18 夢見て来たもの
『はぁ~いがぐり拳!』
俺は……アニメや漫画の影響で小二辺りで魔法や技に憧れた。
『そしてくらえ!なりきり剣!』
いつか俺もあんなかっこいい事が出来るようになりたいって思って……
『とどめは~フレアー!』
毎日バカみたいに魔法や技の名前を唱えてた。
『……はぁ~』
でも、そんなことは俺にはできないって知って……何故だか、俺でも魔法や技を使える異世界に行きたいって思うようになったんだ。
それで――それで――
「……う……」
瞼を開けると、レンガで出来た地面があった。あの後河木の攻撃を食らって俺はここでうつ伏せに倒れていたらしい。
「……凜?」
上を向くと、河木の攻撃をなんとか避け、針田の魔法を自分の魔法で防いでいる凜の姿があった。
(……ははっ。凜の奴、俺といる時よりもずっと強いじゃん……)
そりゃあそうだろうな。俺みたいな素人が相手の近くでウロチョロしてたんだから、凜は魔法を使うのにすごい気遣ったはずだ。
……そうだろうな。俺みたいに何にもできない奴なんて、邪魔でしかない。こんな俺は……誰とも組まない方がいいのさ。
ごめんな。凜。椎名と頑張ってくれよ――
違う。違う。違う違う違う!このままじゃ……凜はやられる。
でも、俺には……何も出来ない。高かった戦闘能力はとうに失われて、今河木と針田の前に立ってもサンドバックのようにされて終わりさ。いや、今の俺じゃ、サンドバックにもならないかもしれない。
駄目だ。できるはずがない。動けない。恐怖で、力が入らない……!凜が、凜がそこにいるのに、助けなきゃいけないのに、どうして、どうしてだよ!
俺は、ここで諦めて、凜も助けられないで、
(終わり……なのか?)
ずっと憧れて来たものと、望んでいたものと、夢来てみたもの。皆似ていて、少し違ったもの。それらも全て、全て消えてしまう。俺は……
(俺は……)
俺は!
「おおおおお前らっ!俺はあ!まだやられてないぞ!」
気づけば声が出ていた。あいつらじゃなくて、自分の為に。もう一度俺が、
「さっきの攻撃もぜっんぜん余裕!蚊でも当たったのかなぁー?」
この足で、立つために!
恐れで震えていた膝はまっすぐ伸び、俺の顔は険しくにらみつけるように。
大丈夫。怖くない。きっとできる
さあ、あの時の夢を叶えに行こう!
大変申し訳ありませんが、諸事情によりしばらく更新を休ませていただきます。三週間もすればまた更新できると思います。今後も、何卒宜しくお願い致します。




