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そう簡単に異世界を味わえると思うなよっ!  作者: はれ
第7 美永翔
58/97

55 剣、銃、魔法。これらは全て――

  「……ああ、もう……交渉くらいさせろよっ」


 翔がなんか言ってるがもう知らん!これから俺達はあいつを拷――尋問するからな!

 翔は大山を近くの建物の壁に横たわらせる。その位置が――上手い。俺達からは中々手出しできない位置に置いたんだ。


 「全て――吐いてもらうわよっ!!ファイアー!!」

 凜が魔法を放つ。それは炎の魔法だが、ちょ、凜さんこれ、当たっただけで黒コゲになるくらいの威力じゃないですか!?

 「はぁ……ファイアー」

 翔はため息してから凜と同じ魔法を放つ。翔が凜の魔法をコピーしたのだ。二つの魔法はぶつかり合い、空中で消えていく。魔法というのは同じ威力で同じ魔法がぶつかり合うと、相殺されて消えていくものなのだ。

 ならばと、俺と椎名が動き始める。俺が右側、椎名が左側に飛び出し、そこから挟み込むような位置で――椎名は発砲、俺は剣を用いて突きを行う。

 だがこれも、俺の能力をコピーした翔が超人的な動きで銃弾を避けながら、俺の突きをギリギリの所でいなす。俺はその勢いのまま椎名の方に流れ、挟み込んだ状況もフイにしてしまった。

 (クソッ……えげつない動きを簡単にしてくれるぜ……!今のも俺には出来るか半々の動きだったぞ)

 今までの会話や戦い方から分かってきたが、翔は俺達よりもうまく能力を扱える(・・・・・・・・・)。それはあいつの頭が良いからだ。凜の魔法なんかはともかく、俺の戦闘能力なんかは、俺以上に扱えてるのは明白だ。多分俺の動きよりも無駄がないからなんだろうが、こっちとしてはショックだぜ。

 「サンダー!!」

 凜が魔法を唱える。それに呼応するように俺と椎名が動く。まず翔の正面から凜の魔法が迫り、斜め前方から俺と椎名が迫る。俺は姿勢を低くし、剣で翔の足を狙う、そして椎名は、翔とニメートルほどの距離から発砲する。

 「サンダー」

 翔は、まず凜の魔法を相殺し、俺の攻撃が来る少しの間に股を大きく開いてジャンプし、俺の攻撃を躱した。その後迫りくる銃弾には、自ら胸で銃弾を受けた。だが、宿屋の中で戦った時と同じように、服の中になにか仕込んでいるのか、銃弾はポトリと落ちただけ。


 (早い――っ)

 翔の動きが、ではない。今、翔は凜から能力をコピーして攻撃を防いだあと、素早く俺から能力をコピーして攻撃を防いだ。俺と凜の攻撃には実際少しのタイムラグがあったが、それはほんの少しの時間だ。翔のコピー能力は対象相手を一瞬で変えられるんだ。こいつはますます厄介だぜ。

 「椎名!!」

 俺は椎名の名を呼ぶ。その声に何か気付いたような顔をした椎名は銃弾は放つ。その銃弾は翔に当た――らずに、その向こうの俺に飛んでくる。

 『銃弾弾き――!!』

 俺は剣で銃弾の方向を変える技を試みる。一回成功した技だ。失敗することはない!

 俺が弾いた銃弾は、翔の足元へ―― 

 「サンダー」

 パチッ、と小さい音がして、銃弾が地面に落ちる。翔が魔法で俺が弾いた銃弾を防いだのだ。俺の能力をコピーしなかったのは――俺が翔の視界に入ってなかったからだ。あくまで凜の推測に過ぎないが、翔は視界に入ってる人間の能力しかコピー出来ない。だから翔は凜の能力をコピーして魔法を使ったのだ。

 (攻撃の手を緩めるな。攻め続けろっ――!)

 翔が俺達三人から攻撃を受けても対応できているのは、その知力の高さが理由だ。だとするならば、その頭の処理が追い付けないほどに攻めたて、ミスを誘うしかない。

 「ウォータ――!!」

 凜の魔法、椎名の銃弾、俺の近接攻撃。三方向から幾度も攻撃を受けているにも関わらず、翔は傷を負わない。隙すら見せてこない。

 「こ……のぉ!!」

 俺は躍起になって剣を振り回す。

 「お前がやったことだろ」 

 トンっ――と小さい音と共に、

 「しまっ――」


 「「真剣白刃取り――!」」


 俺と翔の声がリンクする。俺の剣は翔の両手に完全に取られている。そもそも真剣白刃取りは俺がやった技だ。翔はそれをコピーした。そして俺の剣を取ったんだ。

 取り返さなくては。そう思った時にはもう剣は粉々になっていた。翔が破壊したのだ。

 まずい。俺には徒手格闘の心得はない。というか、俺は戦いについてはずぶの素人なのだ。それを高い戦闘能力でカバーしてたのだ。その武器となる剣を失った以上、俺には攻撃の手段がない。

 やってしまった。中々攻撃が当たらないからって、俺が苛立ってどうすんだよ。

 俺は翔から離れ距離をとるが、その後のモーションが取れない。動きようがないのだ。むしろ下手に動いたらやられる。落ち着け、落ち着くんだ。

 「諦めろ。お前にはもう攻める手段は無い。お前は――負けたんだ。それならせめてコピーされないように俺の視界から消えたらどうだ」

 翔が勝ち誇った顔でそう告げてくる。そうだ。俺にはやれることがもうないんだ。攻撃の手段なんか……そんな手段は……


 ……ある。

 

 いや、これは無いも同然の可能性だ。試みたことはあるにはあるが、全くうまくいかず諦めているし、今から試みたところで出来るものじゃない。

 何より、これは一回しかチャンスはない。そこで翔を仕留められなかったら……一巻の終わりだ。

 でも、同時に起死回生の手段だ。成功する確率はとてつもなく低い。だが、やるしかない。

 その方法は――


 俺は意識を頭に集中させる。翔に言われて諦めたふりをしながら、集中度を高めていく。

 そう、その方法は魔法の応用版。


 『武器召喚(サモンスウェポン)!!』

 

 

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