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20 カサブタは剥がしたくなる。でも剥がすと後がつらい。こんなことにも矛盾がある

  河木が目を覚ませば、その地点で負けだ。短時間に倒すしかない!

 

 だが、下手に動けば針田の魔法の餌食になる。凜の魔法もどこまで耐えれるかわからないし、針田は頭も切れる。俺を確実に倒す方法を考えてるだろう。


 (問題は、それがなにか……)

 

 さっきの激しい攻防が嘘のように静まる空間。そこで睨み合う。


「わたくしは――」


 そんな静寂を破ったのは、針田の方だった。


 「この世界に憧れていた。蘭次君。あなたと同じように」


 しかし動いているのは口だけ。俺達は今だ体を動かしていない。


 「その憧れた世界にわたくしは来れた。なんて偶然。そして幸運だろうかと思った。でも、気づいてしまった。ただ管轄された狭い世界で生きてるのに過ぎないと。わたくしは絶望した。所詮自分には変える事なんてない世界なんだと。それなら――」


 ――おかしい。

 

 「――壊してしまおう。このルールに縛られた世界を。誰も想像できない腐った色と腐った匂いと腐った記憶でできた無法地帯を!阿鼻叫喚の地獄を!」


 何かがおかしい、あいつはただ喋ってるだけなのに、小さくとも確実な違和感がある。


 「そんなことはできるはずがない。――そのはずだった。だが、私はできた(・・・)。ルールの網を引き裂いて成功した。ここの人間を抹殺できる能力」


 なんだ。どうして足がすくむ。動け、前に進まないと――なんで?今は機を伺ってるはずじゃ。なんだ、なんだこの気持ちは。


 「この世界では――現実と変わらない点が一つだけある。『脳』これを理由すれば、どうとでもできる。さて質問です。なぜ現実世界とこの世界の記憶は共有できるのでしょうか。あなたの脳がなにも認識できないままこの世界で死んでしまったら、たとえ現実世界に戻れたとしても、それは本当に生きているでしょうか」


 (――!――)


 俺は走る。弱体化した体でも、間に合うと信じて。

 わかった。あいつは動揺を誘ったり牽制をするために喋ってたんじゃない。あいつが喋っていたのは――


 (長い長い、魔法の詠唱文だったんだ!)


 凜は言ってた。『頭の中でその事だけに集中すれば、魔法は使える』きっと強い魔法ほど、多大な精神力が必要なんだろう。針田の目は俺を見据えている。だが見てはいない。今のあいつには、何も見えない、何も聞こえない。

 間に合え、あいつを早く倒さないと、終わる。全てが終わってしまう!


 「すべてを滅せよ。究極魔法――クラウダ――」


 






 「ごめんね。遅れちゃって」


 





 ――俺は、生きていた。目の前には、こっちとは真横の方向を向いて倒れている針田と――




 


   ――見慣れた笑顔。恐ろしいものを感じさせる笑みを浮かべる椎名がいた。


 


椎名はすごい好きです。でもイケメンだからすごい嫌いです

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