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そう簡単に異世界を味わえると思うなよっ!  作者: はれ
第5 異世界戦
30/97

29 いけ!空間を切り裂き、今だ!会心の――

  「――次のチャンス?」

 「その前に静かに身を潜めて」


 椎名に言われて慌てて身を潜める。

 

 「――ちょっと騒ぎすぎたかな。蘭次君、よく周りの空気を聞くんだ(・・・・・・)

 空気を聞く?

 そう言いそうになって口を閉じる。そうだ、あんまり騒いだら敵にも場所がバレてしまう。

 

 椎名は目を閉じ、ゆっくりと腕を横に動かす、そして何かを飛ばす。

 その目にも見えないような何かは、木に当たったのか、パキッという小さな音を生じさせた。


 「――!――」


 (……!)

 『聞こえた』今、音は無くとも何処かにいる敵の意識が動いてのが空気に響いた。


 肩を優しく触れる感触がした。触ってきたのは……椎名。椎名は口に手を当てながら紙を渡してきた。


 『次相手が何か音を出した瞬間に音源に向かって攻撃を仕掛ける。躊躇せずに一気に』


 紙にはそんな事が書いてあった。

 こ、こいつ、何かを投げてから今の間にこんなものを書いてたのか、全然気づかなかったぞ。

 俺は頷き、凜にも紙を渡そうとするが、凜は全てをわかってるかのように手でオーケーマークを作ってた。


 (次の……音……)


 周りは恐ろしいくらいの静寂、そんな中ずっと集中するのは中々キツいものがある。


 黙っていると色んな考えが頭を巡らす。さっきの凜の話、この敵はどんな能力があるのか、そして……中川椎名……苗字が二つあるような名前のこいつは、一体何者なんだ。

 ――そういえば、俺達が針田と戦ってる時、椎名はどうやってあそこを見つけたんだ?中谷さんが一緒にいたとは言え、あの針田がバレるような所に俺達を拉致するか?

 それに椎名は戦いが苦手と言った。だが椎名はどの場面でも歴戦の猛者の様な落ち着きぶりで、しかも戦いの知識も豊富だ。戦闘が苦手だから頭でカバーするとかそういうタイプなのか?


 (だめだ……全くこいつの事がわからん)


 凜なんかは感情をはっきり出してくれるが、椎名は優男をずっと演じてるような――演じてる?そもそもこれがこいつの性格なのか、それか何か目的があってその性格に見せてる?


 考察を重ねても理解に及ばない、どれも椎名であるようで、どれも違うような。

 (待てよ?こんなに出来る奴がニート?)

 疑問の糸口にもならない考えが出て来た時――



 ガサッ……


(来た!)

 俺は足を飛ばす、椎名の作戦の事もさっき考えていたが、なるほど有効だ。

 ずっと静寂を保ってきたなか、突然激しく動けば――


 (相手は委縮する!)

 

 音に向かってがむしゃらに走る。俺はおおよその位置しかわからないが、椎名や凜はきっと正確な位置を把握したんだろう。それなら俺がやることは――

 ――二人が攻撃しやすいように的を作り出す。


 「出てこいやぁ!!!」

 

 さらに動揺をかけようと大声をだ――


 「あっ」


 それしか声が出なかった、気づいたとき俺は――


 地面に顔をぶつけていた。

 ……

 …………

 こ、こけた……

 木か何かに引っ掛かったか、見事にこけた。

 (って、早く立たないと!近くに敵が――!)


 遅かった。

 30秒後、俺は人質として捕まっていた。

 「凜、椎名……ごめぇぇぇぇん」


 無様な人質の完成だぁ。

 

 


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