尊し!
幸いにして、もう閉店間際なので誰もいないし、誰も来ないだろうから……。す、少しだけですからねっ!
受け取ったパーカー……ん?
色形は前のものと変わらないけれど……素材が、ナイロンかポリエステルか知らないけれど、一目見て化学繊維だと分かる素材だ。
一応、袖を通す。半そでの前ファスナーの耳付きフード付きロングパーカー。
「これ、もしかしなくても、カッパ、レインコートに使われるような素材ですよね?」
社長にどう説明したらいいんだろう。これは使えないと……。
「うん、そうなんだ!それなら水もはじくしちょっとした汚れならすぐ落ちると思うんだ!あ、汚れても大丈夫だよ、洗える素材で、専用洗剤もどうぞ」
と、社長が鞄の中から、スプレー缶みたいな形状の専用洗剤を取り出した。
うん、悪気はないんでしょうが……。他の洗濯物と洗えないだけでマイナス要素だと気が付いてないのでしょうか……。
ちゃんと洗剤もセットでプレゼントしてくれる辺りは気遣いができているんでしょうけれど。
「これ、雨合羽として売ったほうが売れるような気がします。長袖でウインドブレーカーとしてもいいと思いますし……」
と、一応参考になるかどうかわからないけれど、思ったことを口にする。
「雨の中のふるピョンっ」
なんか、社長、表情、表情、表情が、恍惚としてる!なんか絶対よからぬことを想像してるっ。
あ、もしかしたらそういうシーンがゲームの中にあっただけかもしれない。なりきりレイヤーさんにしろ、同人活動している人にしろ、他のファンにしろ、「聖地」に行くとか、とにかく「再現された現実」って好きですもんね……。
きっと、なんか印象深い雨のシーンがあって、それを思い出している……だけ、で、す、よ、ね?
「あの、社長……それから、大変言いにくいんですが、汚れはつきにくいかもしれませんが、これは仕事では使えません」
社長がガーンって顔になった。
いや、表情豊かですね。そういえば前の会社の人が言っていた。社長は会議中でも口を開く前に表情で思っていることがダダ漏れだと。
「えっと、化学繊維って、火が付いた時に危険なんです。火が回るのがひどくて、皮膚に溶けた繊維が張り付いて……調理場で火を使う仕事なので、化学繊維の物は……」
社長の顔が、ガーンから、今度は泣きそうなものに変わる。
「ご、ごめん、知らなくて……そんな危険な物を……!」
「ああ、大丈夫です、えっと、私も喫茶店を始めるために勉強をして知ったんです。調理服を調べてて……えーっと」
社長の落ち込み用がひどい。大丈夫だと言っているのに、申し訳なさに心が押しつぶされそうな顔をして、体を縮めている。このままじゃ、泣く。
「悔しいです……。僕に前世のときのような力があれば……。火耐性どころかすべてに耐性を持たせ汚れない服なんてちょちょいのちょいで作れるというのにっ!」
はい?
首をかしげる。
「ふるピョン、ちょっと、写真撮っていい?」
社長の目が輝いた。
いや、気分の浮き沈み激しいな。
「首をかしげる姿、尊し!」
あ、ははは。いや、私も社長の首傾げに対していろいろ思っていたので何も言えませんね……。社長はピョン属キャラ好きなんですね……というのはよくわかりました。
いつもありがとうございます。
感想返しが途中になっててごめんなさい。時間がある時にぽちぽち返します。というか、今日は指が痛くてうまくキーが叩けません。なんでだろう。
さて、とはいうものの、あとがきくらいは書くよ。
……えっとね、ちょっと前に「ひつまぶし」は観光メニューみたいなこと書いたと思います。
一方で、
「味噌カツ」はどうなのかと言いますと……。
味噌カツには2種類あるんですよ。
味噌カツと、味噌串カツ。
味噌カツは、完全に家庭メニューです。
家で、カツを揚げて、もしくは総菜のカツを買ってきて、あとは「味噌」をかけるだけ。
そうです。ソースと同じように、書けるだけであっという間に味噌カツになる、味噌カツソースっぽいもの売ってるんですよ。
正確にいえば、味噌カツ以外にも、味噌かけて食べるとなんでも美味しいよっていう、調理みそというか、味付き味噌というか、商品名で有名なのが二つあるんですけど
「献立いろいろみ◯」と、「つけてみ◯かけてみ◯」
伏字に意味はあるのか。
とりあえず、片方は、パウチ型の容器に入ったもので、もう片方はマヨネーズみたいな容器に入ったもので、ええ、分かりますよね?
家庭には、マヨネーズやケチャップと同じように味噌があります。冷蔵庫開ければ入ってます。
冷ややっこ、茹で茄子、キュウリ、何にでもちょいっとかければ立派なおかず一品になる。
便利な便利な味噌である。
あとは、いろんなレシピの隠し味にも使えるんですよ。
ホイコーローだとか、レシピサイトでもたびたび「献立いろいろみ◯」だとか使われてますよ。
もちろん、最近は、2大有名調理味噌以外にも、色々出ています。安いのからプライベートブランドから、それから老舗の調理みそも、種類が増えてたりします。ちょっとピリ辛なやつとか。ゆず入りとか。
てなわけで、まぁ、味噌カツはすんごく家庭料理。
めっちゃ家庭料理。
もちろん、総菜売り場では味噌もあらかじめかけた味噌カツを売っていることもあるけど、それよりも何もかかっていないカツで売ってる方が多い。だって、家で簡単に味噌カツにできるから。
ソースかけたい家族と一緒の可能性もあるし、半分味噌、半分ソースなんて食べ方もできるわけで、わざわざ味噌がかかっているカツを買って帰る意味があまりないのである。
そんでもって、わざわざ味噌カツを食べに行こうということもないのである。
どちらかというと、何かを食べに行って、そこに味噌カツも売っていて注文して食べることはあっても、味噌カツが目的で食べに行くっていうことはあんまりないかなー。
だって、家でたべられるから、それも、わりと簡単に。
一方で、味噌串カツの方はちょっと事情が違うんです。続く。




