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そう簡単に異世界を味わえると思うなよっ!  作者: はれ
第2 校長先生
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5 異世界の象徴は魔法だと思う

 「あの、蘭次様」

 「ん?なんだ?」

 地面に倒れている盗賊達は透明になるように消えていった。そこらへんは異世界っぽくできてんな。


 「蘭次様は、魔法というものを知っていますか?」


 「……逆に知ってないと思うのかよ」


 こっちだって伊達に十万回異世界のこと考えてるわけじゃない。当然魔法も知っている。


 「それでは話は早いですね!それではこちらが『魔法表』になります!」

 「そんなのがあるのか」


 魔崎から渡された紙を受け取ると、その紙にはカタカナの文字が羅列されていた。


 「そちらが現在蘭次様が使える魔法です。一回唱えてみてはいかがでしょうか?」

 魔法……か。これも二次のことを考える時はお決まりの様に頭の中で描いていたなぁ。

 「効果とかはわかんないの?」

 「使ってみればわかりますよ。それでは唱えてみましょう!」

 「どうすれば魔法を発動できるんだ?」

 「その魔法の名前を口に出してみてください」

 「それだけでいいんだな?」

 「はい」


 それじゃあ、何から使ってみようか……お、これはいいかもしれない。

 『ファイアー』

 たぶん効果も想像してる通りだろうし、よし使ってみよう。


 「それじゃいくぞ……ファイアー!」


 ――ポトリ←ライターと木の先端にわらを巻いたやつ。


 「…………」

 たぶん今俺は、とっても不思議な顔をしているだろう。


 「ま~ざ~き~?」


 「な、なんですかその仕事に就いて四年目位の体育科の先生がやんちゃな女子生徒を怒るときみたいな口調は!」

 「そんな具体的な説明を求めてるのはそこじゃねぇーんだよ!」


 おかしい。間違いなくおかしい。俺。いいや魔法を知ってる人達が想像していた魔法『ファイアー』の効果はこんなんじゃないはずだ。

 普通は『ファイアー』と言えば、火の玉が出たり、火柱が上がったりするもんだろう。だがこれでは火は火でも、手動で火じゃないか。そもそもライターで火を藁に付けても燃え広がるまで時間がかかるじゃないか。これはもう魔法じゃない。


 「……魔崎、説明頼む」

 本心を言うと、何となくそんな気がしてたかもしれない。もうこの世界に来てから俺は期待を裏切られてばっかだからな。


 「え?蘭次様、魔法を知ってるんじゃなかったんですか?」

 「いいから、説明してくれ」

 「はあ……まず、この世界の前提条件は、『現実世界を基にして創られる』です。そのため魔法も、現実を基にしています。なので、蘭次様の場合は――」

 「いや、もういい」

 「――え?なんでですか?」

 どうせ現実世界の俺が火を出そうとして――みたいな感じなんだろ?


 「……そういえばさ、この世界から元の世界に今は戻れないのか?」


 「今は戻れません。この世界に入るたび、『ボス敵』を倒さなければいけません。『ボス敵』は、その世界の敵を一定数以上倒すか、しばらくこの世界にいると現れます」


 「この世界で死ぬとどうなるんだ?」

 「元の世界に強制的に戻されます。それから一時間はこの世界に行けなくなります」


 「……それだけ?」

 もっとこう、なにか罰があるもんだと思ってたのに。


 「ええ。そうですよ。だって、この世界で死ぬときは、現実の世界で死ぬときと同じ苦しみを味わいますから」


 うん。この世界では絶対死なないぞ。


 「あ。噂をすれば、『ボス敵』が来ましたよ?」


 あ、あれは……!

 まさに昭和のアニメというようなメカの体。そのメカの上方には人間の頭があった。メカの本体ともいえる頭はとても多くの髪があり、フッサフサだった。そう、その人は名前よりこう呼ばれることが多かった。その名は――


 「校長ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」


 たしかにボス敵といえばボス的だろう。


毎度のことながら読んでくれた方ありがとうございます。たぶん次の回あたりで、一回話に区切りがつくと思います(終わるという意味ではなく、序盤→中盤みたいな感じです)ということで、次の話もよろしくお願いします。

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