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そう簡単に異世界を味わえると思うなよっ!  作者: はれ
第9 中川椎名
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74 異世界と天界

  「……そんな事ができるのか?」

 「出来るよ。ある存在によってね」 

 「ある存在?」

 「知る必要は無いよ。もう喋ることは無くなった。後は君たちを……殺すだけだ」


 椎名が銃をこちらに構える。その銃口は俺の頭を狙う位置にあった。

 「待ちなさい。さっき生死をかけた戦いって行ったけど、他のパーティーにもあなたのような天界の人間がいるってこと?」

 凜が聞けることは全て聞いておこう。という感じで言った。

 「いるパーティーもあるけど、無い所にもある。でも見ただろう?仲間と思っていた人が裏切って殺す光景を」

 さっきの異世界戦での会場の出来事が俺の頭で反芻される。

 「それを見た人は、今近くにいる仲間も敵なのではないかという疑問を持ち始める。『死にたくない』って思いも合わさって、最終的には普通の人間同士の……」


 「同士討ち。……なるほど、穏やかじゃないわね」

 

 絶望的な言葉を凜が言う。それって、普通の人間同士が殺し合うって事かよ!

 「ちょ、ちょっと待てよ!それなら今すぐ止めないと――」

 「だからそれをさせないんだよ。蘭次君と凜ちゃんはね、強大な力で天界の計画を邪魔する可能性があったからね。一人ずつ監視の目をつけることにしたんだ」

 監視の目。それは椎名と、もう一人は……


 「そう、大山ちゃん。あれはね……魔崎ちゃんが変装していたんだよ」

 「なっ……!?じゃあ、お前があれだけ大山に固執していたのは――」

 「そういう事だね。同じ天界の人間だったからだよ」


 大山は魔崎だったのか……たしかに、今思い返すと二人の挙動には似ているところがあった。

 「あれ、思った以上に話しちゃったね。さっきもう話すことはないって言ったのに」

 「椎名、俺はお前とは……戦いたくない。お願いだ。銃を下げてくれ」

 「出来ないよ。僕達と君達は住む世界が違うんだ。もう……お別れだね」


 椎名!全部……全部……!

 「仕組まれていたことなのかよ!俺達に会ったあの時から!ロボットと戦ったのも、お前が針田から助けてくれた時も!翔と戦ったのだって、お前が……異世界戦の決勝で『なんでもできる』って言ったのも!全部……嘘だったのかよ!椎名!!!」



 「そうだよ」



 ――


 その瞬間、俺の中でなにかがトんだ。

 「椎名ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 割れてしまいそうなほど強く地面を蹴り、一瞬で椎名に迫る。その勢いそのままに――俺は剣を振るうが、澄んでの所で避けられてしまった。

 「早いね。そして強い。さすが蘭次君だ。だから僕は、真正面からやり合わないよ」

 椎名は、いつもの何を考えてるかわからないような笑顔を浮かべた。


 「――蘭次!!だめ!!聞いちゃダメ!!」

 「え――」

 凜が叫ぶ。俺がその声を理解する前に……椎名の口は開いていた。



 「君は一体誰なんだい?どうしてこの世界にいるんだい?君にこの世界は必要かい?そもそもこんな世界――無くてもいいんじゃないかな?」


 「あ……」


 ダメだ、思考が薄れていく。そうだ、何度も、何度も俺は――


 

 「この世界も君が完全に臨んだ世界じゃないんだよね?それなら――無くなってしまえばいいのにね」

 「やめろ!!否定するな!俺の世界を消すな!!頼むから……」


 思い出したくなかった。俺は逃げたかったんだ。だから――




 「俺の居場所を……消さないでくれ……」

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