何か、うわぁ〜っ!」


『防御障壁展開、全方位へ拡大!』

『98番、麻痺効果付与!』

『はいっ!』


「な、なんだ、これは……身体が痺れて……」


 わたしは、少し上空にユラユラと煌めく金色の魂とその周囲に漂う無数の魂を見上げて微笑んでみせました。


 ありがとう。と。



『────!!』

『もしかして、姫様、俺たちが見えてません?』

『今のって絶対に俺たちを見てたよな?』

『……戦場で多くの死が満ちているからか?』

『……ってことは?』


『『『ヒャッホー!!!ヤル気出て来た〜!!』』』









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