表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そう簡単に異世界を味わえると思うなよっ!  作者: はれ
第7 美永翔
49/97

46 単純な力比べ

  宙に放り出された魔崎を、俺は抱き寄せる。

 今の高さは二十メートルくらい。このまま落ちていったら命は無いだろう。

 「クソッ……これじゃどっちも死んじまう」

 俺は下に視線を向け地面を見るが……何も生えてない土が広がっているだけ。やはりこのままだと無事ではいられないだろう。

 だが、方法は――無い。周りに掴めそうなものは無いし、ただこのまま落ちていくことしか…… 

 (でも、大山の命だけは……!)

 大山は俺達を尾けた結果攫われてしまった。だから自業自得と呼ばれても仕方ないかもしれない。

 だが、こいつは俺達に憧れてるんだ。憧れてられてる以上、この大山の命は助けなきゃいけないってもんだろう。

 俺は大山の抱えてる位置を上に引き上げる。俺が落ちてから続くように大山が落ちるように。

 これでも大山は救えないかもしれない。それでも俺は奇跡を願って。

 「頼む……ここで死なせて……たまるかよ!!!!!」

 茶色の土が、目の前に迫って――


 


 「生き……てる……?」

 生きてる。異世界にまだ居る。しばらく気を失ってたらしいが、こうして地面の感触も感じる。

 「ら、蘭次様!!」

 「……大山?って、何も『様』つけなくても……」

 「……えっ?ええ?あれ、私……」

 大山は俺の言葉に戸惑ってから自分の体を見回す。随分焦っているな。

 「お、おい大山、落ち着け」

 「あ、はい……」

 スーハーと大山は息を大きく吸う。

 「それで……ここはどこですか?私、確か……」

 「お前は敵に攫われたんだ。んでまあ色々あって……今、ここにいる」

 落ちる所とか色々で済ませていいものかわからんが、面倒くさいからいいやもう。

 「ら、蘭次さんが助けてくれたのですか?」

 「いいや、俺が助けたような物よ」

 俺が口を開く前に、誰かがそう言った。俺がその方向に振り向くと――


 「ああ?女だけ生きるようにしたんだが……運がいいな坊主」

 「坊主?生憎俺にはちゃんとした名前がある。だがそれを言う前に……お前から言え」

 今のこいつの言葉、『女だけ生きるように』つまり、俺は死んでも良かったという事。

 そして、さっき『兄貴』が大山を落としたこと……

 こいつが兄貴の協力者だと思えば辻褄が合う。

 「まあ教えてやろう……俺の名前は美永翔(みながしょう)だ」

 美永翔――?

 その響きに俺は眉を潜める。その名前、どこかで……

 『美永凜よ――』

 (――凜!!)

 そうだ。凜のフルネームは美永凜。こいつと同じ苗字……!

 「さて、まずお前は……ぶっ殺す」

 

 戦いの次にはまた戦いか、難儀だな


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ