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そう簡単に異世界を味わえると思うなよっ!  作者: はれ
第7 美永翔
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40 なぜこの世界に居るのか

  「蘭次様、異世界への転送、完了です!」

 「ありがと」

 一週間ぶりの異世界。だが魔崎が鬱陶しかったので久しぶりという感覚は無いが。

 「それでは蘭次様、私は仕事があるのでこれで失礼します」

 「ん?珍しいな。何かあるのか?」

 「はい。なんだか異世界戦の会場の不具合が思ったより深刻らしくて……手伝っていきます」 

 この一週間くらいは散々付きまとってきた癖に……まあいいか。

 「そうか。まああくまでお前は天界の人だからな。無理にこっちにいる必要はないよな」


 そう、あまりにも魔崎と長く過ごしているせいで麻痺しているが、俺たち人間とは違うベクトルで生きている存在なんだ。あまりこっちと同じにいるのもなんだろう。

 「さて、凜たちと合流しないと」

 確か合流場所は……今は色々と設備を直しているらしいが、異世界戦の会場だったな。

 俺は地面を踏んで歩き出す。

 (しっかし……本当によくわからないなこの世界は)

 人間の為に天界人が人間の魔力を借りて作り出した世界。そういう感じらしいんだが……

 人間の為に世界を作るって胡散臭いんだよなあ。まあそこら辺の考えは俺馬鹿だからあまり考えないよーにしてますけど。


 「……っと!魔物か」

 目の前には一体の小さい翼を生やした小悪魔のような敵がいた。

 その魔物は氷の魔法を放ってきたが、威力も速度も大したことない。

 「せめて当たるスピード出せ……よっ!」

 魔法を避け一刀のもとに切り裂く。この程度の敵、相手にならない。

 「とはいえ、この世界に最初に来たときはこの程度でも勝てなかったかもな」

 あの時はアルミの剣使ってたしな。


 (武器……か)

 そういえば前に凜が言ってたな。武器を生み出せるようになれって。

 やり方は……魔法と一緒で、生み出したいものに精神を集中させる。だったな。

 一回やってみるか。これから使えるかもしれない。

 俺は目を閉じ、生み出したい武器の事だけ考えるようにする。

 (集中……集中……)

 

 「出でよ!(スピアー!)


 ……


 …………


 「無かったことにしよう」

 まあ、そう簡単には出ないよな。

 

 周りには誰もいなかったが、少し恥ずかしくなりつつ荒野を歩く。そして――見えてきた。異世界戦の会場が。

 「やっと着いた――おおおぉぉぉ!?」


 急に横から雷の魔法をぶつけられそうになり慌てて避ける。また魔物か……?

 「……凜?」

 俺の仲間、凜だ。決して魔物ではない。

 「久しぶりね。蘭次」

 久しぶりって、つい二日前くらいに会っただろ。と言いそうになったが、怒られそうなのでやめた。

 「ああ、久しぶりだな。所で凜、さっき俺に魔法を――」

 「じゃあ、椎名とも合流しましょう」

 「露骨に無視した!?」


 相変わらず酷え女だ。


 「そういえば凜知ってる?」

 「知らね。別に知りたくもねえ」

 「そこは『何が?』って言いなさいよ。……ミッションシステムの事」

 「みっしょんしすてむ?ああ、何か魔崎が言ってた気がする」

 確か……他の人間か天界から送られた依頼を受けて、それを遂行して報酬を貰うとかだったかな。

 「ミッションシステムは、人間か天界から依頼を受けて、それを行って報酬を貰うシステムよ。

 あ、合ってた。意外と魔崎の話聞いてんだな、俺。


 「でそのシステムがどうかしたのか?」

 「――待って、椎名がいたわ」

 本当だ。向こうで手を振ってる。

 「蘭次君、凜ちゃん、久しぶり」

 椎名のさわやかな笑顔。ほんっとこいつイケメンだな。

 「で、会ってすぐになんだけどさ……ちょっといいかな?」

 「……?何かあったのか?」

 「いや、そのね……まあ会わせた方がいいか。おーい、出てきてくれないー?」


 椎名が近くの木に向かって手を振る。すると木の陰から……

 (……女の子?)

 いや、背は低めだがそんな低い年齢という訳ではなさそうだ。なんというか、誰かに似ているような……。


 「えっとね……実はこの子が――」

 「あのっ!」

 椎名の声を遮るようにその子が声を上げる。

 「み、皆さんはこの前の異世界戦に出てましたよね?」

 「え?ああ、そうだけど……」

 何?ファン?困るなあそういうのは事務所を通さないと……

 「本当ですか!私、あの戦い見て、感動しちゃって……」

 やっぱりファンみたいだ。サインとかせがまれるのかな。


 なんて事を考えてたのだが、その子が次に行ったのは予想の斜め上で――


 「それで、お願いなんですけど……」

 一瞬口ごもってから、決意したように言った。


 「私を、あなた達のチームに入れてください!!」


凜の座を脅かす輩が現れた……これはまずい……

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