複合属性
七宝焼きって紀元前から西洋ではあるって話だから、日本だけのものじゃないし、最近の物じゃないはずだけど、どうにも知名度低いよね。
金属にガラスの元みたいな粉を乗せて焼くと、粉が解けてガラスっぽいのが金属の上で固まるものだけど。粉にはいろいろな色があって模様を作ることができるんだよね。透明のものと不透明の物を使い分けつつ、粉を慎重に乗せて模様を作るんだけど。解けて混ざり合ったりしてなかなか思うように作れないんだよね。
「いろいろな属性の魔石で模様を刻んだ魔石……」
あのぉ、七宝焼きは魔石設定で進めていくんでしょうか?
えーっと。すごくじーっと見てるけどね、あんまりいい出来でもないのですよ。
「いえ、私なんて素人だし、大した物はできなかったんですけど」
一応、幸せの四葉のクローバーをと思って作ったものの、ただの緑の丸っぽいものが4つある謎の模様になってしまっている。
し、仕方ないじゃん?スプーンのたまにつける七宝焼きって、小さいんだよ。だから、その……ううう。ネイルアートを想像するとサイズ感が分かるかな。1粒外に出た粉が、焼いて解けると致命的な形の歪みになったりもするから、本当に難しいんだよ。焼きあがるまで分からないの。
「素人?それは師に及ばないという意味で?」
師?うん、まぁ、七宝焼きの見本で置いてあった先生たちの作品には到底及ばない。
そりゃ、教室に通って学んだわけでもなく、七宝焼き大変で、1日2日いって、ちょいちょいと作ってきただけだから……。
とはいえ、8セットも作るというとちょっとびっくりされちゃったけれどね。
「二人でなんの話をしているんですか?」
ん?
社長がサファルさんの後ろから顔を出した。
「社長は知ってますよね?七宝焼き。サファルさんが魔石みたいだと言うんですよ」
そういわれれば、ゲームなどで出てくる魔石は宝石みたいな形をしていることが多い。七宝焼きもガラス質なわけだから、ガラスがイミテーションの宝石の材料になったりもするんだから、魔石っぽいと言えないこともないのかな?
「ああ、そういわれてみれば、そうかもしれませんね。七宝焼きかぁ……この色合いだと、水と風の属性の魔石っていうことになるのかな?」
社長が手に取ったスプーンには緑の四葉のクローバーで背景に空色を使ったものだ。
「複合属性を持つ魔石なんて僕の記憶にはなかったから、面白いですね」
社長の記憶?いろんなゲームをしたけれどそういうのなかったってことかな?いや、どこかにはありそうだよね。魔石錬成とかないのかなぁ?とりあえずでも、珍しいなら、ゲームのアイデアになるかもしれませんね。社長の頭の中で今、何かぐるぐるアイデアが駆け巡っているのかな。
「複合属性を持つ魔石?」
留さんまで社長の後ろから顔を出した。
「あの、立ち話もなんですし、どうぞ、ゆっくり座って話をしてください」
と声をかける。
だって、3人しかいない客が3人とも立って話をするとか、おかしいでしょ。
「では、コーヒーをもう一杯いただけますか」
留さんが席に戻りながら口を開く。
「アフタヌーンサービスは必要ないのでコーヒーを」
「ああ、僕も。今度は僕がエリクサー……いえ、カフェオレをお願いします。飲み物だけでいいですよ」
サファルさんが留さんと社長の注文を聞いてから、慌てて私の顔を見た。
「俺は、もう少し何か食べたい……」
との言葉に、社長が空気読めとばかりにサファルさんの肩をポンとたたく。
いつもありがとうございます。
今日は、感謝の言葉だけで終わりますよ。
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最近、つい喫茶店でもペットボトルでもカフェオレを選んでしまいがちです。
べ、べつに、本気でエリクサー的な効果があるとか信じてるわけじゃないんだからね!
('ω')ノではまたね!




