表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そう簡単に異世界を味わえると思うなよっ!  作者: はれ
第8 異世界戦決勝
64/97

61 戦いを巻き起こす時

  「明日だ」

 「急っすね……」


 異世界戦の会場にたどり着いた俺は、屋内にいた中谷さんに異世界戦の決勝の日にちを聞いたところ、こんな返答が返ってきた。

 「それより貴様、他の二人はどうした」

 「椎名と凜か?おとといはぐれた」

 「そうか……まあいい、貴様だけでも会ってこい」

 「へ?会うって……」

 

 「—―針田にだ」


 中谷さんがそう言うと、俺の体は宙に浮いて、どこかに飛んで行った。


 


 「話せるのは10分間。私以外は誰もいないから好きに話していいぞ」

 飛んで来たのは丸で刑務所の面会室みたいな――って、本当に面会室じゃないか。

 灰色の床、そして目の前には――

 「針田……」

 昔俺達を襲った男がいた。

 「蘭次君、久しぶりですね」

 針田は、俺を見るなり柔和な顔つきでそう言ってきた。

 「……随分と気軽な挨拶だな」

 「こうなることは覚悟していましたし、あなた達が面会に来るのは知っていたので」

 「そうか。ここでは何をしてるんだ?」

 「特に何もしてませんよ。拘束といっても異世界に来る場所が制限されるだけで、現実世界ではなんら支障はありません」

  

 針田がペラペラ喋る。前から良くしゃべる男だったし、喋るのが好きなのかもな。

 「そうか。じゃあ単刀直入に聞くが……お前は誰と戦っていた?」

 俺がそう聞くと、針田は元から狭い目をさらに細めた。

 「前も言いましたよ。神です」

 「じゃあ教えてもらおうか、それはなんだ?」

 「知りたいですか?」

 針田は意地悪そうな笑顔を顔に浮かべてきた。

 「ジョークが好きだな。あれだけ俺達に迷惑をかけておいて、はいサヨナラなんて許されると思ってるのか?」

 「ふむ。それもそうですね……しかし、蘭次君。逞しくなりましたね。修羅場を乗り越えてきたようでうれしいです」

 「好意的に受け取っておくよ」

 「ありがとうございます。それで、私の言う神ですが……私にも、良くわからないのです」


 針田は申し訳なさそうに言った。

 「私が知っているのは二つだけです。一つ、神とは天界を統べる存在であること。二つ、その天界はいつか――私達人間から、()()()()()()()()()つもりです」

 

 「……奪い取るって――」

 「そのままの意味です」

 針田はまた笑顔を見せてきた。

 奪い取る……そんな事が、本当に起きるのか?だが、それなら天界は俺達にこの世界を一時的に『貸してる』ということになる、それは何故だ?

 「そろそろ時間だ」

 中谷さんがそう告げてきた。

 「針田、最後に一つ教えてくれ、俺は――どうしたらいい?」

 俺がそう聞くと、針田は俺の目を見据えて――

 

 「—―それは君が……蘭次君が決めることですよ」

 

 その声を最後に、俺は元の場所に戻された。

 「……全く……」

 俺はフーッと、息をつく。


 「それが一番、困るんだが……」

 

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ