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そう簡単に異世界を味わえると思うなよっ!  作者: はれ
第9 中川椎名
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76 居場所

  ――異世界に行こうとして、必ず一日に百回は異世界に行きたいと願った。でも、何時までたっても、異世界には行けなかった。それなのに、異世界への関心を無くさなかった。その理由はきっと――


 ――


 「蘭次!しっかりしなさい!自分を失わないで、現実を見て!」

 「無駄だよ凜ちゃん。彼は異世界に執着している。そして精神が不安定だ。そんな彼を戦闘が出来ない状況にするのは容易い事だよ。それより、凜ちゃんは僕に攻撃してこないのかい?」

 「あたしは蘭次を必ず救う。そしてあなたは……あたしが仲間を救おうとする姿を見て奇襲するような人じゃない。だからあたしは今ここで蘭次を助け出すしかないのよ!」

 「……裏切った敵を信頼するなんて、随分凜ちゃんもお人好しなんだね」

 「蘭次様……」


 ――

 

 「……異世界しか、頼れる物がなかったのか……」

 

 やっと気付いた。俺は異世界を心の頼りにすることで精神を安定させていたんだ。俺は今までにも異世界を否定された事がある。その度におかしな行動をとったのは、記憶を消すことで精神を安定させるための発狂……ってとこか。


 「……あーあ。どうしよっかな……」

 

 ここは……どこだろうな。俺の精神が創り出した世界って感じだが、真っ暗だな、どこにいるのかもさっぱりだ。まさに今の俺だな……頼れるものが何も無い。居場所がどこにもないんだ。

 「早く、凜たちの元に――」

 戻らないと――そう言おうとした時、俺は自分が()()()()()()()()()()()()()という気持ちに気付いた。


 「……そうか、そうだよな」

 俺は異世界を失ったら生きていく理由が無くなるんだ。凜たちの世界に戻っても、異世界を救うのは無理だろう。それなら、俺は戻る必要性も……生きる必要も、どこにもないんだ。

 そうだ。戻らなくていいんだ。もう異世界に縛られなくていいんだ。俺はこの誰もいない世界の中、静かに、何も感じず……ただ眠っているだけでいいんだ。


 「……それで、いいのか?……もういいよ。もう、俺が生きる理由は――」



 「蘭次様!戻ってきてください!!」


 ――あ……この声は、魔崎?あいつ、天界の人間なのに、なんで俺を?


 「私……やっぱり蘭次様を裏切れません!蘭次様を死なせるなんて……私には……」

 

 ――魔崎……でも俺は、もう疲れたんだ。生きる理由もなく、ただ生きるなんて……


 「私もあなたを裏切らない!だから戻ってきなさい!あたしと魔崎は――ここにいるから!あなたが戻ってくる場所は……必ずあるから!」


 ……


 「蘭次様!必ず……この世界を救いましょう!それで、また皆で……笑い合いましょう!!」


 …………


 「蘭次の居場所は――」


 ……………………俺は、


 「蘭次様の居場所は――」


 ……………………俺はそこに


 「「ここにあるから!!」」


 「俺はそこに……帰ってもいいのか……?」


 


 「「帰って!!」」


 ――


 ――――俺の居場所は……そこにあったんだな――――


 瞼を開く、目に飛び込んできたのは涙目の魔崎と、いつにもなく息を荒げている凜がいた。


 「ただいま」

 「おかえりなさい!」

 「おかえりなさいです!」


 ありがとう。本当にありがとうってそう言いたい。でも、それを言うのは後だ。みんな……終わらしてから、だよな?

 俺は二人から目を逸らし、驚愕に目を見開いてる椎名に近付く

 

 「椎名、ついてこい。一緒に……世界を救うぞ!」


 仲間全員で、やってやるさ。


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