社長の過去
「賢者がおじいさんじゃないイメージを持たせたのって、まさに留さんが作ったゲームからですよね!あれがあったからこそ、今のラノベも漫画もゲームも、賢者という言葉の固定概念は無視すればいいって流れができたんじゃないですか?」
社長の言葉に、留さんが笑った。
「ふふ、ようやく私の野望が実となりましたよ。13歳で異世界に転移させられ、兄たちには留じじぃと笑われながらも賢者という役割をこなし、いっそ兄たちよりも強くなってやると、魔法の研究をし続け、大賢者と呼ばれるまでになり……魔王を倒して日本に帰ってきてからは、賢者を勇者にも負けないかっこいいと思われる立場にするためがんばりました。……いや、まぁ、私の話はこれくらいで」
エリさんの目が輝いている。
「留さんすごい!」
「そうなんです。留さんはすごい人なんですよ。なんといっても、あの伝説的なゲームの……」
社長が興奮気味に口を開いたところで、留さんが静止した。
「過去の話ですよ。過去といえば有玖は過去の記憶があるんでしたね?」
「はい。前世の記憶をこの間思い出しました。とある世界で勇者だったんですが、現地の人との交流が上手くできなくて……そうですね、人見知りボッチ勇者は単独で魔王討伐を決意した……みたいな人生でしょうか」
ボッチ勇者……。
「あー、わかるわ。で、そこに人じゃない迫害されてる獣人のかわいい子とか助けちゃったりしてなつかれるんでしょ?」
あるある。
そういうラノベあるよね。人間なのに私のことを助けたの?みたいなのでめっちゃなついて。人見知りなくせして、人間じゃないしとかこれだけなつかれていて冷たくするのもとかいいつつそばに置くんだよね。
「お母さんの持っているラノベで読んだことがありますわ。気が付くと、女の子が5人くらい周りにいたり、嫁が4人くらいいたりするんですよね?」
エリーゼさんがぽんっと手を打った。
「ち、ち、違いますよ、あの、僕は本当に、ボッチで、人に気が付かれないように気配を消すのが得意で、そりゃ困ってる人がいれば助けたりもしましたけど、気配を消したまま見つからないようにしてましたし……友達は森の動物たちで……家族以外で一番会話したのは魔王で……しかも「お前が勇者だと?はっ、笑われてくれる」「あの、すいません、人類のためなので倒させてください」……だけと」
エリさんが顔を背けた。
留さんが黙って社長の背中をたたいた。
エリーゼさんがフォローしようと口を開いた。
「前世の話ですもんね。今は、ほら、こんなに会話できてますし、ふるちゃんもいるから、ボッチじゃないですよね!」
はい?私?
いえいえ、私も留さんもエリーゼさんもエリさんも……それに会社のみんなも社長の周りにはたくさんの人がいますよ。
「あ、あ、あ」
エリーゼさんの言葉に社長が顔を染めた。
「ふふ、若い若い。そういえば、有玖の会社の作るゲームには動物をモチーフとしたキャラクターが多く出てくるけれど、もしかしたらその森の友達が元になっているのかい?」
「記憶が戻ったのはこのベーゴマをもらってからなのですが……確かに前世で好きだった動物たちと会話ができればと無意識に作り出していたのかもしれません」
ふふ。なるほど。とすると……。
いつもありがとうございます。
まずは、留さんがんばった。
賢者の地位向上を日本に帰ってから全力で頑張った!ふはははっ!
そして、社長!
涙なくしては語れない。完全孤独なボッチ。究極のボッチ(/_;)だから、会社で社員を大切にしようとしたのね……
さて、本日の名古屋ネタ、おやすみー!




