44 この世界に居る人間は皆
「助けに来たぞ、椎名!!」
改めて状況を把握する。
――今いるのは縦横それぞれ10メートル程度の小部屋の様な空間。上空から見たらその小部屋の左下あたりに俺は立っている。右には三人いる敵の内、俺がさっきふくらはぎを斬った男。真ん中に銃を構えている椎名。その奥に二人目の敵と、『兄貴』と呼ばれていた男がいた。
俺は素早く足を動かし、さっきふくらはぎを斬った男に近付き――傷口を押さえて動けないそいつを斬り裂く。
(こいつと……もう一人の敵は大したことない。警戒する必要があるのは『兄貴』と呼ばれあいつだけだ)
俺は割と気配を消しながら敵に近付いていったが、『兄貴』以外は俺が道から出てくることを一切感知出来ていなかった。この世界で多少なりとも戦闘をこなしているなら気付ける程度にしか俺は気配を消せない。つまり俺に気づいてない奴は大した戦闘経験も無いって事だ。
俺はさっき斬った奴が消えたのを確認してから、椎名の元に近付く。
「待ってたよ。蘭次君」
こいつ……最初から俺が来るのを待ってたな。『兄貴』はどうやっても自分では倒せないと踏んでかは知らんが。
そんな事を考えたあたりで俺はある事を思い出した。凜が、来ていない。俺が道を抜けてから30秒くらいは経っているはずだが。
「……てめえ、右の道を通ったか?それとも左か?」
『兄貴』がそう言った。右の道……ここに繋がっていた二つの道の事を言ってるんだろう。
「俺が通ったのは左の道だ。だがそれがどうかした――」
「チッ。運が良いな。右の道は魔物の巣窟だからな。それもやたらと強いのばっかだ」
――マジかよ。凜だからやられるって事は無いだろうが、援軍は期待できないな。
「椎名。何か作戦はあるか?」
「無いけど……一回様子を見た方がいいだろうね。一人はともかく、もう一人は一筋縄ではいかなそうだし」
椎名も『兄貴』は手強いと思ったか。確かに積極的に仕掛けるって場面ではないだろう。
俺は『兄貴』の横にいた奴を睨み、
「おい、さっさと消えな。死の苦しみを味わうことになるぞ」
そんな脅しをかけてやったが……
我ながら下手くそな脅しだなーこれ。
「蘭次君、脅すならもっとうまく……」
「仕方ないだろ。俺はこういうのは苦手だ」
「じゃあなんでしたの……」
ああもうあー言えばこー言う。
「脅すのはこっちの方だぜ」
『兄貴』が殺気を秘めた声でそう言った。
「今更脅す?冗談キツイぜ。そいつを攫っておいてよく言えたもんだ」
俺は大山を指さす。あいつを返してくれない限り、絶対に引き返さない。
「しかし……お前らは一体何者だ?何故あいつを攫った。誰かの命令か?」
「言うと思うか?」
「なら……吐かしてやる」
俺は戦う前はいつだって強気だ。例えどんな相手でも――
――ぶちのめす!!
う~最近忙しくて更新が……はっ!?違いますよ!?サボりじゃないですからね!!
ならべく頑張っていくのでよろしくお願いします!!!!




