高価な硬貨
「これからたくさんお友達を作れますよ。そうだ、足が動くようになったのなら、ゲートボールとかどうですか?店にも、ゲートボール帰りに寄ってくださる方が何人かいて」
「ふふ、ありがとうふるちゃん。知ってるよ、少しばかり年上のお姉さま方だろう?」
留さんの物言いに思わず笑みが漏れる。
そうだ。留さんはまだ60代だろう。ゲートボール帰りに寄ってくださる方たちは、70代や80代の元気なシルバーさんたちだ。
確かに、留さんから見れば年上のお姉さま方だ。
「ふるちゃん、ありがとうな。確かに足も動くようになったし、いろんなことに挑戦してみるよ。そうだ、ベーゴマのことで聞きたいことがあったんだ」
注文の品をカウンターテーブルに並べる。
コーヒー、ミルク、留さんのいつものモーニングは小倉トースト。
「ああ、今日もおいしそうだ。ありがとう」
「聞きたいことってなんですか?ベーゴマのことなら留さんの方が詳しいんじゃないですか?」
「お代の代わりにもらったって言っていただろう?その人について聞きたいんだけど」
ああ、そういえば留さんには簡単にベーゴマをお金の代わりにもらったと説明したっけ。
「昨日も来たんですけど……」
「昨日?定休日だろう?」
どこまで留さんに話すべきか……。前はお金を持っていない外国人とだけ言った気がする。
……昨日おいていったコイン、古物商に持って行ったら銀色の物はよくわからないと言われたけれど、金色のものは金だった。ゴールド。
全部で金貨が10枚。ほぼ純金。小金貨と大金貨があったけれど、重さにして合計100g近くもあり、約60万の価値があると言われた……。
それだけのお金を置いて行って「足りない分は後で持ってくる」と言っていたって……。
とりあえず、小金貨1枚だけ換金してきた。約3万。そこからコーヒー1杯分のお金を引いて、残りのコインとお金は返却するつもりで封筒に入れてレジに用意してある。またお店を利用してもらえるということなら、返金予定のお金でコーヒーチケットを購入してもらえるといいなぁとは思ってるけど。
お金はあると本人が言っていたとおりに金貨をほいほい渡しちゃうくらいにはお金持ちってわかった。けど日本円を持ち歩いてないのは、なりきりレイヤーだからなのか。日本語はペラペラだから、お金を知らないわけはないし。あ、でも……。映画俳優、ハリウッドスターの可能性……。なら、カード払いばかりで現金を持ち歩いてないとか、いつもはお付きの人が清算するとかって可能性も……。
「はい、定休日だったんですけど……もしかして、文字が読めなかったのかもしれません」
喫茶店という文字は読めてなかったみたいだし。メニューの文字も読めないとは言っていた。準備中の文字が読めるわけはないよね。
うーん、定休日っていうプレートを作るときについでに英語で休みって単語も居れた方がいいよね。定休日って英語でなんていうんだろう?
「ああ、外国の人だと言ってたね」
「サファルと言っていました。ご存知ですか?」
私は知らないけれど、もしかしたら留さんは知っているかもしれないと思ったので聞いてみる。
「うーん、知らないなぁ」
留さんの返事にほっとする。
もしそこそこ有名な俳優さんで、留さんも知っているくらいだったら、私が知らないと言ったことがますます傷つけたかもしれないと思うと、そうじゃなくてよかったと思ってほっとしたのだ。。
チリンチリン。
いつもありがとうございます。
高価……が変換候補一つめにでてきたためのダジャレタイトル……(´・ω・`)




