おーでん☆☆
「えー、それじゃぁ、寝る前に魔力が空になるまで魔法を使って、寝て起きてを繰り返して魔力を高める系の特訓できないじゃん!それじゃぁ、いつまでも、MP少ないままじゃん、聖女なのに、私、聖女なのにっ!みんなの中で一番少ないままじゃんっ」
泣き出しそうな顔のエリさんを慰めようと各々が言葉を口にする。
「いえ、これでも私は大賢者ですから……私よりも少なくても嘆くようなことではありませんよ」
「僕は前世の能力を引き継いだだけですし。さすがに、ボッチで訓練くらいしかすることありませんでしたし、ソロで魔王討伐するにはそれなりの能力が……う、おかしいな、目から汗が……」
社長が、自分で作った前世の設定に感情移入しすぎて泣き始めた。
「あはは、大丈夫ですよ、私なんて、ただの日本人ですから、魔法がつかえるだけでも十分すごいです、ええ、みんなすごいです!」
とりあえずこの場を収めようと発言したけれど、4人がなぜか複雑な表情になった。
「どうする?教える?」
「いや、知らない方が安全かもしれません」
「ずっと今のままのふるピョンがいい」
「突然言われればショックでしょうから」
ひそひそと4人が顔を近づけて話始めた。
えーっと、お邪魔だったでしょうか。
「そんなことより、ベーゴマの回し方教えてよっ!魔素を取り込んで魔力貯めたい!魔法ももっと使いたい!」
エリさんが大声をあげた。
「そうですね……いざという時に備えて僕も、魔力は貯めておかないと。魔王襲来に備えないと」
魔王襲来?
また、新しいストーリー展開だ。地球に来るの?それともまた異世界に行って倒してくる感じ?
「ベーゴマを1回回して溜まる魔素が僕は60くらいなので、何回回せばいいのか。あ、魔法の練習をするなら減った分もベーゴマから補充していかないといけない」
「ちょっと、この手じゃ、この手じゃそもそもうまく紐が巻きつけられないんだけど!握力がなくてっ!」
留さんがまずはと紐をベーゴマに巻き付け方を教え始めてすぐにエリさんが泣き言を言う。
「ってか、そもそもエリカが表に出てるときにはベーゴマなんて興味ないだろうから、エリーゼお願いっ!」
エリーゼさんがベーゴマと紐を手渡され、留さんに教えてもらいながらベーゴマのこぶに結び目を付けた紐の端をひっかけ縦に紐を一周させてから、円錐状の部分に紐をぐるぐると巻き付けていく。
「あああ、ダメ、崩れてしまいました」
力加減がむつかしいようだ。
悪戦苦闘するエリーゼさんの横で、エリさんが大きな大根を小さなお口に入れた。
「ふわぁ、お出汁の味が染み染みで、味噌の甘辛さも大根に絡んでおいしぃー、うわぁ、幸せ、幸せの味だぁ」
なんて嬉しい言葉。
「ありがとう。お代わりもあるから遠慮せずに言ってね」
という言葉に、留さんがベーゴマをテーブルに置いておでんを食べ始めた。
「ほほう、これは本当に美味しいですね。味噌をつけずにそのまま食べてもいけますし、からしを付けて食べても美味しい。味噌をつけて食べれば格別。一つのおでんで何度も違う味を味わえる。これは名古屋がいろいろな食べ方で何度も楽しめるひつまぶしを産んだというのも分かりますねぇ」
留さんも幸せそうな顔をしている。
いつもありがとうございます。
……まさかの!モーニングのゆで卵は、からついてますよー。
殻をつけない場合は、半分にカットしてサラダに載ってるとかアレンジしてある。
あ、でも、常連さんともなると、
「◯◯さん、むてこようか?」
と、店員さんがお客さんがむくの苦手だって知ってると卵の殻をむいてくれる(*´▽`*)そういう人と人とのつながりもあるからいいよー。
さて、例の番外編(なろう未掲載なうえに掲載予定はないので……の第二話。単独でも読めるよ。)
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「っていうか、言葉通じるんじゃない。なんで最初無視したの?」
可愛い生き物……いや、女の子が頬っぺたぷぅっと膨らませている。
「かわ……い……」
可愛すぎる。
10歳くらいだろうか。
「聞こえてる?」
女の子が首をかしげる。すると、長く美しい黒髪がさらりと揺れた。
「もー、これだから筋肉人種は。脳に言葉が伝達するのに筋肉が邪魔してるんじゃないの?」
何気に失礼なことを言われていることにも気が付かないルーク。
「あーあ、もう、いいわ。許してあげる」
「ありがとう」
ふぅと膨らませていたほっぺを緩めて少女が息を吐きだした。反射的にルークがお礼を言う。
よく考えるのだ、ルークよ。
お前、何を許してもらったのか分かっているのか。
そもそも、ボス部屋への転移魔法陣に乗った少女を助けようとして巻き込まれたのはルークのほうである。
迷惑をこうむったのは、ルーク、お前のほうなんだぞ!
「ところで、お腹空いたんだけど、なんか持ってない?」
「ごめん、何もない」
いや、だから、ルーク、お前は謝る必要ないんじゃないのか?
ちょっとそこへ座れ!
ん?何?かわいいは正義?
子供には優しくすべき?
まて、まて、ちょっとまて。その子、お前より年上だからな!
という天の声は届くわけもなく。
「そうよね。まさか、こんな岩肌むき出し、薄暗くてじめっとしてて、なんか変な生き物いるところで食事なんてする人がいるわけないものね……。で、あなたはどうしてここに?」
「ああ、俺は冒険者だから、ダンジョンには普通に、その、冒険をするために?」
「うえ、最低」
少女が嫌そうな顔を見せる。いや、天の声が、少女じゃないぞと言っている。
「さ、最低?」
ズゴーンとルークは頭を思いきりたたかれたような衝撃を受けた。
「そうよ。そうでしょ?だって、ダンジョンって、信じられないけど、ダンジョンって本物でしょう?」
本物でしょとはまた変なことを言うと思ったが、ルークは黙って少女の言葉を聞いている。
「それって、危険ってことでしょ?お金のためにっていうなら分かるのよ。だって、人は生きていくためにはお金が必要でしょ?だから、えーっと、ダンジョンで宝箱?か何かを探すためにっていうのはね、危険を顧みずっていうより、危険を気にしてたら食うものも食えなくて生活できないわけでしょ?それは、仕方がないと思うの」
勢いよく話続ける少女に、ルークはただ、見とれていた。
いや、ルークは悪くない。単に少女の話をするスピードに頭が理解の域を超えてしまったのだ。
思えばルークの家族は無口だった。
筋肉で会話をするような家族であった。
冒険者たちも似たり寄ったりだ。
相手に何かを伝える……悪いことをすれば何が悪いのかと根気よく説明するような者はいないのだ。
拳骨が飛んでくる、ただそれだけの世界でルークは生きてきた。
「冒険するためにっていう理由は本当最低。命を何だと思ってるの?あのね、危険をわざわざ自分で作り出すのって、生きたくても生きられない人に失礼だと思わない?日本でもチキンレースとかそんなバカなことしてるのって、大抵男。ほんと男ってバカよね。どうせ、冒険は男のロマンだとかそんなこと言ってるんでしょ?」
知らず知らずのうちに、ルークは頭を垂れていた。
確かに、父の教えで「冒険は男のロマンだ」と言われて育ったからだ。
そして、母からは「宝箱は女のロマンね」と言われて育った。
きっと目の前の少女も、宝箱にロマンを持たないなんて愚かだとそう言いたいのだろう……。
と、ルークは良く聞き取れない話を勝手に解釈していた。
違うんだ、そうじゃない。命を大切にしろと言いたいんだよ。
どんどんと、垂れていく頭。
「あ、反省したのね?って、何?ちょっと、何?何、何なの、何なの!これっ」
少女の声が甲高く変わる。
「うわー、うわー、ダンジョンとか本物なのはびっくりしたけど、いや、こういうのもあるのね、ありなのね!うわー、ロマンだわぁ!ロマン、ロマンよぉぉぉぉっ!」
もふもふもふと言いながら、ルークの耳を撫でまわす少女。
「え?いや、ちょっ……」
ルークの頭の上にはちょんっと可愛いけも耳が突き出ていた。
「もふもふこそ、ロマン!」
ルークが目を白黒させる。
父さん、母さん、冒険も宝もロマンじゃないようです。
少し大人になったルークである。
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(*´▽`*)あは。ルーク、もふもふはロマンよ
獣耳なんて頭にあったら、もふられる。それは、ロマンだから仕方がない




