26 俺がリア充じゃないのが悪いんだけどね
「サンダー!サンダー!サンダァァァーーー!!!!」
「ちょっと凜ちゃん!?失格になるからやめて!?」
「ウラァァァ!!このリア充がぁぁぁぁぁ!!!!!」
「蘭次君もどうしたの!!??」
椎名に羽交い絞めにされる。俺の怒りはこんなものじゃなかったのに……
「ほら凜ちゃんも落ち着いて」
「フーッ!フーッ!」
な、なんだあれ湯気出てるぞ。どんだけキレてたんだ。
「とにかく勝てたんだから、気を静めて」
相手のカップルは仲良く目を回していた。まああんな鬼気迫った表情で大声出しながら攻撃してきたら恐怖で何もできないだろう。
「あ……」
周りが泡に包まれる。さっきいた所に戻るのだろう。
「で、二人ともなんであんなに怒ってたの?」
「「リア充が目の前にいたから」」
他に理由あっか。
「貴様ら何をしているんだ!!」
「何って、戦った」
「その後だその後!」
元の会場に戻った俺達はなぜか中谷さんに説教されていた。
「必要以上の攻撃はするなと言っただろう!しかも奇声を上げながら!」
あーその事か。ていうか、中谷さんって怒ってばっかなんだな。
中谷さんの怒り顔を見つめる。美人ではあるけど、顔も性格通りキツそうな感じ。体もスレンダーで、仕事はキッチリやりそうだけどミスした人には厳しそう。
「可愛いいのにもったいないなぁ……」
口に出しそうな程そう思う。彼氏が出来るといいんだけど
「――は?」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして中谷さんが言ってきた。しかもその後顔を一気に赤くした。
えっと……どうしました?
「ななな何を言ってるんだ貴様は!その口をホッチキスで塞いで欲しいのか、それともハサミで唇を切って欲しいのかどっちだ!」
「え、何々突然物騒な事言いだして!暴力反対!」
右ポケットからホッチキス、左ポケットからハサミを取り出してきた中谷さんに俺は困惑する。
「貴様、私をたぶらかすつもりか、先の言葉を撤回しろ!」
「はいいっ!?さっきの言葉ってなんだよ!」
「――貴様は自分の言葉を覚えてないのか!?」
全く理解できない。さっきの言葉って――
『可愛いのにもったいないなぁ……」
「――あ」
なるほど……口に出てたんですね蘭次さんわかります。
(じゃねぇぇよ!!)
何口走ってんだ俺は、せめて食道くらいに留めておけよ!なに思った事そのまま口に出してんだ!
「その顔……貴様、まさか今思い出したわけではないな?」
「いえいえまさか!そんなわけありませんよー」
「嘘をつくなよ貴様……正直に答えないと――これで切る」
中谷さんがハサミをぎらつかせて問い詰めてくる。
「い……い……」
「何だ、早く言え!」
ここで言わないと殺される。でも、言っても……
「今思い出しました!」
「殺す」
――やっぱり。
「いやだぁぁぁぁ!!!実際には死なないとは言っても痛いのはやめてくれ!!」
「よくも侮辱してくれたな!殺す、殺してやる!」
「あれ侮辱なの!?ああハサミが飛んできたぁぁぁ!!!」
そんな攻防(?)を10分くらい続け……
「はぁ……はぁ……死ぬかと思った……」
実際殺されかけたけどな。
隙間を見つけ、そこで体を潜める。中谷さんは怒ってるし、この場所はわからないだろう。
『ここで花選手は間を取りました、お互い睨み合っています』
そんな音がする方を向くと、巨大なディスプレイに戦っているチームの姿が映っていた。
今の声は実況か。
一方のチームは三人組が固まって戦っている。もう一方のチームは三人がそれぞればらけて戦っていた。そういえばさっきのカップルは二人組だったけど、人数差とかは組み合わせに考慮されないのかな?中谷さん……は怒ってるだろうから、魔崎に聞いてみよう。
『長い戦いに決着がつきました!』
実況の熱い声が響き渡る。勝ったのは……ばらけて戦っているチームの方か。
……痛いのは嫌だけど、負けるのはもっと嫌だもんな。一応優勝目指して頑張るか。
「さて、バレないように二人の所に戻らないと……」
「もうバレてるぞ」
「――ゑ?」
どうやら決勝戦に行く前に関係ない所で死ぬみたいだ。
たまには書きますかね。
私は今まで付き合った人数0どころか、バレンタインチョコも貰ったことが無いんです。
さて、そんな私が今回倒されたカップルみたいなのに会ったらどうするでしょう。
『薄笑いを浮かべながら一回本気で殴ります』
多分クリスマス外出歩けないな私。




