27 雑巾は一番頑張ってるのに周りから嫌われる不遇な存在
――使い込まれたボロ雑巾みたいだな――
中谷さんに言われたその言葉に対して、俺は『お前がやったんだろ!』とは言えなかった……
「ひどいよぉ……あんまりだよぉ……」
泣かずにはいられない。バキバキに痛む体も相まって最悪の気分だ……。
「まあまあ、死ななかったから大丈夫だよ」
「その一歩手前までやられたけどな!」
あの後中谷さんにプロレス技を散々かけられた。体格では勝っていたのに一切対処できないなんて……。
「いいからあんた達、2回戦が始まるから早くしなさい」
「それすら危うかったんだけどね」
凜に急かされ俺は小走りで魔法陣に向かう――
「――え?」
今感じた違和感。足……か?
決して痛いとかそういうものではない。ケガとかでもなさそうだ。むしろ――よく足が動けるような、これが元々俺の足だったような。変な……感覚だ。
「何してるのよ、早くしなさい」
「え……あ、ああ」
とにかく、悪い事ではなさそうだし、今は気にしないでおこう。
「ら、蘭次様……私が見てない間に何があったんですか……?」
俺の生傷だらけの体を見て魔崎がそんなことを言ってきた。
「……なあ魔崎、中谷さんって昔から怒ると手がつけられないタイプか?」
「澄香さんですか……?えっと……」
魔崎が周りをきょろきょろしてから、
「実は、澄香さんは怒ると誰も止められないんです……この世界で最初にモンスターと戦ったのもあの人で、特別枠で今回の大会に出るって話もあったくらいで……」
二度と逆らうまい。
「あ、でも澄香さんって酔うと――」
シュウウン――
魔崎の言葉を遮り、周りは泡に包まれた――
酔うと?てか中谷さんって成人してたのか。
気になる言葉はさておき、2回戦か。次はどんな相手が出てくることやら。……もうカップルはこりごりだ……。
「蘭次、話の続きよ」
「凜?話の続きって――ああ、針田の事か」
そういえばさっきもそんな話をしていたな。
「ええと……どこまで話したんだっけ」
「針田が神――この世界の管理者の正体を知っている。だったっけ」
「そう、では神はこの世界をどうするつもりだと思う?」
「――は?」
どうするって、この世界を管理する以上に何が――
「あたしは思うの。神は――人間をこの世界から消すつもりよ」




