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そう簡単に異世界を味わえると思うなよっ!  作者: はれ
第5 異世界戦
33/97

32 犯人は……あなたです!

   『――チーム・タクティクスの不戦勝となります!』

 

 「――へ?」

 「――え?」


 俺と同じような声を出したのは……魔崎か。てかいつの間にいたんだ。

 「不戦勝……棄権……まさか!」

 魔崎は何か焦ったような顔で自分の腕時計をいじり始めた。

 俺達と同じような時計の針を魔崎は『10』の位置に揃えて何かのボタンを押した。


 そして大きく息を吸い……

 「す~み~か~さーーーーん!!!!!今度は何をやらかしたんですか!?」

 大声で腕時計に怒鳴りつけた。

 すみかさん……?ああ、中谷さんの事か。しかし、『やらかした』とは……?

 

 「何だ、やかましい」

 うわっ、腕時計が喋った!

 「どういうことですか!今回の棄権!!」

 どうやら、あの時計は小型電話機みたいになってんだな。んな洒落たデザインにしなくてもよかろうに。

 「どうもなにも、魔崎たちと対戦するチームが、メンバーの一人が怪我したから棄権させてほしいって言ってきたからだ」

 ふーん。棄権の理由は怪我だったのか。ん?待て、俺は凜に斬られたのに、こっちの会場に戻ってきたら傷は無くなってたぞ?それで怪我っておかしくないか?

 

 「待ってくださいよ!対戦中の傷は戻れば治るのに、怪我っておかしいでしょ!」

 魔崎も俺と同じような感想を抱いたのか、そんなことを言っていた。

 「落ち着け、傷は傷でもこの会場内で出来た傷らしい。詳細は不明だが、後ろから次々ハサミなどの刃物を投げつけ、犯人は逃走したらしい」

 「逃走……それって、まずいんじゃないんですか!?」

 刃物を投げつけ逃走って、それこそ通り魔か何かじゃないか?なら、放っておくのは確かによくないな……


 「安心しろ、こっちで監視カメラを確認しておいた。犯人は既に拘束している」

 いや、何かおかしいような……ハサミなどの刃物を投げて、すぐに逃げた。ついさっきそんな奴を見たような……


 ――いや、まさかな。


 いやいや、確かに投げつけてたのはそうだったけど、そんな偶然が有り得るわけ……。

 「そうですか……私、また澄香さんがまたやらかしたのかと……」

 「そんなわけないだろう。ホラ、仕事に戻れ」

 まさか……犯人って……

 ハサミなどを投げつけ、走り回ってた奴……。


 (――中谷さん(犯人)じゃねえかあああ!!!!!)


 「いや、そんなことは無いよな。アハハハハハハッハッハッハッ……」

 「何よいきなり笑いだして。傷の影響が脳にまで来ちゃった?」

 「何でもないよ凜!ほら!気にしない!」

 「はあ?一体どうしたのよ……」


 『ピンポンパンポーン……間もなく、準決勝が始まります。チーム・タクティクス、犬。二つのチームは、転送装置に行ってください!』


 「ほら!行くよ凜、椎名!!」

 「わ、わかったから押さないでよ」

 「もうすっかり元気だね蘭次君」


 忘れよう。忘れよう。




 何も無かったのさ。そう、何も……

 


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