楽勝と思ってました
「あなたが話した魔物はこの世界では吸血鬼と呼ばれるモンスターそっくりなの。にんにくや十字架を嫌いな事と言い、血を吸うことも夜行動することも。」
「な、ここにもあいつらはいるのか!ここではどうやって戦っているんだ!」
「本当にいるわけじゃないの。物語と言えばいいか、昔話に出てくる想像上の怪物というわけ。」
王子様は眉をしかめて、考え込んでいる。
「私の知っている吸血鬼とあなたの国にいる魔物が全く同じかは分からない。でも、一緒だとしたら解決策は簡単よ。」
私の言葉に王子は驚き、身を乗り出してきた。
「戦う方法が分かるのか!勝てる方法は?!」
「ちょっと近い!」
興奮して顔を近づかせ過ぎ。
両手で顔を押し戻して、元の場所に戻してから息をはいて言った。
「私の世界の吸血鬼の弱点と倒し方を話すから聞いてね。質問は話の後!」
それから、一般的な吸血鬼の知識を話してみる。
夜、生きるために人から血を吸い、吸った人間を自分の眷族として操る。
嫌いな物は、にんにく、十字架、日の光。
特徴として鏡に姿が映らないこと。
倒し方は首を切るか、心臓を杭で打つか、銀の弾で撃つか。
王子は私の話を喜々として聞いていたが、倒し方を聞くうちに再び眉をしかめ始めていた。
倒し方聞きたかったはずなのに、なぜなんだ?
話を終えてしばらくしてから、王子の質問が始まった。
「倒し方の一つ目の首を切ると言うのだが、何の武器を使えば切れるんだ?」
「え?」
何の武器?
普通の武器じゃないの?
あ、そう言えば王子の国の武器レベル疑惑があったんだ。
低レベルなのか、鈍器しかないだとか問題があるのかも。
「王子の国には剣はないの?刃物とか。」
一瞬あっけに取られた顔をしてから、顔を真っ赤にして怒りはじめた。
「馬鹿にするなっ!剣ぐらいあるわっ!」
あるのか。
武器の切れ味が悪いのか、吸血鬼が異常に硬いのかなぁ。
「それに二つ目の心臓に杭を打つ方法だが、鉄の槍さえ刺さらないのだから無理じゃないか?」
槍もあったか。
じゃなくて、吸血鬼の体が硬いに決まり、と。
「最後にギ・ンのタ・マで打つだが、ギ・ンのタ・マとは何なんだ?」
あれ?
弾はともかく、銀もなの?