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そう簡単に異世界を味わえると思うなよっ!  作者: はれ
第9 中川椎名
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78 再起

  「それで、どうやってこの世界を救うんだ」

 「知らないわよ。わかったら苦労しないでしょ」

 「そもそも、何をもって『世界を救う』ってことになるかだよね」


 あ、そっか。世界を救うって言っても、今回は世界が滅ぶとかそう言う状況じゃないからな。

 「えっと、まずこの状況ですが……」

 ・従来と違い、今はこの世界で死ぬことは本当の死を示す。

 ・天界は殺し合いの際に生まれる魔力を利用しようとしてる。

 ・天界の人間が潜伏しているパーティーがある。

 と、魔崎が説明してくれた。

 

 「ってことは……やっぱり殺し合いを止めないといけないな」

 「でも天界の人間が潜伏している以上、扇動されて殺し合いは避けられないわよ」

 「じゃあ、天界の人間を全員捕らえるか?」

 「普通の人間と見分けがつかないから、現実的じゃないと思うよ」

 

 俺は思いつく限りの方法を出すが、凜、椎名、にそれぞれ否定されてしまった。

 (ならどうする……?何かいい手はないのか?)

 更に頭を働かせ案を考え続けるが……いい案は思いつかない。


 「なんかいい案はないのか?」

 「とはいっても、やっぱりこの状況は厳しいね」

 「そんなこと言われてもなぁ……」


 俺はウンウン唸りながら方法を考え続ける、えーっと、今は世界の設定が変わって『本当に死ぬ世界』になってるから……

 「今の世界は人が本当に死ぬ世界だ。それなら……また設定を変えて、死なない世界に戻すことは出来ないのか?」

 「どうでしょう、異世界の設定を変える場所は、天界で最も厳重な位置にあります。あわよくば設定を変えられるかもしれませんが……すぐ天界の人間に鎮圧され、変えた設定も戻されるでしょう」


 やっぱりだめか……どうしたらいいんだよ全く。

 (待てよ……この世界は魔力によって作られているんだよな)

 「あ……」

 これなら、あるいはできるかもしれない。


 「あのさ、殺し合いで魔力を集めるって言ったよな?集めるって事は、どこかに魔力を貯めている場所があるんじゃないか?そこを壊せば……」

 「……やっぱり、そこに辿り着くしかないんだよね」

 俺の発言を受けて、椎名が暗い顔で言った。

 「……確かに、今までの中では一番可能性がある方法だよ。でも、僕らは四人しかいない。それだけで『魔力の溜め池』までたどり着くことは不可能なんだよ」


 椎名はそう続けた。そうか、不可能なのか。それなら――

 

 「よかった。不可能なんだな?」

 「—―え?蘭次君、それはどういう――」

 「椎名、言ったろ?俺とならなんでも出来るって。それなら――不可能な事を可能にするのは、なんでもできる俺達しかいないんだよ。それに椎名、他にこの世界を救う方法があるか?」

 「それは……そうだけど。でも、」

 「ならやるしかないだろ!!やってやるぞ。魔崎!『魔力の溜め池』……だったか、そこはどこにあるんだ!?」


 魔崎にその場所を探す、時間は無い、一刻も早くその場所に行くんだ!もう方法は――これしかないんだから。

 「それは……天界のどこかにあるらしいんですが、詳しい場所は――」

 「なら探す!行くぞ凜!椎名!」

 「ちょ、ちょっと蘭次!あんたまさか今から天界に乗り込む気!?」

 「それしかないならやるだけだろ!!」

  

 俺は皆を急かす。

 「魔崎、俺と凜も天界に運べるよな!」

 「は、はいっ!」

 よし、今から天界に……殴りこむっ!!


 「……まいったなぁ蘭次君は、君の言葉を聞いてると、本当に出来そうになってくるんだから」

 椎名が呆れたように言う。


 「トランスファー(転送)!!」


 魔崎の言葉で俺達の周りは金色に包まれる。初めて異世界に行ったあの時のように。

 俺は現実世界から異世界に行き、今度は異世界を作った天界に行こうとしているのだ。


 俺はこの異世界を作る魔力を無くそうとしてる。つまりそれは、俺の戦いは……ここで終わりという事を指していた。


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