表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そう簡単に異世界を味わえると思うなよっ!  作者: はれ
第9 中川椎名
76/97

73 やるしかない

  「凜、お前……知ってたか?」

 「……天界がいつか、私達に対し何かしてくるのは感づいていたけど……まさかここまで早いとは思わなかったか」

 「そうか……」


 俺達はどこかに飛ばされたみたいだが……ここはどこだ?

 「凜、ここがどこか分かるか?」

 「さあ、見当もつかないわね」

 「クッソ……魔崎、お前何か――」

 知らないか。そう言おうとした時、俺は思い出した。

 

 魔崎は俺をこの異世界に連れてきた存在だ。つまり、()()()()()なんだ。今の俺達にとっては……敵、なのか?


 「ま、魔崎……なあ魔崎!これってどういう事なんだよ!何がどうなってるんだよ!教えてくれよなあ!」

 俺は魔崎を問い詰める

 魔崎にいつもの明るい様子は無く、顔が前髪に隠れるほど俯いていた。


 「……私は……天界の人間だから……だからあなたたちを、攻撃しないといけないんです……!」

 

 ――ポタ、ポタ。と、地面にしずくが落ちる。

 「魔崎……そんなの、そんなのあるかよ……!」

 どうしてこうなったんだ?おかしいだろ。何で俺と魔崎が……戦わなくちゃいけないんだよ!


 「さよなら……蘭次様今まで、ありがとうございました――」

 魔崎が顔を上げると、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっていた。

 違う!こんなのは間違っている!魔崎が苦しむ必要があるわけないんだ!

 「魔崎、お前は俺と戦う必要なんてないだろ!!」



 「――そうだよ。魔崎ちゃんがやる必要はない。だって君達は……僕が殺すから」

 

 

 まさか――

 「嘘だろ。なあ嘘だって言ってくれよ、有り得ねえだろこんなの。おい、どうしてなんだよ……」

 この、声は――

 

 「どうしてなんだよ!!!()()!!!!!!」


 椎名が、俺達に銃を向けていた。

 「……やっぱりね。あなた、私を監視してたでしょ」

 「あー……バレてたんだ。なんとなく気づいてるんじゃないかと思ってたんだけど」

 「凜、知ってたのか!?」

 「まあね。それはそうと……やるって言うならその前に話しなさい。これは一体どういう事?」


 凜が戦う前に話すことを促してくる。


 「そうだね。何も言わないのもよくないだろうし……じゃあ、説明するよ。まずこの状況だけど……天界が人間からこの世界を奪うために行われている」

 「なっ……!!」

 それって、前に針田が言ってたことじゃ……。


 「それでどうして世界のシステムを変える事になるのよ。『これからこの異世界は、本当に死ぬ世界になった』って、今まではこの世界で死んでも現実世界に戻されるだけだったけど、今は現実世界には戻らず本当に死んでしまうってなったんでしょ?」

 「確かにその通りだよ。所で蘭次君、この世界は何で出来ているか知ってる?」

 「この世界……?確か、魔崎が俺から魔力を抽出して――」

 「そう。人間の魔力。これは物凄い力を秘めてるんだけど、人間自身に扱う事は出来ない。だけど――天界の一部の存在は……魔力を巧みに操り、世界を構築することが出来たんだ」

 

 俺がこの世界に来る時、魔崎は俺から魔力を抽出して、この世界を作ったが、『自分が世界を作ったわけではない』と言ってた気がする。


 「そして……その魔力は異世界に来てからも常時放出されるんだけど……『生死をかけた戦い』の時、莫大な量の魔力が出ることがわかったんだ」

 「ちょっと待って。それじゃあこの状況は――」

 

 「――人間から大量の魔力を奪い、人間の力無しでこの世界に住む。天界の目的はこれだよ。君たちは……僕ら天界の者に搾取される側になるんだよ」


 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ