営業は17時まで
留さんも不思議な顔をしてコーヒーを見た。
さすがに3度目ともなると馴れたのだろう。サファルさんは砂糖を入れるのを忘れずに今度は苦いということもなくコーヒーを飲んだ。
「よし、回復した。ありがとう。じゃぁ、俺はボスのダメージが回復しないうちに攻撃を再開するよ」
サファルさんは、テーブルの上に置いたコインの上に、オレンジ色がかった黄色の宝石を置いて出て行った。
「サ、サファルさん、待ってください!お金、忘れてますっ!」
お金をかき集めて、持って後を追いかけようとしたのを留さんに静止される。
「私が追いかけて連れてきましょう。リルちゃんは店を空にするわけにはいかないでしょう?」
留さんが小さく頷いて立ち上がった。
それから、日本円に視線を落として口を開く。
「日本のお金は彼にとっては価値がないでしょうから、コーヒーチケットにしてあげてください」
「え、でも勝手には……」
「問題があれば私が責任を取りますよ。じゃぁ、ちょっと彼の姿が見えなくなる前に追いかけるとします。久しぶりに、腕が鳴りますね」
腕が鳴る?
留さんはまだ閉まり切っていないドアを開いて外へ出て行った。
えーっと……。残された日本円。およそ3万円。……そう、ですね。とりあえずコーヒーチケット1セット3000円。それから残りは封筒に入れて分けておこう。コーヒーチケットの頭にサファルと書いて、レジ奥のチケット置き場にぶら下げる。
それからコインはもう少し保管……うー。結構な値段する高価な物だから早く返したい。って、宝石らしきものが一つ増えたよ。いくらするんだろう。
ただのガラス玉ならいいんだけど、もし本物の高価な宝石だったら……。サファルさん、また来てくれるかな?
ちゃんと返したいし。留さんはチケットにすればいいって言ってたからまた来てほしいと思ってるってことだよね?
サファルさんも常連の仲間入り?……なの、かな?
なんだかんだと3回も来てるし。
チリンチリンとドアのベルが来客を知らせる。
「いらっしゃいませ」
モーニングタイムはそれから順調にお客さんがやってきた。
日替わりモーニングのホットケーキは、好評で10時にはなくなってしまった。
次にホットケーキを出すときにはもう少し用意しておいた方がいいかもしれない。
プラス100円でサラダとゆで卵がつくものも、思った以上に注文があった。やっぱりゆで卵がないとモーニング食べた気がしないのよねぇとゲートボール帰りのお姉さま方が笑っていた。
そういうものなのかな。
家でタルタルソースを作るのに、1つだけ卵をゆでるのも面倒だから持って帰りたいときにちょうどいいのよねと言う声もあった。
なるほど。改めてゆで卵の価値を再認識することができました。
ゆで卵の代わりに目玉焼きやスクランブルエッグを出しているお店もあるけれど、うちはゆで卵をつづけたほうがよさそう。
……本当は茶碗蒸しも出してみたいと思っているんだけれど、一人で店を回すにはハードルが高いんだよね。茶碗蒸しって……。
「ありがとうございました」
気がつけば時計の針は16時50分。営業は17時までなので、今のお客さんが最後かな。
……そういえば、留さんサファルさんを追いかけて出て行ったまま帰ってこなかったけれど、どうなったんだろう?
ご覧いただきありがとうございます。
営業時間終了、実際喫茶店だと、17時18時までというところが多いです。
あくまでも、営業は、モーニング、ランチ、アフタヌーンなので。
夕飯時間帯にはやっていないところが多いです。
ただし、チェーン店とか個人経営じゃない店などは別ですけど。
人を使ってまで営業するというスタイルじゃない場合、自分が店にいられる時間しか営業しないのは普通です。
そういうところまで、喫茶店って、ほわーんとしていていいんですよね。
ただし、経営者が怖いとこもあります。イライラして……(´・ω・`)




